ドラマーのAct.がこのライブで脱退。結成メンバーでのラストライブとなった『LAST Genoration』

 4人組ロックバンドの21g(トゥエンティワン・グラムス)が4月7日に、東京・初台のThe DOORSでワンマンライブ『LAST Genoration』をおこなった。昨年12月28日以来の単独公演は、結成からドラムを担当していたAct.がこの日をもって脱退。3月21日に配信限定でリリースした新曲「1st FINGER」や、「エメラルドグリーン」、「魂の歌」などアンコール含め、オリジナル曲全てを披露した。最後にNATCHIN(Ba)は「まだ次のドラムは見つけてないけど、夏には戻ってきたいと思っています」と宣言。この日、Act.は脱退により21gの一つの章が終幕するとともに、新たな一歩を踏み出した。

結成メンバー4人でのラストライブ

Geno

 約3年間、リズム隊の核を担ったドラマーのAct.がこの日、バンドから離れる。この4人での最後のライブを見届けようと、多くのオーディエンスが“初台ドアーズ”に集結した。ヘビーサウンドのBGMが高揚感を掻き立てる。そのBGMがクレッシェンドしていき、ダンサブルなSEに切り替わる。そのビートに合わせ、クラップでメンバーを迎えるオーディエンス。

 Geno(Vo)の叫びとともに、「天照賛歌」で幕は開けた。序盤から腕を振り上げ声を出し、メンバーとともにライブを作り上げるオーディエンス。1曲目から会場全体の盛り上がりは後半戦を思わせるほどの盛り上がりを見せた。メンバーの気合いのノリも絶妙。

 スポットを浴びるmi-yaのギターから、「JIDANDA」へ。ステージ前方でラウドなベースサウンドを奏でるNATCHIN。さらにAct.の華麗なスティックさばきと、歌うようなドラミングで魅せる。序盤から怒涛の爆発寸前のパフォーマンスで展開。

 Genoが「1st FINGER主張してこいよ!」とオーディエンスも人差し指を掲げるなか、3月21日にリリースした「1st FINGER」へ。Act.の弾丸のようなバスドラの連打がライブハウスに響き渡る。Genoの熱量の高い歌声。4つ打ちのバスドラに絡むように、NATCHINのベースで和音を奏でる。スラップと多彩なテクニックで楽曲を彩る。

 5拍子のリズムが異質な空間を作り上げた「チョコレート三丁目」。オーディエンスの<Chocolate>のシンガロング。mi-yaの和音とシングルノートを織り交ぜた、華麗なギターソロがオーディエンスの視線を奪う。歌詞の語感とは裏腹にシリアスでクールなナンバーによって、ライブハウスの熱が渦巻いていく。

 MCでは今年のメンバーとの花見の話や、「ファンからもらったマカロンを食べたら入浴剤だった」などメンバーのオモシロ話で盛り上がった。そして、3年前この場所で「天照賛歌」のMV撮影話も。その時に配布されたマスクを持参していたオーディエンスの姿も見られた。

mi-ya

 Genoが「かわいい曲いきます」と「ねこのうた」を披露。会場に<ネコ♪>と言葉が飛び交う、21gらしい異質な空間を作り上げていく。ヘビーキュートなナンバーで魅了していく。そして、前回のワンマンではアコースティックで披露された「月」をフルバンドバージョンで披露。<ツッツチー>とハイハット風のボイスパーカッションアレンジが耳に残るナンバー。

 MCでは、「3年間でみんなの<ツッツチー>もパワーアップしたよな…」と、この3年間を振り返るようにしみじみと話すGeno。そして、これから制作されるニューアルバムについての話へ。「NATCHINさんが面白い笑い方をするんですよ」と笑い方が特殊だと話すGeno。NATCHINはその話を受けて、「ボディランゲージってみなさん知ってます? 楽しいということを伝えてるんですよ」と弁明。Genoは「じゃあボディランゲージという曲作りますか!?」と新曲の話題で盛り上がった。

 さらに、NATCHINから「三重県に旅に行った時の曲もあるよ」と、その時の信号の音からインスピレーションが沸いたという曲を語る。そこから、その信号の音を口笛で再現し、メンバーでハモろうとするが、上手くいかず惜しくも断念。「Genoは参加型の曲ばっかり考えてる」とNATCHINがツッコむ場面も。

 そんな、ほのぼのとしたMCコーナーから、バラードセクションへ。「初恋」、ミディアムパワーバラードの「HEAVY RAIN」とピアノが効果的に楽曲を彩り、バンドサウンドと相まって、曲の持つ切なさをさらに際出せていく。Genoのエモーションたっぷりの歌が、情景を映し出していく。その模様を映画を見るかのように静かに佇みながら、ステージを見つめるオーディエンスの姿が印象的だった。そして、ピアノの叙情的なイントロから、エッジの効いたサウンドに紡がれる「たとえ話」。スピーディなシリアスなナンバーは、オーディエンスの心を静かに燃え上がらせる。

しんみりは嫌だ〜!

NATCHIN

 ここでAct.を残し、ステージを一旦後にするメンバー。高速なツーバスによる轟音が、けたたましく響き渡り、ワンマン恒例のドラムソロセクションへ。オーディエンスも「Act.!」とそのビートに応えるように、コール&レスポンス。21gでは最後となるステージ。パワフルかつインテリジェンスなドラムサウンドで魅了していく。「俺の最後のわがままです。しんみりは嫌だ〜!」と叫び、「最後に思いっきり来て欲しい」と投げかけ、さらに一体感のある声を送りつづけるオーディエンス。立ち上がり、この景色を目に焼き付けようと、会場を見渡すAct.の姿が印象的だった。

 再びメンバー3人がステージに登場。そのまま「情熱SUMMER DAY」へ突入。Genoとmi-yaの歌声のコントラストが、新しい息吹を与える。バンドが繰り出すサウンドを受けて、オーディエンスの掲げた腕が左右になびく。<ワッショイ!>とお祭り騒ぎのように盛り上げていく。

 MCでは、「今のところ最高の1日になってるんじゃないの!? 世界各国、色んなところでライブやってるけど、ここを一番のライブにしましょうよ!」と話すGeno。「エメラルドグリーン」からそのまま未音源化の「片思い(仮)」へ。メジャー感あふれるサウンドで、恋の甘酸っぱさを、ロックサウンドで表現していった。

 「時間経つのが早いな。これもんでやるばい」とタオルを振り、博多弁で焚きつけるGenoの言葉から「Mr.アドレナリン」へ。スピーディなロックチューン、サビでは会場全体でタオルを振り回し、ライブハウスに帯びた熱をかき回していく。途中Genoにステージ中央に引っ張り出されたmi-yaが、メインボーカルばりにコーラスする姿が印象的であった。

熱くはっちゃけられて嬉しい

Act.

 ライブは刻々と終焉に向かう。ラストは「21Genoration」。衝動的なヘビーなリフに合わせ、ヘッドバンギングでオーディエンスも応戦。大きく腕を振り上げた、Act.の魂を込めたスネアが高らかに響き、それに呼応するかのようにNATCHIN、mi-ya、Genoも最高のパフォーマンスを見せる。

 アンコールの声に応え、ステージに舞い戻ってきたメンバー。4月5日が誕生日だったmi-yaをお祝い。会場全員で「ハッピーバースデー」を歌い、Genoが真っ赤な花束を贈る。そして、NATCHINは盛大にクラッカーで祝宴。続いて、Act.をステージ中央で最後のスピーチを届けた。「しんみりではなく、最後も熱くはっちゃけられて嬉しいです」と今日の盛り上がりに感謝を告げた。Genoが「絶対夢を叶えろよ」とエールとともにAct.に、黄色い花束を贈った。

 アンコール1曲目は「寂しさで咲く華」。マイクスタンドの前で、情感込めて歌い上げるGeno。どんな想いで歌うのか、その歌からは、Act.とともに歩んできた3年間が走馬灯のように蘇るようだった。「ずっと俺らいるからな」とAct.に向かって投げかけるGeno。

 「みんなの声聞かせてくれるかな」と「魂ノ歌」。<この声が聞こえるか♪>とこの言葉が高らかに響く。このメンバーでの約3年間の集大成というべくグルーヴを、由縁の地である初台ドアーズに叩きつける。4人と会場全体のエネルギーはリミットを越え、大団円を迎えた。ラストに見せたAct.のなりふり構わぬ、圧巻のドラミングは聴く者の魂を揺さぶる熱演。

 最後はメンバー4人、フロアではオーディエンスも手をつなぎ、腕を掲げた。Act.は「21gのAct.でした」と挨拶し、『LAST Genoration』の幕は閉じた。「HEAVY RAIN」のアコースティックインストが、このライブの余韻を叙情的に響かせていた。

(取材=村上順一)

セットリスト

『LAST Genoration』
4月7日 東京・初台The DOORS

01.天照賛歌
02.JIDANDA
03.1st FINGER
04.MASK
05.チョコレート三丁目
06.ねこのうた
07.つき
08.初恋
09.HEAVY RAIN
10.たとえ話
11.情熱SUMMER DAY
12.エメラルドグリーン
13.片思い(仮タイトル)
14.Mr.アドレナリン
15.21Genoration

ENCORE
EN1.寂しさで咲く華
EN2.魂ノ歌

ライブ情報

2017年7月1日(土)
21g LIVE「Geno Birthday 2017」
会場:高田馬場club PHASE
OPEN 18:30 / START 19:00
前売り4000円 / 当日4500円 ドリンク代別途500円

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