BREAKERZ10番勝負、ラストはGLAY。締めくくりにふさわしい、感動と興奮が降り注ぐ至福空間に
撮影・KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 今年7月に迎えるBREAKERZが、デビュー10周年を記念しておこなってきた『10周年 10番勝負 -VS-』が4月29日、東京・Zepp DiverCityでファイナルを迎えた。対戦相手は1994年のメジャーデビュー以来、数々の金字塔を打ち建ててきた日本ロック界を牽引し続けるGLAY。毎回、その日限りの特別演出で熱戦を繰り広げてきた同イベントの締めくくりにふさわしい、感動と興奮が降り注ぐ至福空間となった。

GLAY

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 開演時刻の午後5時。スクリーンに現れたスカルが高らかに開戦を宣言すると、万雷の歓声が轟く中、先陣を告げられた赤コーナー・GLAYがステージに姿を現した。

 幕開けは、リズミカルなグルーヴにクリアなサウンドが冴え渡るスケール感満点の「the other end of the globe」。TVドラマ「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の主題歌に起用された今作は、心に潜む憂鬱を全て溶かしてくれるような壮大なナンバーだ。

 ぴったりと息の合った粒立ちのよいバンドサウンドも実に心地よい。続いてクセになるHISASHIのギターリフから、3コードのみで展開していく異色ナンバー「THE FRUSTRATED」で、序盤からグイグイ煽っていく。

 「こんばんは、GLAYです。TEAM BREAKERZ(BREAKERZファンの名称)、HAPPY SWING(GLAYファンの名称)、今日は一緒に盛り上がっていこうぜ!」とTERUが雄叫びを上げ、まずは、遊び心溢れる歌詞やアレンジが際立つ変則ナンバー「FRIEDCHICKEN & BEER」。

 間奏ではTAKUROが突然、「俺たちGLAYは本当にTBUだぜ!」とDAI語をぶちかますと、客席は「何何〜??」とリアクション。ちょっぴりもったいぶった口ぶりで「TBU=対・バン・嬉しい」と、応えると会場は大爆笑の渦に。さらにTAKUROは「だけど、GGK=GLAY・が・勝つ!」と力強く宣戦布告。

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

  最後は「BMGMMMKHZ=BREAKERZ・も・GLAY・も・みんな・も・気合い・入ってる・ぜぃ。OK!! みんな最後まで楽しんでいってください!」と締め括り、フロア全体が笑顔爛漫になったところで、続いては社会派の鋭利な歌詞が耳を突くスリリングなロックナンバー「MERMAID」を投下。誘発されたオーディエンスは盛大にリアクトし、熱気が充満したZepp DiverCityには強烈なバースト感が立ちこめた。

 ここで一息TERUのMC。「10番勝負のトリを任されたということで、今日は気合いを入れて新曲も用意してきました。まだリリース予定はないんですけど、いち早く皆さんに聴いて頂きたいと思います。この曲は人と人とを繋げてくれる曲だと思っていて、愛もそうですけど、ファンの子達とミュージシャンにおいても、10年、20年、いけるなら100年(笑)ずっと一緒に歩んでいきたい、そういう気持ちを込めて歌いたいと思います」。

 そう語られ、披露されたのは未発表曲「あなたといきてゆく」。情景が浮かんでくる歌詞に五感が揺さぶられるミディアムバラードで、包容力溢れる歌声が会場中を優しく包み込んでいった。

 しばしこの余韻に浸っていたい…そう思った瞬間鳴り響いたのは、ディレイのかかったあのお馴染みのイントロ、「グロリアス」だ。言わずもがな、彼らのブレイクのきっかけとなった往年の大ヒット曲に沸き立つフロア。さらに興奮を駆り立てるように続いた「SOUL LOVE」。爽快さの中に、青春の甘酸っぱさも匂わせるセンチメンタルなこの2曲は、リリースからおよそ20年経った今でも変わらず多くの人に共感と感動を与える普遍的魅力を放った名曲中の名曲だ。

 「楽しいね! なんかさっきから俺、TEAM BREAKERZとHAPPY SWINGって分けちゃってるじゃない。BREAKERZ とGLAYでやる時は“グレイカーズ”でいいんじゃないかな。今歌いながら思ってました(笑)。全員ノレるし、いいよね!」

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 そんなMCでより一体感を増幅させたところで、ここからラストに向けて一気にアクセル全開。まずは、Red Bull Air Race Chiba 2017のテーマソング「XYZ」。大空を高速で駆け巡るが如くスピード感たっぷりのパンキッシュな1曲は、前もってレクチャーされたサビの掛け合いコーラスもバッチリ決まって大盛り上がり。その勢いのまま問答無用にみんなで騒げるビートパンク系ナンバー「CRAZY DANCE」で大暴れ。さらにこれまで数えきれない程のロックファンの胸を熱くしてきたレジェンド曲「誘惑」へとなだれ込み、狂騒感を煽っていった。

 「BREAKERZ10周年という大事なこの1年は、ファンのみんなとBREAKERZのメンバーと熱い熱い濃厚なキスを交わすような、そんな日々を過ごして欲しいと思います。今日は呼んで頂きありがとうございました。最後は僕らとBREAKERZを繋げてくれた音楽。そして僕らと“グレイカーズ”を繋げてくれた1日、この繋げてくれた奇跡をこの曲に託してお届けしたいと思います」

 GLAY本編ラストソングは、ファンファーレのようなイントロのギターフレーズが印象的な「Supernova Express 2016」。故郷・北海道への想いが綴られた晴れやかなギターロックが、この上ない開放感を与える中、GLAYのライブは華々しくフィナーレを迎えた。

 圧倒的な実力と存在感を見せつけたステージは、盤石な演奏とヴォーカルでライブの真髄を極めながら、BREAKERZ10周年を祝福しようという思いやりが随所に感じられる、彼らの人柄の良さが滲み出たパフォーマンスだった。そして、最新曲も多く織り交ぜられたセットリストは、今夏にリリースされるニューアルバム『SUMMERDELICS』を引っ提げ、全23公演23万人を動員し開催される大型アリーナツアーへの期待がさらに高まる、フレッシュでバイタリティー溢れる素晴らしいステージだった。

BREAKERZ

 ステージ転換後、場内は暗転。再び登場したスクリーンにBREAKERZが映し出され、GLAYとの対決にあたっての意気込みを語る映像が映し出された。トークの合間にDAIGOが、度々GLAYの曲名を挟み込むと客席は大盛況! こうしたセンス溢れるコミカルな演出も相変わらず面白い。さらにDAIGOが18歳の時に学園祭のステージで「BELOVED」を歌っている映像が流れ、その時の自分に向かって「音楽、やってきて、良かったな」と、しみじみコメントするという、笑いを誘いながらも心温まるシーンも流れ、会場を熱くした。

 そしていよいよBREAKERZのライブがスタート。ロック愛が自ずと浮かび上がるソリッドかつスピーディーなナンバー「激情」、AKIHIDEのヘヴィーなギターリフが炸裂し、DAIGOが「東京吹っ飛べ!」と焚き付けてアドレナリンを噴出させた「NO SEX NO LIFE」と、ド頭からグレイカーズを激しく揺さぶっていった。

 「Zepp DiverCityの皆さん、10番勝負にようこそ。俺達がBREAKERZです! 10番勝負今日がファイナル、しかもその対戦相手がGLAYさんなんて本当にすごいこと。心から感謝しています。ここに居る全員で最高の時間にしましょう! そして今日は皆さん、GLAYでいきましょう。GLAY=グランドフィナーレの・ライブを・熱く・やっちまおうぜぃ!」

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 TAKUROに負けじとDAI語で勢い付いたところで、メロディアスなBREAKERZ王道のロックチューン「Everlasting Luv」、愛を叫び、人との絆の大切さを歌ったポップな1曲「絶対! I LOVE YOU」、煌びやかな音色に心沸き立つラテンロック「BAMBINO 〜バンビーノ〜」と、ライブ定番曲で彼らならでは空間を作り上げていった。

 次のメンバー紹介では、SHINPEIが「生きてて良かった〜!」と大声で本音を吐露すれば、AKIHIDEは「GLAYさんはロックの1つの形、GLAYチルドレンを生み出した本当に偉大な存在。僕達の中にGLAYさんの遺伝子は息づいていて、ライブを見ていても心からというより、魂が震え出すという感じ」と熱く語った。そしてDAIGOは、「本番が近づいてきたある日TERUさんから“10番勝負、GLAYの曲で聴きたい曲ある?”ってLINEがきて。俺、それ見て泣きそうになっちゃって。本当に、GLAYの皆さんの温かさが心に染みています」というエピソードを明かしてくれた。

 続いて、本イベントではこれまで一度も演奏されなかった彼らにとって特別な位置づけのバラードナンバー「光」。プリミティブな感情をストレートにぶつけるDAIGOの歌声がフロアの隅々にまで染み渡っていった。

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 「俺たちにロックという夢を抱かせてくれたGLAYさんへの想いが詰まった曲を作ってきました」といって披露されたのは初披露の新曲「GREAT AMBITIOUS」。リズム隊がボトムを支える明快なギターロックで、初期衝動の瑞々しさを宿した素敵な1曲だった。

 「さっきからGLAYさんへの愛をずっと語っていますけど、いつもバンドで音合わせの時にやっているGLAYさんの曲が…」というDAIGOの一言に、客席から「やって〜」とリクエストが上がり、「誘惑」を1コーラスカバー。メンバーもオーディエンスもテンションをさらに上げて、ここから一気にラストスパート! 現段階での最新シングル「幾千の迷宮で 幾千の謎を解いて」で口火を切ると、生々しいバンドサウンドに妖艶なパフォーマンスで魅了する「REAL LOVE」、恒例のタオル廻しで熱風を起こした「灼熱」、そしてラストは「SUMMER PARTY」でプレミアムな一夜を鮮やかに染め上げ、終幕。

 BREAKERZ10戦目のステージは、これまでに培ってきたライブバンドとしてのアイデンティティとオリジナリティを提示したセットリストで、10周年のその先の未来への道筋を堂々と示す充実のロック・アクトだった。

グランドフィナーレ

撮影=KEIKO TANABE、達川 範一(Being.)、MASA

 アンコールに応えて、TERUとDAIGOが肩を組み登場。他のメンバーも和気あいあいとした雰囲気でまとまってステージに戻ってきた。

 そしてまず披露されたのは、GLAYのライブ定番曲、JIROのぶっといベースでスタートする「SHUTTER SPEEDSのテーマ」をコラボレーション。通常JIROがヴォーカルを取る冒頭の部分は、DAIGOとJIROの2人でユニゾン。上手にはTAKUROとAKIHIDE、下手にはHISASHIとSHINPEIの4ピースギターという圧巻の光景に興奮が止まらない。さらにBREAKERZの「WE GO」のコラボでフロアの熱量は止まるところ知らずの上昇曲線を描いていった。

 カオス状態のステージ上でDAIGOが「やばいっすね」を連発すると、TERUは「こういうパターン初めてかも。いつも対バンって遠慮がちになるんだけど、今日はみんなで前にドーンってイケてるんで、ホント楽しいね!」と、ナチュラルな笑顔を咲かせた。そしてなんとここでGLAYからBREAKERZに花束のプレゼント。このサプライズにメンバーは大感激。

 そして最後は、時代を越えて輝き続ける名曲「BELOVED」が披露された。この贅沢すぎるセットリストにオーディエンスはもちろん、BREAKERZ 3人も感無量の表情を浮かべ、Zepp DiverCityは無上の多幸感に包まれながら、ついにグランドフィナーレを迎えた。

 演奏終了後は恒例の記念撮影が行われ、ステージ中央のお立ち台にサポートメンバーも加えた総勢10人がひしめき合って立つと、本イベントの締めコトバ「GLAY vs BREAKERZ 10番勝負ファイナル 最高〜うぃっしゅ!」で大団円となった。

 バラエティー豊かなゲストを迎え、全身全霊で戦い抜いてきたBREAKERZの10番勝負は、数えきれない程の最高のメモリアルな瞬間を刻みつけ、大成功のうちに幕を閉じた。ここで得た刺激や感動や発見を、いかに血肉化し次に繋げていくのか。まずは7月に行われる10周年アニバーサリーライブに期待したい。そして終演後には、7月12日に新曲「夢物語」をリリースすることが発表された。(文=松原由香里)

ライブ情報

▽BREAKERZ デビュー10周年記念ライブ【BREAKERZ X】MEMORY
2017年7月15日(土)
会場:豊洲PIT
開場16:00/開演17:00

▽BREAKERZ デビュー10周年記念ライブ【BREAKERZ X】PROMISE
2017年7月16日(日)
会場:豊洲PIT
開場15:00/開演16:00

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