突き進む上で見えない努力を結集、Bentham　大海原で目指す音楽

間違ってないという強い意志

――そこは、他のメンバーさんも同じ意識なわけですよね。

須田原生

須田原生　そうです。どの楽曲も自分たちで自信を持って作っている以上、少しでも多くの人たちに聞いてもらいたい気持ちはメンバーみんな強く持っています。だからこそ、「大勢の人たちへ伝えるためにはどうすれば良いのか」というのは、アルバムを作って以降ずっとメンバー内で話しあってきたことでした。その意識を、具体的な形にしたのがこの『Bulbous Bow』という作品なんです。

　小関竜矢が歌詞に書いた「現状を乗り越えていく強い意志」に関しても、Bentham自体、前へ進みたいのに進めずにもがいていた時期も過去にはあったけど、その時だって絶対に自信を無くすことはなかった。自分たちがやっていることは間違っていないという強い意志があるからこそ、どんな状況の中でも前を向いて進み続けてきた。それを彼が歌詞へ書いてきたように、メンバーもその意識には強く共感していることです。

辻怜次　今回の『Bulbous Bow』を作る上で、バンド側はもちろん、制作チーム側も、同じよう「一人でも多くの人たちに触れて欲しい作品にしたい」という意識を共有して作り続けてきました。その気持ちが如実に作品の中へと現れた。完成したとき、それを自分たちでも強く実感出来たのは大きい成果だったなと思います。

鈴木敬　どれも普遍的な楽曲だしね。

――タイトルの『Bulbous Bow』の意味は、「船の造波抵抗を打ち消すために、喫水線下の船首に設けた球状の突起」ということですね。

小関竜矢　調べていただいた意味の通りです。今回のE.P.制作へ入る中、僕らの意識下にあったのが、フルアルバムをリリースした次に繋がる作品であり、４月という春の時期に発売すること。さらにバンドの今の姿勢という面でも、僕らは「前向きな意志」を強く持っていれば、それを作品に投影したい気持ちでした。

　ただし、「よっしゃ、行くぞー!!」みたいに若さや勢いに任せてではなく、そこはしっかり筋道を立てたうえで、自分たちが今まで経験してきたことも活かせる作品にしたかった。そのうえで、タイトルに関してはちょっとひねりたいなと思っていた中、今のBenthamを突き進む船に例えようと思いました。

　「Bulbous Bow」は、船の船首の下、それこそ水面下に設えた、いろんな抵抗力を失くすための突起物だから、海上からは見えないです。でも、船をしっかり推進していく上では大切なもの。バンドが突き進む上での見えない努力も、その「Bulbous Bow」のようだということから、このタイトルを名付けました。