Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード
INTERVIEW

Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月13日

読了時間:約12分

 4人組ロックバンドBentham(ベンサム)が11月13日、ベストアルバム『Re: Public <2014-2019> 』をリリース。インディーズからメジャーデビューを経て、Benthamの活動5周年を記念した初のベストアルバムで「パブリック (2019 ver.)」の再録や新曲「FUN」など全21曲を収録した。インタビューではこのベストアルバムから、Benthamの第1話が始まるという4人に、このCDデビューからの5年間で印象的だった出来事や、「パブリック (2019 ver.)」再録の経緯、ユウ(チリヌルヲワカ, ex. GO!GO!7188)が参加した新曲「FUN」に込められた想いなど、今の彼らのスタンスに迫った。【取材・撮影=村上順一】

この5年間で印象的だったこととは

――ベストアルバムはCDの限界まで曲を詰め込みましたね。

辻 怜次 もう、パンパンまで入れてやろうと思いました(笑)。

小関竜矢 僕らの曲が平均3分ぐらいのものが多いので、ここまで入れられたと思うんです。選曲や曲順はライブを想定して、みんなで話し合って決めました。

辻 怜次 今の僕らがライブでやるならこういう感じになるんだろうなと。

――過去の曲など改めて聴き返したり楽しかったのでは?

小関竜矢 最初は楽しかったんですけど、だんだん選ぶ難しさもあって大変でした。

――ライブを想定していることもあって、ベスト盤ですけど、すごく活き活きしているなと感じました。さて、CDデビューから5年ということで、皆さんそれぞれが一番印象に残っていることは?

小関竜矢 この5年を振り返って、楽しいこともたくさんありますけど、印象的なのは移動です。テレビやラジオ、フェスなど色んなものに出させて頂いたんですけど、こんなにも移動が大変なんだなということです。

辻怜次 長崎でライブをやった次の日に名古屋でライブをするという時があったんですけど、それは確かにキツかった(笑)。

鈴木敬 いつも僕らを撮影してくれているカメラマンさんが、その“鬼移動”で事故って死ぬんじゃないかと思ったくらいで。

小関竜矢 そういうのが積み重なって、声や体の調子が悪くなったりもしましたから。今ではメンバーにわがままを言ったり、サポートをしてくれる方もいるので、大丈夫なんですけど。

須田原生 色々経験したことで、メンタルも強くなりました。

――ちなみにその鬼移動のあった名古屋でのパフォーマンスはどうだったんですか。

小関竜矢 イマイチでしたね(笑)。もう、体調は万全でライブには臨まなければいけない、ということを痛感させられました。スキルというのはすぐに上げることは出来ないので、テンションの上げ方や体調管理の方がすごく重要なんです。

――やってみて初めてわかることもありますよね。では、辻さんの印象的なことは?

辻 怜次 僕は2015年の7月に佐渡ヶ島でおこなわれたイベント『「そうだ!佐渡へ行こう!!~旅行編~』です。すごくゴージャスなおもてなしを佐渡ヶ島の方々がしてくださって、有名なバンドさんもたくさん来ていたので僕らも緊張していたのを覚えています。ライブが終わった後に泊まっていた旅館で大宴会があって、そこで色んなバンドさんとドンチャン騒ぎをしたのがすごく印象に残っています。こんなにバンドが集まるとエネルギーがあるのかと思いました(笑)。

小関竜矢 僕はちょうどその時、移動で参っていた時期だったので、全然楽しめなくて(笑)。今ならすごく楽しめる自信があるんですけど。

――バンド内でも対照的だったんですね。鈴木さんの印象的なことは?

鈴木 敬 レーベルのスタッフとぶつかったことです。プロデューサーも含めてみんな熱い人たちだったので...。制作スタイルに関してアドバイスを頂いたんですけど、ちょっと僕らの中で疑問が生まれて、熱くなってしまったんです。

――それはどのような提案だったのでしょうか。

鈴木 敬 簡単に言うとDTM(デスクトップミュージック)を取り入れた方が良いんじゃないか、といった案です。結果的にはそれらを取り入れて行くことになったのですが、その時はなかなか納得が出来なかったんです。やっぱり僕らはセッションをしながら作っていくバンドだと思っていて。

辻 怜次 バンドの中でもそっちの方向に行って良いのかどうかと話し合いました。

鈴木 敬 そういう岐路は絶対あると思うんです。関わる人が増えた時に、どっちの道に行くかというのを、すごく考える機会になりました。

小関竜矢 熱い衝突でしたが、レコード会社の方々がこんなにも情熱を持って、僕らのために動いてくれるんだということが知ることができました。

――愛を感じた良い衝突だったんですね。続いて須田さんの印象的なことはなんでしょうか。

須田原生 僕は初の海外遠征となった台湾でのイベント『Spring Scream 2018 』です。今の事務所に入ってから台湾でライブをしたいとずっと言っていたんです。それが叶って、しかもそのフェスのトリに抜擢されまして。嬉しくてコーディネーターの方からライブで盛り上がる言葉など教えてもらって、念入りに準備して台湾に行ったんです。

――いきなりトリってすごいですね。

須田原生 でも、その日は風も強くて大雨で(笑)。

辻怜次 南の島なので暑いことを想定していたんですけど、結構寒くて(笑)。しかもフェスの場所が割と山の方で海も見えなくて、南の島感はほとんど感じられなくて…。

須田原生 トリということで待ち時間も長いので、テンションが落ちないようにみんなで高め合っていたんですけど、天候はどんどん悪くなっていく中で、更に機材トラブルなんかもあり、普段大声を出さない(鈴木)敬が怒ってました(笑)。

鈴木 敬 シンバルが1枚なかったんです(笑)。

須田原生 極め付けは客席をみたらほとんど台湾の方はいなくて、欧米の人が多かったんです。フェスのオーガナイザーが欧米の方だったので、その影響だと思うんですけど。

小関竜矢 なので、せっかく覚えた台湾語もほとんど意味がなくて(笑)。しかもトリなので、お客さんもみんなお酒を飲んで出来上がっていて…。色んな意味でインパクトがあった初の海外遠征でした。

須田原生 僕は上手(かみて)側で風上だったので、雨風が本当に強くて大変でした。その時のインパクトが本当に強くて、今も印象に強く残っています。良い経験をさせていただきました。

――海外へのこだわりも強かったんですね。

小関竜矢 僕らがCDデビューする1年半ぐらい前に敬がサポートで入ったんですけど、その時に敬が「海外でやってみたい」とボソッと言ったんです。リハスタで将来の夢を語っていた時にも、「海外の人が自分のドラムでどういうリアクションになるのか見てみたい」と話していて。それが自分にすごく刺さって、海外でやらせてみたいと思うようになりました。そのこともあってか、台湾でのステージの景色はいろんな意味でエモかったです。言葉は通じないですけど、予定調和ではない、良いものは良いという反応が返ってくるので、非常に刺激的な夜でした。

辻 怜次 YouTubeにその時のパフォーマンスが上がっているので、是非見て下さい(笑)。激しい雨の中で「激しい雨」という曲をやってます!

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