Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード
INTERVIEW

Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月13日

読了時間:約12分

再認識させるために今のスキルで録り直したかった「パブリック」

Bentham

――小関さんもBenthamらしさというのを考えていたので、その要素は必然だったかもしれないですね。この「FUN」にはユウ(チリヌルヲワカ, ex. GO!GO!7188)さんが参加されていますが、どんな経緯があったのでしょうか。

小関竜矢 僕がユウさんのファンなんです。曲が完成に近づくにつれ、自然と女性の声でコーラスを入れたいなとなりました。最初は特に女性ということだけで、誰にというのも決めてはいなかったんですけど。それで、ゲストボーカルを入れたいとスタッフに聞いてみました。そうしたら「いいんじゃない」と言ってもらえて。ちゃんとゲストを入れるのも実は僕ら初めてでした。

――初でしたか。

小関竜矢 知人やスタッフが入ったことはあったんですけど、初めてです。OKが出たのでそれなら大サビも歌ってもらおうと思いました。そのときにはユウさんのイメージがあって、歌ってもらいたいなと思いました。ユウさんは最初、デモでお渡しした僕の歌い方に寄せてもらっている感じがあったので、本番では自由に歌っていただいたんですけど、歌入れもすごく早くて感動しました。

辻 怜次 本当にめちゃくちゃ早かったんです。1時間ぐらいで全部録って、颯爽と去っていきました。

――カッコいいですね!

小関竜矢 カッコ良かったです。昔からずっとユウさんの歌を聴いてきていたので、僕らもキャリアを重ねてユウさんと一緒に出来るようになったんだな、と感慨深いものがありました。ここからまたちゃんとしなければいけないなという曲になりました。でも、ここでまだ満足しているわけではなく、もう少しで僕が見えている世界というのがひっくり返りそうな瞬間なんです。この「FUN」でそれが見えたらいいなと思っています。

――バンドが新たなフェーズに突入する、物語のページがめくれ上がっているというか。

小関竜矢 そんな感覚もあります。だけどそれが何ページ目なのかというのはわからないですけど。もしかしたら、ページをめくったらあとがきだったり(笑)。

――実は終わっていたみたいな(笑)。

小関竜矢 特に今がそういうわけではないですけど、そういうことにビクビクしていてもしょうがないんです。明るく楽しくやっていって、目の前に問題や壁が出来たら、その都度壊していけばいいんです。一人でやっていることではないので解決策はいくらでもありますから。ここから10年、15年と活動していくことについて無謀だろうと思う自分もいながらも、「いけちゃうよね」という自分もいます。なので一生懸命にやっていく、小さなことから…

一同 コツコツと!

須田原生 これが今のバンドのコンセプトなんです(笑)。

――堅実にですね。さて、「パブリック (2019 ver.)」は再録なのですが、過去の曲を録り直すというのは勇気が要りますよね?

鈴木 敬 はい。周りからもすごく言われました。レコーディングスタッフさんからも「再録って難しいんだよね」と。

須田原生 良くなるかどうかは、ぶっちゃけわからないなって(笑)。

小関竜矢 ヒットした曲だからというわけではなくて、結成8年、CDデビュー5年でここからもっと有名になりたい、売れたいというのがあって、僕らの中で一番認知されている曲を再認識させるために、今のスキルで録り直したかったんです。僕は5年前に歌ったものより良い歌が入れられたなと思いました。シンプルに上手くなってるし、声色も意外と歳を取っていなくて、フレッシュだなって(笑)。

――全体的なエネルギー感は底上げされていますよね。

辻 怜次 ライブでやっているアレンジをレコーディングしました。この5年間ライブで「パブリック」をやらない日はなかったので、5年で約500回以上は演奏してきた曲なので、その集大成が詰まっています。レコーディングエンジニアさんも「再録の意味があった」と仰って下さって。

――原曲のイメージを変えず、稀に見る良い再録だなと思いました。最後に読者にメッセージをお願いします。

鈴木 敬 事務所の社長が言ってくれたんですけど、令和だけにBenthamはまだ0話(れいわ)でまだ始まっていないとのことなんです(笑)。このベストアルバム『Re: Public <2014-2019> 』から1話が始まる、聴いてくれる方たちの中にもこのアルバムから始まる方がたくさんいると思うので、是非手にとってもらえたら嬉しいです。そして、11月22日に東京キネマ倶楽部でワンマンライブ『Bentham debut 5th anniversary special「東京パノプティコン ~Re: Public~」』をおこなうので遊びに来てください!

(おわり)

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