Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード
INTERVIEW

Bentham「まだ始まっていない」堅実に突き進むバンドのアティチュード


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年11月13日

読了時間:約12分

とにかくBenthamらしい曲を入れたい

――さて、今作には新曲も収録されています。なぜこの「FUN」を収録しようと?

小関竜矢 この曲は僕が作らせていただいたんですけど、ベストアルバムということで、後世に残る名曲というよりも、とにかくBenthamらしい曲を入れたいと思いました。メンバーの中では僕がBenthamらしさを担当している感覚もあって、僕が作ったこの「FUN」に決まりました。今まで思っていたことや感じたことをミュージシャンとして曲に落とし込めないものかと、より自然に作ることを念頭に、気負わずに作った曲なんです。なので、制作もすごくスムーズでした。

――小関さんらしい曲が出来たんですね。歌詞は深いと思いました。

小関竜矢 ありがとうございます。僕の書く歌詞は今まで「弱い」と言われる事が多くて…。歌詞の書き方にも変化があって、今まではこうやったらウケるだろうなと計算していた曲もありました。そういった曲はリアクションは良いんですけど、それで果たして良いのか、それは僕じゃなくても良いんじゃないかと思って…。メロディと4人の気持ちが乗っかって一つの曲が出来たときに、聴いてくれる人たちの心が動くと思ったので、この5年間で思ったことを書こうと思いました。

 今回再録させて頂いた「パブリック」の歌詞で<どうやって君の事 振り向かせたらイイの?>というフレーズがあるんですけど、本当にこの5年間で振り向かせる事が出来たのか、というのを自分自身に問いかけました。でもそんな簡単に振り向かないということをファンの方に君はどうだい?と、「FUN」で聞いてみている感じなんです。

――<変わらないでいてね、いつまでも大好きよ>というフレーズは実際に皆さんが掛けられた言葉だったり?

小関竜矢 たくさんいました。でも、その時の気持ちは嘘じゃないと思うんです。その瞬間は本当の気持ちで、僕はそれを大切にしたいと思っていて、その瞬間を継続するためにバンド活動をしているんです。バンドサイドでも「オレらは変わらないぜ」と言う人たちもいますけど、結果変わってしまったり...。でも、それもその時の情熱は嘘ではないし、そこに切なさや寂しさが詰まっていると思うので、敢えてその時の気持ちを否定したくはないなと。

――複雑ではありますけど、生きているが故の感情の変化ですからね。さて、この小関さんの書いた楽曲をどのようにアレンジしようと思いましたか。

須田原生 デモをもらった時からサビがすごく耳に残る曲でした。最初はもう少しロックンロール感が強い曲だったんですけど、それをどうやって僕らの曲らしくなるのかというところを話し合いました。攻めるところは攻めて、歌を聴かせたいところは音数を少なくしたりといったメリハリを考えました。その中で攻めたのがギターソロです。

 あと、いつもアルバム制作は5曲同時進行で作業することが多かったんですけど、今回は「FUN」と「パブリック」の再録2曲だったので、1曲に対する熱量がしっかり返ってくるのがわかりました。

鈴木 敬 みんなと話し合っている時に歌詞をもっと聴かせたいというのがありました。最初はリズムももう少しドロッとした感じだったのを軽快にしたり、元々の楽曲の雰囲気に寄りすぎないようにリズム隊は気をつけました。

辻 怜次 僕は最初聴いた時に「パブリック」に近いイメージを受けました。デモの段階では敬が言っていたようなドロッとした重い感じだったんですけど、ベースとしてはもっと聴きやすいものにしたいと思って、それが結果軽やかさにも繋がっていると思います。最近少し薄れてきていた、自分たちが実はあまり気づけていないもの、「パブリック」などにはあった自分たちの良い部分をこの「FUN」に入れ込むことが出来たんじゃないかなと思います。

――らしさを考えたアレンジということもあり原点回帰の部分も?

辻 怜次 僕個人としてはベースアレンジを考えている時、その傾向はありました。「パブリック」に近い感じを受けましたから。

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