<記者コラム:オトゴト>
 仮面女子の川村虹花が3日、女子総合格闘技団体・DEEP JEWELSの『DEEP JEWELS 18』大会で、総合格闘技(MMA)デビュー、そのファイトに改めて「音楽」と「最強」という言葉のつながりを考えていた。

 「最強の地下アイドル」これは、仮面女子のキャッチフレーズであるが、物事の良さを表現することが難しく、何でもランキングをつけて優位性を表さないと気が済まない、そんな風潮が溢れる今の世の中では、何ともピッタリな殺し文句だという感じではある。

 反面、アイドルや音楽の中で見せる「強さ」とは何だろう? と引っかかっているところもある。華麗に舞い、高らかに歌を響かせる、そして楽しさを目いっぱいに振りまく「アイドル」という存在の中にある“強さ”とは何なのだろう?

 しかしデビュー戦で勝利を飾った川村の「本気でやっているんだということを、見せたいという思いがすごくありました」という言葉には、妙に腑に落ちるところもあった。つまりは目の前でやっていることに対して、自らが傾ける“情熱”の深さ、ということなのではないかと。

 こう言ってしまっては何だが、単に踊りがうまいとか、歌がうまいとか、楽しい言葉をしゃべって和ませるとか、そういう部分は、実は物事の表面に過ぎない。いかにそこに自身の思いを注げるか、そして、その思いがみんなに伝わるかで、その見え方は大きく変わってくるのではないだろうか。

 今回イベントの大元となっているDEEPは、以前にもヘヴィメタルバンドOUTRAGEや、COCOBAT、PULLING TEETHといった面々を迎え『DEEP LOUD IMPACT 』という音楽と格闘技のコラボレーションプロジェクトをおこなったことがある。

 その際、格闘技と音楽、強さと音楽という面で、OUTRAGEの丹下眞也も「やっぱりロックな人って強いものに憧れる傾向ってありますよね。格闘家の方の背中を見ると『カッコイイ!』と思いますし」などとコメントしている。ロック、ヘヴィメタルという音楽であれば、なおさらそのように感じる面もあるのかもしれない。

 試合は“本気”の川村の戦いに、大いに沸いた。単に優位に試合を進めた、そんなテクニカルな部分だけではない、闘争心むき出しの川村の表情にも、その大きな歓声を呼ぶ要因があったのではないだろうか。戦いで見せた彼女の“本気”が、仮面女子の「最強」という称号をさらに真実味のあるものにしていけるか? これからの彼女の戦いぶりが楽しみでもある。【桂 伸也】

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