4人組バンドのflumpoolが12月2日と3日に、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで『flumpool 8th tour 2017 「Re:image」』をおこなった。このツアーは5月に日本武道館でBeginning Specialとして開催された『flumpool 8th tour 2017 Beginning Special「Re:image」at NIPPON BUDOKAN』を皮切りに、9月16日の宮城・仙台サンプラザホールから12月16日の鳥取・米子市公会堂までおこなうというもの。12月26日にリリースされるニューシングルから、「WINNER」や「とうとい」などアンコール含め全19曲を披露。山村隆太(Vo)は「一人ひとりの存在が僕らに力をくれています」と感謝を述べ、バンドとオーディエンスが一体となったステージで魅了した。横浜最終日、3日のもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

「いつだって未来は変えられる」

(撮影=後藤壮太郎)

 この日はスーパームーン、月が存在感を放つ横浜の海、その海沿いでは多くの人が会場へ向かう姿が見える。ホールに入るとステージには紗幕が掛かり、そこに青や緑の色を配置した地球を彷彿とさせるような模様。開演時刻になると、そこに都会の街並みが投影される。そして、「Re:image」のタイトルから4人のシルエットが浮かび上がる。大歓声が巻き起こり、「World beats」でライブの幕は開けた。演奏が始まるとレーザーが縦横無尽に飛び交い、さらに客席は回転するタオルで埋め尽くされ、序盤からテンションはマックス。

 「星に願いを」に続き、久々の披露となった「Hello」。オーディエンスのシンガロングに山村も笑顔を見せた。そして、12月26日にリリースされるシングルの中から新曲「WINNER」を届けた。背中を押してくれるような力強いメッセージとバンドサウンドで、聴くものを扇情させる。続いて、flumpool流シティポップナンバーの「DILEMMA」へ。爽やかな風がこの会場に吹くような軽快なアレンジと歌で、また違った景色を見せてくれた。

 MCでは阪井一生(Gt)の横浜での思い出話に花が咲き、そのユニークなキャラクターも相まって笑いを誘う。メンバーもそんな阪井にツッコミを入れるなどアットホームな空間が広がった。その空気を一変させるように「ここから最新のflumpoolをお見せします!」と山村の言葉から、ロックチューン「絶体絶命!!!」に突入。イントロでの阪井と磯貝サイモンによるツインギターが高揚感を誘い、尼川元気(Ba)のアグレッシブなベース、小倉誠司(Dr)のラウドなビート、そして、真っ赤なライティングが闘争本能を触発。そこに一際エモーショナルに響く山村の歌。

(撮影=タマイシンゴ)

 その勢いをさらにブーストさせるかのように「夜は眠れるかい?」へ。ド派手なライティングとサウンドも相まってさらにエキサイティングな空間に、ボルテージは高まっていく。そして、今度は内にある感情を解き放つように「FREE YOUR MIND」を披露。映像とともに楽曲の世界観を作り上げ、「ラストコール」へ紡いだ。ストリングスによる壮大なスケール感、惹き込まれるような神秘的な宇宙を感じさせる映像、ドラマチックな楽曲はオーディエンスの目と耳を釘付けにしていく。

 メンバー紹介を経て、今回のツアータイトルに込められた想いを山村が語る。「未来をやり直す」、来年訪れるデビュー10周年、ここまで支えてくれたファンに感謝を述べ、まだ自分たちの描いたイメージには届いていないと話し、「まだ諦めてはいない、いつだって未来は変えられる」と強く宣言。

 その想いをメジャーデビュー曲である「花になれ」に託す。エッジのきいた吉田翔平によるヴァイオリンが響く。何百回と歌ってきたであろうナンバーは、いつにも増して力強く咲き乱れるようだった。「ナミダリセット」では情感を込め歌い上げる山村の姿、そして、アウトロでのオーディエンスによるシンガロングで一体感を強く感じる瞬間。

新曲「とうとい」を披露

(撮影=タマイシンゴ)

 ライブは後半戦に突入し「reboot ~あきらめない詩~」へと流れた。光の絨毯とも言えるレーザーが会場いっぱいに広がり、高揚感を煽るイントロ。まさに今のバンドの心境を体現している歌の一つではないかと感じられるような演奏と歌、そして、ギアを上げ加速するかのように「イイじゃない?」へと繋いだ。山村は声が掠れながらもメッセージを届けた「君に届け」。いつも以上の届けたいと思う力が歌に宿っているようだった。「ひとつになろうぜ!」と山村の叫びから「Touch」。尼川はシンセサイザーでベースを奏で、小倉とともにダンサブルなグルーヴを作り上げていく。スクリーンには七色の光が鮮やかに輝き、楽曲を彩った。

 「9年間いろんなことがありました。そのなかで鳴り響いていた言葉があります。『いつだって前を向いていこう』。今日みたいに幸せを感じる日もあるけど、悲しくなる瞬間だって人生あります。だけど人生色々あるけど『前を向いていこう』ということを、この9年間与え続けてきた気がします」と話す山村。

 「一人ひとりの存在が僕らに力をくれています」と、そのかけがえのない思いをこのライブで伝えたいと新曲「とうとい」を披露。スクリーンには光のカケラが降り注ぐような美しい映像がステージを彩る。温もりや優しさが感じられる音、そのバックボーンにあるのはきっと支えてくれた人たちへの感謝の念。丁寧に情感を込めながら歌い上げる山村の姿。<生まれてくれてありがとう♪>とこの歌詞が胸に響いた。

(撮影=後藤壮太郎)

 アンコールに応え、再びメンバーがステージに登場。「みんなから熱いものをもらいました。それをちょっとでも返せたらと思います」と投げかけ、「大切なものは君以外に見当たらなくて」を届ける。全身全霊で歌い上げる山村。「ひとりじゃないから前に進めています。誰かが支えになっています。今はいない人もきっといつか現れます。一緒に戦っていこう…」と投げかけ、その気持ちに呼応するかのように、オーディエンスもサビをシンガロングし美しい歌を聴かせ、会場が同じ気持ちのエネルギーで満ちた瞬間だった。山村はその歌に「ありがとう!」と生声で感謝を告げ、横浜公演の幕は閉じた。

セットリスト

12月3日 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール

01.World beats
02.星に願いを
03.Hello
04.WINNER
05.DILEMMA
06.two of us
07.絶体絶命!!!
08.夜は眠れるかい?
09.FREE YOUR MIND
10.ラストコール
11.花になれ
12.僕はここにいる
13.ナミダリセット
14.reboot ~あきらめない詩~
15.イイじゃない?
16.君に届け
17.Touch
18.とうとい

ENCORE

EN1.大切なものは君以外に見当たらなくて

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