flumpoolが2月16日、大阪・大阪城ホールでコブクロをゲストに迎えたライブイベント「flumpool Road to 15th anniversary Dream Live with コブクロ『FOR ROOTS~天王寺ストリートメイド~』」を開催した。同イベントは、今年10月1日にデビュー15周年を迎えるflumpoolが、同じ大阪で結成されたコブクロとの対バンを熱望し、その思いに応えたコブクロがオファーを快諾。flumpoolがインディーズ時代、コブクロの大阪城ホール公演へと向かう人々の前でストリートライブを行ったこともあるという思い出の場所で、夢の共演が実現した。

 「壁も 屋根もいらない ただ そこに 希望という地面があれば……」と、flumpool山村隆太(Vo)のナレーションが流れ、そのバトンを受け取るようなピアノの調べに導かれたコブクロは、冒頭から美しいコーラスワークで聴かせた「桜」で幕開け。総立ちのオーディエンスが息をのむ中、「いくぞ大阪ー!」と黒田俊介が叫ぶと、約3年ぶりの声出し解禁に歓喜する大歓声が受けて立つ。「Million Films」でも持ち前の温かなメロディで魅了し、「同じ大阪・天王寺のストリート出身のコブクロです!」とこの日を心底待ち望んでいた小渕健太郎があいさつをすれば、「今日はflumpoolの15周年のお祝いに駆けつけたんですが、僕らも9月から25周年なんで(笑)」と返す黒田に、客席からはドッと笑いが沸き起こる。

コブクロ(撮影=渡邉一生)

 その後も、さすがのMCで息をつく暇もないほど場を沸かせ、小渕が「今まで我慢した3年分の声を、思う存分出せる曲をやります。25年前から路上ライブで歌っていた曲を聴いてください!」と語り始まったのは、「ストリートのテーマ」。バッチリ決まった久々のコール&レスポンスには、コブクロの2人も「最高だ! やっとこの日が来た」と、思わず感激の表情に。一転、切々と歌い上げた感動のバラード「未来」、力強い旋律をバンドと一丸となって放った「DOOR」と立て続け、3月1日にシングルリリースとなる最新曲、TVドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』の主題歌「エンベロープ」も初披露するなど、壮大なスケールで会場を包み込んでいく。

 間奏の和太鼓の乱れ打ちでも魅せた2025年の大阪・関西万博オフィシャルテーマソング「この地球(ほし)の続きを」の後は、「せっかくなのでギターだけで、ストリートライブみたいにやってみようと思います!」と小渕が告げ、flumpoolのメンバーも合流。「むちゃくちゃ出にくいし! 面白過ぎます」と山村が嘆くのも納得のコブクロのトークモンスターぶりには終始翻弄されつつも(笑)、コブクロの代表曲「轍-わだち-」を何とも贅沢な6人編成で届けると、まだライブの中盤ながらクライマックスのごとき熱量で大合唱が巻き起こる。両者とも楽しくて仕方がないという様相で、当時flumpoolがストリートでよくカバーしていたというコブクロの「Bye Bye Oh! Dear My Lover」も和気あいあいと演奏した、スペシャルなコラボとなった。

コブクロ(撮影=渡邉一生)

 そして、満を持してのflumpoolのライブは、満場の手拍子に支えられた「Touch」からスタート。しなやかなボーカルを大阪城ホールいっぱいに響かせた山村が、「3年間、心の中で叫んでいた声を聞かせてくれ!」と続けたのは「星に願いを」。今日を迎えた喜びを長い拍手で伝える観客の姿に、「本当に来てくれてありがとう! 会いたかった。もう涙をこらえるので精いっぱいです」とは山村。続けて、「ホンマに最高の兄貴です。今日のライブも僕たちを刺激し、飛躍させてくれると思います。だからflumpoolも全力で、これまでで一番いいライブをしようと思ってます!」と宣言し、メロウなミドルバラード「証」では、巨大な空間を鮮やかに彩る照明もろとも世界観を構築。「今日来てくれた皆さん一人一人がいなかったら、僕たちの夢はかないませんでした」と感謝を述べた後も、「どんな未来にも愛はある」~「その次に」と、flumpoolが15年かけて積み上げた切なき楽曲群に心地良く引きずり込んでいく。

flumpool(撮影=渡邉一生)

 MCでは「俺の方がコブクロのファン」だと息巻くメンバー同士のやりとりでも和ませ、満員御礼の絶景を見渡した山村が「こんなにたくさんの方が……全部コブクロファンやったらどうしよ(笑)。3年分、今日で取り返しましょう!」と促し、「花になれ」へ。曲の途中からは再びコブクロが登場し、flumpoolのデビュー曲を共に歌うというプレミアムなシチュエーションは、音楽の無敵感を存分に感じさせたこの日のハイライトとなった。これには山村も、「今日まで頑張ってきてよかったなと。最高の「花になれ」になりました!」と感動しきり。デビュー10周年当時、山村の喉の不調により活動休止を余儀なくされたflumpoolに、救いの手を差し伸べた恩人がコブクロだったことも山村の口から明かされ、「助けてくださったお二方と絶対に歌いたかった」という「HELP」からは、そんな熱い思いがしっかりとにじみ出ていた。

flumpool(撮影=渡邉一生)

 ライブもいよいよ終盤となり、サビで幾千ものタオルが舞った「World beats」、いまだ色あせないヒット曲「君に届け」と畳み掛け、山村は最後にこう語る。

 「コブクロさんの追いかける背中があったから、どんなときも走り続けて今日ここまで来れました。18の頃に「いつかコブクロさんとライブをしたい」と夢に描いてから20年。夢を追うことは楽しいばかりじゃないなと思ったし、何度も諦めそうになりました。今は仲良くやってますけど、メンバーがバラバラになりそうなときもありました。それでもこの4人で向き合って、いろんなことを乗り越えて、今日ここまで来れました。皆さんにもかなえたい夢があると思います。前を見ていたら、いつか今日みたいに素敵な日がまた来ることを信じてこれからも戦っていきますので、皆さんもどんなことがあろうと一緒に、それぞれの夢に向かって戦っていきましょう。今日はどうもありがとうございました!」

 15周年を前に今一度思いを新たにするかのような一曲は、声出し解禁となりオーディエンスとシンガロングが出来るようになった「明日への賛歌」。エンディングにふさわしい渾身のパフォーマンスで、ついにライブ本編は終わりを迎える……。

 アンコールではコブクロが三たび現れ、山村が「僕たちの大好きなコブクロの曲をやってもいいですか? この曲にも本当に励まされた、大切な一曲です」といざない、名曲「YELL~エール~」で幸福に満ちた景色を大阪城ホールに作り出す。正真正銘のラストはflumpoolとコブクロの共作で、ストリートライブをテーマに書き下ろされたという新曲「羽音色」を。山村が「大学の頃、やりたいことも見つからないまま、いろんなモヤモヤを抱えてストリートに立ったんですけど、そのときだけは何にでもなれる、輝ける自分がいた気がしたんです。歌うことによって、ストリートライブで人生が変わっていく、そんな思いを曲にしたくて」と言えば、「ストリートって僕らの生まれた誇り高い場所なんだよね。あのときの空気を歌にしてみようって」と小渕。オープニングのナレーションはこの曲の歌詞の一節だったという伏線回収もお見事な骨太のメッセージソングで、約3時間半に及んだ夢の一夜は幕を閉じた。

コブクロ&flumpool(撮影=渡邉一生)

 なお、flumpoolは10月6日東京・日本武道館で、デビュー15周年を記念したワンマンライブを開催することを発表。flumpoolが日本武道館公演を開催するのは、2017年5月以来、6年5カ月ぶりとなる。(取材・文:奥“ボウイ”昌史)

コブクロ&flumpool(撮影=渡邉一生)

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