号泣じゃなく曲で勝負、BLUE ENCOUNT 実体験から生まれた新曲
INTERVIEW

号泣じゃなく曲で勝負、BLUE ENCOUNT 実体験から生まれた新曲


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年04月27日

読了時間:約11分

「さよなら」の実体験があって、この歌詞が書けた

辻村勇太(撮影=浜野カズシ)

――ギターの音色とかは?「さよなら感」を出す音って言うと変ですけど。

江口雄也 この曲の持つ切なさや温かさは、なるべく音色で表現出来るようにこだわりました。リバーブの感じとか、若干、ディレイをかけているところとか。あと前半は、田邊と2人で、アコギで録ってるんですけど、マイクの位置もすごくこだわりました。あまりハイができすぎないように、丸みがありつつ、ちゃんと粒立ちしているものを心がけました。だから、アレンジにかける時間よりも、音作りにかける時間のほうが長かったと思います。バンドの持つ力強さだけではないところで、そんなにバンド好きでもない人にでも、聴いてもらえるサウンドメイクが出来たと思います。

――アコギは?

江口雄也 自分はギブソンだったかな。

田邊駿一 マーチンです。僕がアコギを弾くときは、高確率でマーチンなんです。前にアルバムのボーナストラックで弾き語りをしたときもマーチンでした。僕はアコギからギターを始めたので、アコギの音がすごく好きで。ギブソンは、けっこう太い感じだけど、マーチンは良いライトさがあって、バッキングに適しているんです。

 今回はアコギ2本の絡みで、初めてだったのですごく難しかったです。エレキがレスポールなので、その邪魔にならず、でもアコギのジャカジャカした感じを残したくて。

――歌詞は、映画のネタバレになるような感じ?

田邊駿一 もちろん映画のために作ったのもあるけど、 僕の実体験も込めています。この曲を作った時期に、「さよなら」を言うタイミングが多くて。昨年12月には、4年ぐらい一緒にやっていたスタッフが異動になって、今年1月には、地元で幼少期にお世話になっていたおばあさんが亡くなって。ちゃんとそういう相手を思い浮かべることが出来たので、この歌詞が書けたと思っています。

――感謝の気持ちを伝えたいときに相手がいないことのもどかしさ。実際にそういうときになって、初めてありがたみや感謝の気持ちに気づくんですよね。

田邊駿一 そうなんですよね。自分から望んで旅立つ人はいないし、残された人にとっても、それは不意に訪れるものなので。聴いてくださった人の中にある、「さよなら」の気持ちを解き放ってくれたら嬉しいです。

――メンバーのみなさんは、この歌詞はどんな風に響きましたか?

高村佳秀 僕も、自分の体験を思い出しました。きっと聴いた誰もが自己投影出来ると思います。多くの方が、これを聴いて自分のことに重ねてほしいです。

辻村勇太 僕は、昨年祖母を亡くして。僕の音楽活動をすごく応援してくれて、ライブにもよく来てくれていたんです。だからこの歌詞を読んで、自分の気持ちを歌ってくれているように感じたし。もし「ありがとう」と伝えられなかったとしても、その人のことを忘れずにいてあげることが、いちばんの供養と言うか、残された僕らが出来ることだなって。本当に感謝している人のことは、絶対に忘れてはいけないなって、この曲を通して田邊に教えられた感じです。

江口雄也 メロディ感も、切ないけど温かさがあって。映画にも合っているけど、単純に今の出会いと別れの季節にも合った歌詞だと思います。

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