号泣じゃなく曲で勝負、BLUE ENCOUNT 実体験から生まれた新曲
INTERVIEW

号泣じゃなく曲で勝負、BLUE ENCOUNT 実体験から生まれた新曲


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年04月27日

読了時間:約11分

曲だけでぶん殴れるようになった

高村佳秀(撮影=鈴木公平)

――カップリング「Wake Me Up」は、ほぼ英語詞の曲で、ユーモアがあってトリッキーな感じ。

田邊駿一 これは、告白したら煮え切らないフラれ方をして、望みがあると勘違いして翻弄される男の歌です。移動の新幹線で隣の席のカップルがあまりに幸せそうだったので、ちょっと腹が立って反発した感じの曲を書きました(笑)。

 好きって言われたとき、自分が好きじゃない場合のどう断ろうか選手権みたいな(笑)。上手な断り方を知らない世代って言うか。こういう煮え切らないフリ方は、今の若者“あるある”かなと。

――和訳がついていて、<なんすかね?>とかあって面白いですね。

田邊駿一 田邊節ですね。英語って一個の解釈じゃないし、映画の字幕だって翻訳家の方によって様々なわけで。そういうところで遊んでみました。歌詞カードには和訳も載るので、それも含めて楽しんでいただけたらうれしいです。

――ベースがバキバキで、曲調が面白い。

高村佳秀 ダンスナンバーです。ブルエンの得意分野。今までこういう曲調はたくさんやって来て、その上で各々が限界を超えてやっている感じです。

辻村勇太 激しくて新しいものが出来たかなって。それぞれでのソロ回しもあるし、ギターとベースのユニゾンもあるし。新しいチャレンジがたくさん出来たと思います。

――カップリングのもう1曲は、初のメンバー楽曲で、ギターの江口さんが作詞・作曲した「The Chicken Song」を収録。

江口雄也 チャレンジの一つとして、田邊以外の曲を入れようと。それで、3人全員書いたんですけど、「さよなら」と「Wake Me Up」との対比で、僕の曲がいちばんハマったので決まりました。特に難しいことは考えず、純粋な気持ちで書きました。自分という人間性だったり、自分がこれまでに聴いてきた音楽を、そのまま曲にしてみようと。

辻村勇太 演奏も江口のアレンジに寄せているので、江口雄也という人間が、すごく出ていると思います。

――ストレートなパンクナンバーですが、江口さんの音楽的なルーツは?

江口雄也 175Rとか、そのあたりが色濃く出ていると思います。歌詞の世界観で言うと、チャットモンチー。甘酸っぱいけどストレートな感じ。自分のキャラクターや自分が持っている世界観を出せたなって思います。

――ちなみに、お2人はどんな曲を?

辻村勇太 よっちゃん(高村佳秀)は、すごく良いバラードを作ってきましたね。ギターが弾けないので、ピアノとドラムで作っていて。

高村佳秀 歌詞もタイトルもなく、本当に曲だけですけど、ピアノロックみたいな感じです。逆に辻やん(辻村勇太)は、僕らにはないすごく破天荒な曲を作ってきました。

辻村勇太 僕は、ギターとベースを弾いて、ドラムは打ち込み。あとキーボードを入れて作りました。

田邊駿一 辻村の曲は、仮タイトルが「青柳出来るかな」だったんですよ。他には「青柳ポップ」とか「青柳ドライブ」とかあって。「何だ? この青柳シリーズは!」と思って(笑)。

辻村勇太 PC上のファイル名で、自分で分かるように付けただけなんで、意味はないです(笑)。

――現在開催中のツアー『TOUR2017 break“THE END”』も、5月7日の福岡国際センターでいよいよファイナルですが。

「さよなら」初回盤

田邊駿一 最高のファイナルを迎えられそうです。今までは、僕らのがむしゃら感が評価されていたわけだけど、良い意味で無駄なものが取れたと思っています。がむしゃらさだけでは届かないものもあって、このツアーでは歌と曲を届けることに集中していて。そうしたら、お客さんのノリ方も少し変わっていったんです。それまで勢いだけでノらせていたものとは違って、身体の芯から温まっている感覚と言うか。

 前はがなりすぎてノドを潰しちゃうことがよくあったけど、このツアーではそれがないし、無駄に叫んでないし、何ならMCもほとんどしていないくらいなので。

――では今は、MCで泣いたりしていないんですね。前は、MCで田邊さんが泣くのも、ブルエンの魅力になっていたけど。

高村佳秀 僕はいつも後ろから田邊のことを見ているので、お客さんに近い立場で見られるんですけど、泣いてなくても熱量はまったく変わってなくて。むしろ、胸の奥底からあふれ出るような、グッとくるものがあります。

田邊駿一 さんざん泣いていたくせに、何なら「泣くやつがいるかバカ」って、言えるくらいひとり一人が強くなりました。

 もちろん、僕がMCで泣いていたことが話題にもなって、いろんなところに出させてもらって、武道館や幕張メッセでワンマンも出来たんだと思います。でも、導入がそれだったとしても、それをずっと引っ張る必要はなくて。MCとか号泣じゃなく、曲だけでぶん殴れるようになった。そういう力がついてきました。

(取材=榑林史章)

◆BLUE ENCOUNT 田邊駿一(Vo&G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)。2003年に結成、インディーズ活動を経て、2014年にE.P.『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。現在までに7枚のシングルと2枚のアルバムをリリース。最新アルバム『THE END』はオリコンチャートトップ10入りを果たした。田邊がMC中に号泣する熱血ライブが話題に。バンドも人気を集め、2016年に初日本武道館公演を開催、今年3月には幕張メッセ国際展示場でワンマンライブを開催した。

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