舞台あいさつに出席した優香(中央)内川蓮生(右)清水崇監督

舞台あいさつに出席した優香(中央)内川蓮生(右)清水崇監督

 パンクロックバンドのTHE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)の楽曲をテーマに、6人の映画監督がそれぞれ短編ストーリーを制作したオムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』が8日に公開。9日には、そのなかの一つ、『少年の詩』を手掛けた清水崇監督(44)と、映画に出演した優香(36)、内川蓮生(12)が舞台挨拶に登壇。2年ほど前におこなわれた撮影の様子を振り返った。

 『少年の詩』は1987年の昭和の風景を舞台に、とある団地に母と二人暮らしをする、反抗期を迎えつつある少年一人が、自分の誕生日に母とケンカ、さらに母に言い寄る男を嫌いながらも、当時に流行したヒーローのごとく自らを奮い立たせ、頭の中のモヤモヤした気持ちと対峙していく姿を描く。母親役を優香、少年を内川が務めた。

 この映画は撮影からクラウドファウンディングをおこない、2年の期間を経て公開となった。内川は公開までの期間を振り返って開口一言、12歳となった現在で、2年間で15センチも身長が伸びたことに触れ「別人かと思われるかもしれませんが、本人です」と冗談交じりの挨拶で、笑いを誘った。

 清水監督の身長に迫りそうだというその成長ぶりに母親役を演じた優香は「びっくりしました。髪の毛もお洒落にして、イケメン度が増しました。撮影当時はかわいくて抱きしめたくなるような子だったのに」とかなり驚いた様子。

 一方の優香は、かつて清水監督が手掛けた映画『輪廻』で仕事をともにした間柄で、今回は10年ぶりの清水映画出演となる。流ちょうなトークを見せる優香に対して「以前はこんなにトークが上手ではなかったのに」と振り返った。

 昨年は、俳優の青木崇高と結婚した優香だが、撮影時は未婚。清水監督はその頃を振り返り、優香に母親役をオファーするにあたって「独身だったので、気は使っていましたよ」と語り、笑いを誘った。

”優香スマイル”をみせる

 他方、その中で母親になり切れるかは心配していたことを明かしながら「ちゃんとお母さんぽさを出してくれた」と撮影に満足したとも述べた。

 その優香は「蓮生君のおかげです」と語りながら、現在既婚の立場より「こんなかわいい子がいたらいいなと思う。うちに連れて帰りたい」と内川にメロメロになっていた様子を見せていた。

 本作の撮影は、清水監督のルーツとなる群馬・前橋で、地元市民の協力とともにおこなわれた。当初は清水監督のルーツとなる時代背景を構想として描いていたが、ブルーハーツのデビューとなる1987年を背景とすることにこだわり、その時代の風俗や歴史背景を忠実に再現、劇中のテレビで流れるCMなどに至るまで、そのこだわりが作品に反映されている。

 ちなみに劇中に登場するスーパー「とよたや」という場所と、俳優の新井浩文が演じる永野店長というキャラクターは、当時世を震撼させた「豊田商事事件」と、その被害者となった永野会長という人物から由来していることを、清水監督は明かしている。

 また今回テーマとして『少年の詩』を選択したことについては、映画制作にあたり事前に様々な案を作った中で、特に思い入れがありこのテーマを選んだことを明かしながら、“六者六様”の作品ができたことを感慨深く感じ「見ていて疲れるけど、それだけ見ごたえがある作品になった」と作品をアピールしている。(取材・撮影=桂 伸也)

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