記者会見に出席した、SpotifyのCEOで創設者のダニエル・エク氏(左)とSportify JAPAN代表取締役のハネス・グレー氏(撮影・小池直也)

記者会見に出席した、SpotifyのCEOで創設者のダニエル・エク氏(左)とSportify JAPAN代表取締役のハネス・グレー氏(撮影・小池直也)

 世界最大手の音楽ストリーミングサービス「Spotify」(スポティファイ)が29日、日本でのサービスを開始。それに伴いう記者発表会が同日、都内でおこなわれ、SpotifyのCEOで創設者のダニエル・エク氏らが出席した。以前から日本参入が報じられ、この日を迎えるまでに4年の歳月がかかった。この日の会見では、同サービスの概要を中心に説明がなされたが、その後の報道陣の質問に、日本の音楽市場について触れる回答があった。この質問に応じたのは、Sportify JAPAN代表取締役のハネス・グレー氏と玉木一郎氏。その内容を以下に紹介したい。(取材・小池直也)

 まず、会見では創設者のダニエル・エク氏と、Sportify JAPAN代表取締役のハネス・グレー氏がそれぞれ以下の通りに想いを語った。

エク氏 当時私が東京に来た時、日本の伝統に驚きました。これによって日本が非常にユニークな国になったんだと思います。今回は200万ものアーティスト(登録アーティスト)を日本にお連れすることが出来て本当に喜ばしく思っておりますし、私たちが好きな邦楽アーティストを紹介することができてとても嬉しいです。

グレー氏 1つお話ししたいのは、『Spotify』は音楽を使ったテクノロジー企業ではないということです。テクノロジーを使った音楽会社であります。ファンのための、ファンによる音楽企業です。だから毎日より沢山の人に沢山の音楽を提供するためにはどうしたらいいかと考えて開発しております。

 そして、質疑応答で以下の通りに回答があった。

――現在の心境は。

グレー氏 日本市場は我々にとって重要なマーケットです。ユニークな市場でもありますが「確実に成功する」ということが目標でもあったので、これだけ時間がかかったという事です。音楽業界の成長に貢献したいと思っています。発表会でも話しましたが、我々は非常にエキサイティングな想いで取り組んでいます。

玉木氏 僕らは4年間準備をしてきましたが、結果として必要な時間だったと思います。サービスを磨くのにも必要だったし、協力を得るための時間も必要でした。

――日本の音楽はどう思うか。

グレー氏 非常に多様ですね。色々とポップスも豊富ですし、エレクトロ系のものもかなり多いという印象を持っています。邦楽と洋楽がありますが、私たちはそこの垣根を無くしたい。色々な形でミックスしたものが、このサービスに適しているとも思っています。

――世界市場に日本の音楽はもっと聴かれるようになるか。

グレー氏 もちろんです。

――日本の音楽産業については。

グレー氏 ドイツや日本の場合は、CDが音楽の主要な売り上げです。しかし、ドイツではCDの売り上げが減少しても、それを相殺するような形でストリーミングの売り上げが上がっている。今、そういう形で音楽業界がスムーズな移行を遂げています。おそらく、日本もその様な流れに乗っていくのではないか。

――世界第2位の音楽マーケットを有する日本への進出が遅れたのはなぜか。

玉木氏 大きい産業が動くのには時間がかかります。そのくらいのインパクトが「Spotify」にはある。なので、しかるべきタイミングを探すのに時間がかかりました。日本の音楽業界と一緒にそのタイミングを探した、ということになります。

グレー氏 新しいビジネスモデルを持ち込もうとすると、調整は色々必要です。

――先行した他社のストリーミングサービスが、レコード会社の配信提供への抵抗感を和らげたのでは。

玉木氏 徐々にあったのではないでしょうか。ユーザーも音楽だけでなく、映像のストリーミングサービスが主流になろうとしているというのが去年からありましたから。ストリーミングというものから全体を守る気持ちは、ハードルが下がったと思います。

――配信を許諾されなかったアーティストもいるが、理由は。

玉木氏 なぜでしょうか。僕も聞きたいです。色々な要因があると思いますが、やっぱり人間は初めての事には慎重になるだろうと思います。だから「Spotify」は、そういう新しさを持ち込んだ、という事ではないでしょうか。今後はアーティストの理解も進んでいくと思います。ストリーミングを市場にしていく事を目指していかないと、日本も上手くいかないと思います。

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