あっこゴリラ、ビッケブランカ、SIRUP、ドミコ、RIRI、Nulbarich、ReN、Official髭男dismが3月28日、東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された『Spotify presents Early Noise Special』に出演した。このライブは音楽サブスクリプションサービスのSpotifyが主催している、注目新人アーティストを集めるパーティ『Early Noise Night』の特別版。事前にソールドアウトが発表されていたこの日、フロアは人で埋め尽くされていた。『スーパーファン』と呼ばれる、各アーティストのリスナーで最も再生数の多い数名を招待するという、ユニークな試みもあったという。3時間を超える熱い夜となったこのイベントの模様をレポート。

あっこゴリラ

あっこゴリラ

あっこゴリラ

あっこゴリラ

あっこゴリラ

 定刻になると、10カウントダウンからイベントがスタートした。最初のステージはあっこゴリラ。DJのPARKGOLFが「100%AKKOGORILLA」のビートを鳴らして、本人が登場。全身黄色の衣装で大きな旗を持って登場した彼女は「元気ですか? 準備いいですか?」と呼びかける。そしてSpotifyで162万回再生されているという「ゲリラ×向井太一」(向井は登場せず)でイベントが開幕。フロアにマイクを向け、参加を促しながら空気を作りあげていく。「グランマ」からサポートのBNNZが演奏し、メインステージとサブステージ前面を使ってパフォーマンスした。

 「春っていいですよね。過ごしやすいし、花見もあるし。でもその代わり環境の変化もすごいし、実際病む。でも人と比べて自分をダメだと思わなくていいし、自分が選んだ自分が最高。そんな合言葉が『余裕』」。

 小気味いいMCを入れてから「余裕」を短めに披露した。そして最後はパーティチューン「GRRLISM」で締め。切れのよいリズムのラップを叩きこむ。エンディング後「ありがとう。終わり。短いんだよ今日」ともらすと、もっと聴きたそうなオーディエンスの声も聴こえてきた。

 ステージ後のインタビューでは「やりやすかった。トップバッターってお互いやりづらいじゃん。みんなポテンシャル高かった」と気持ちよさそうにコメント。「価値観もゴロゴロ変わっていく年になると思うし、世界の人たちとつながって色々やりたいと思います」と今後の意気込みも語った。

<セットリスト>
01.100%AKKOGORILLA
02.ゲリラ×向井太一
03.グランマ
04.余裕
05.GRRRLISM

ビッケブランカ

ビッケブランカ

 2番手はビッケブランカ。映画『ライオンキング』のテーマをSEに、まずサポートバンドがステージへ。それに続いてビッケウランカが登場。この日の編成はビッケブランカ、ギター、キーボード、ベース、ドラムの5人。先手のあっこゴリラが打ち込みライクな演奏だったのに対し、ロックバンド感あふれるサウンドがコントラストを生む。

 1投目はビッケブランカ自身がピアノをパーカッシブに叩いて始まる「ウララ」。Aメロからはハンドマイクで歌っていく。「Are You Ready?」とサビ前で煽って、観客にアピール。間奏ではビートに合わせて踊る場面もあった。日常でもSpotifyをよく使っているというビッケブランカは「一番立ちたかったところにいられて嬉しいです」と話し、嬉しそうな表情を見せる。弾き語りで歌い始めた2曲目「まっしろ」は、粉雪が舞う様な演出も見どころだった。

 それから「ガッキー(新垣結衣)が夢に出てきた」という話で笑いをとってから。「Winter Beat」へ。ピアノロックな曲調、裏声が気持ちいいサビ、バックバンドのコーラスワークも印象的。炎が上がる演出もあった。

 ステージ後のインタビューでは「自分で退屈しないように、色々なものを作るという感覚が根っこにあって。その先に聴いてくれた方が楽しんでくれたら最高、という順序で制作しています。自分を飽きさせないように頑張っていきたい」と今後の活動についてコメント。

<セットリスト>
01.ウララ
02.まっしろ
03.Winter Beat

SIRUP

SIRUP

SIRUP

SIRUP

SIRUP

 次にたすきを受けたのは、SIRUP。ギターとラップトップでサポートするShin Sakiuraが「Do Well」のビートを落とすと「Everybody、調子はどう? いい感じ?」とMCしながら、ステージインした。落ち着いた様子でラップして、それがシームレスに歌へと変化していく。オーディエンスにクラップを促したり、曲タイトルでコールアンドレスポンスしたり、楽しませ方もうまい。幻想的な映像も華を添えていた。

 「LOOP」はイントロで歓声が上がる。「チルしていこうか。今日は短いからおもいきり楽しんでいこう」。先ほどまでのハンドマイクでの歌唱ではなく、スタンドにマイクを挿して歌う。メロディアスなサビが心地よい。照明がシンクロして最後のサビへ突入すると、自由なフェイクでフロウする。最後は甘い歌声が残る形でフィニッシュ。

 ステージ終了後は上京時の心境について「東京はみんなが競争する街。色々なことに挑戦して、立ち返ったのがもともとの自分だった。振りまされることを恐れないでください。そのままの自分を大事に」と素直な気持ちを語っていた。

<セットリスト>
01.Do Well
02.LOOP

ドミコ

ドミコ

ドミコ

ドミコ

ドミコ

 さかしたひかる(vo,gt)と長谷川啓太(dr)のふたりというミニマルな編成。「ベッドルーム・シェイク・サマー」でドミコのステージが始まる。音響的なアプローチでギターの音を重ね、それに対し空間的に叩くドラムス。残響が強いボーカルやスネアの音が会場に響いた。エンディングはビートが細かくなる場面もあったが、展開少な目でチルな雰囲気を作りあげる。

 「ペーパーロールスター」は手のひらを返した様に、ロックンロールなリフと8ビートを鳴らした。さかしたは前曲とは違うアプローチでルーパーを使ってカッティングを反復し、音に迫力をつける。最後のサビではキャノンが発射する演出も。けだるく「Thank you」とつぶやいて、演奏を終えた。

 その後さかしたは、今日のステージについて「普段出てるイベントとは違うので、今日も面白かったです。気持ち良くできました」と感想を話した。今後については「健康的な生活を送りつつ、音楽を続けたいと思います。よく水を飲むとか」と不思議なコメントを残し、ステージを後にした。

<セットリスト>
01.ベッドルーム・シェイク・サマー
02.ペーパーロールスター

RIRI

RIRI

RIRI

RIRI

RIRI

 「That's My Baby」のイントロとともに、RIRIが登場。ピンクのフーディにデニムのショートパンツ、ロングブーツというファンシーな出で立ちだ。「これからさらに盛り上がりたいと思います。準備は良いですか?」と呼びかけていく。その後ろには4人のダンサーたち。R&Bな節回しで歌い始めると空気が変わった。フックは低音が効いていて、思わず体を揺らしたくなる。

 ダンサー退場し「次はなんと新曲です」とRIRIが告げると、ラッパーのKEIJUが客演参加。小袋成彬がプロデュースした「Summertime(with KEIJU)」を2人で披露した。KEIJUのラップからRIRIへリレーしフックまで歌い切る。

 ラストはダンサー2人とともに「HONEY」。サビのリズミカルなビートに合わせたキレある振りが可愛い。そして、グルーヴィな歌声が観客の心を貫いた。最後はシャボン玉が飛ぶ演出もあり、華やかにステージを締めくくった。

 パフォーマンス後は「ファンタジーな雰囲気でパフォーマンスできてよかったです」と感想を語ったRIRI。新曲については「3人で共作するのは初めてだったので、CMソングだし、不安や疑問もあったけど楽しくできました」「ラッパーさんとコラボして歌うのはなかなかないので、楽しい」とコメント。今年の一文字は『革』だそうで「色々なことにチャレンジしたいですし、最終的にグラミー賞を獲るアーティストになりたい」と意気込んだ。

<セットリスト>
01.That's My Baby
02.Summertime(with KEIJU)
03.HONEY

Nulbarich

Nulbarich

Nulbarich

Nulbarich

Nulbarich

 5番手を務めるのはNulbarich。「It's Who We Are」のベースラインから演奏がスタートした。ボーカルJQが「一言でいえばグルーヴィです。好きなように楽しんでください」と力を抜いたMCで呼びかけてメロディをとる。ギターの熱いソロで演奏のギアが上がった。

 「VOICE」ではキーボードのチャイナ風のソロに絡むJQがコミカル。イベントを通して彼が一番のアジテイターだった。脱力な文句で会場をいい空気に整えていく。「Zero Gravity」はディスコ風。ギターの気の効いたシンプルなソロを挟んで、またもテンションが上がった。

 「RIRIちゃんの後はやりづらい。困ります」とまたも軽妙なMCから、セットリスト最後は「Almost There」。言葉少なめのバースから、爽やかなサビへ。JQはまたも「皆でひとつになりたいなあ」というナイスな問いかけでオーディエンスを誘い、会場をひとつにまとめた。エンジン点火役のギターソロは健在で、ここからさらに高密度な演奏でフィニッシュ。

 JQの演奏後インタビューはなし。この潔い態度もクールだった。

<セットリスト>
01.It's Who We Are
02.VOICE
03.Zero Gravity
04.Almost There

ReN

ReN

ReN

ReN

ReN

 6本のライトを後方に、アコースティックギターを肩に、マイクと機材を前方にして、ひとりReNがステージに立つ。ギターをかき鳴らし始めると、ルーパー(弾いた音を録音反復させるエフェクター)を使ってフレーズや打撃音を重ねて「Life Saver」を演奏。リアルタイムでビートを編む姿に目を奪われた。

 「今日だけしか作れない音で体を揺らして、みんなも是非参加してください」

 少しでも手元や足元が崩れれば破綻する可能性もあるパフォーマンスだが、ReNは至って冷静だった。続く「What I'm Feeling」を演奏後は新曲「HURRICANE」。ギターのリフから、低音の打撃、カッティングと重ねていく。そして新たなリフ、ストローク、サンプラーの音も上乗せ。そしてできあがったビートを封印した。そして静かなAメロを挟んで、先ほどのビートをサビで解放した時の爽快感たるや。

 ステージ後のMCでは「今日は全体を通してめちゃくちゃいいライブだと思います」と満足げに語り、同じくギター1本で演奏するエド・シーランへの愛も話していた。

<セットリスト>
01.Life Saver
02.What I'm Feeling
03.HURRICANE

Official髭男dism

Official髭男dism

Official髭男dism

Official髭男dism

Official髭男dism

Official髭男dism

 壮大なSEとともに、スクリーンが上がるとそこにはメンバーが。Official髭男dismがこの日を締めくくる。まずはラテンなメロディが鳴って「ノーダウト」。演奏開始。この日一番ロックに盛り上げていく。手を挙げた観客によってフロアの熱量はピーク。カラフルなステージ照明も演奏を引き立てる。ブルージーに始まった「FIRE GROUND」はハンドマイクのボーカル・藤原聡が、中央のサブステージに歩み寄ってオーディエンスにアピール。間奏では突然のハードロックな展開も。そこからサビに帰還して、勢いよくキメでエンディングへ。

 「早くライブやらせろって思ってました。Spotifyでたくさん聴いてくれてるな、と思う曲でセットリストを決めました。最後まで心を込めてライブをします」

 ピアノを弾きながらのMCから「115万キロのフィルム」へ。藤原が朗々と弾き語ってから、跳ねたビートでバンドが合流。軽やかなリズムに乗った切ない歌詞が観客に染み込んでいく。伸びやかなハイトーンの旋律も気持ち良かった。最後の楽曲は「またライブでお会いしましょう」とMCしてからの「Stand By You」だった。ファンキーなイントロに手拍子が発生。サビでは合唱も起こり、熱い演奏が最後まで続いた。これにて3時間超に及ぶこの日の全演奏は終了。

 演奏後のインタビューでは藤原が「みんなの音楽が好きという気持ちが波動で伝わってきました」とコメント。この日のイベントの熱量に驚いた。「Spotifyでいつも音楽を聴いているので『音楽好きのオフ会』みたいなテンションでステージに立っていました」とも語った。

<セットリスト>
01.ノーダウト
02.FIRE GROUND
03.115万キロのフィルム
04.Stand By You

Spotify presents Early Noise Special」

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