a flood of circle(撮影・Viola Kam ・V'z Twinkle)

a flood of circle(撮影・Viola Kam ・V'z Twinkle)

 3人組ロックバンド、a flood of circleが4日に東京・新木場スタジオコーストで全国ツアー「THE BLUE TOUR-青く塗れ!-」のセミファイナル公演をおこなった。今回のツアーは、結成10周年を記念して2月に発売されたベストアルバム『THE BLUE』を引っ提げてのもの。10年という長い月日の中で、酸いも甘いも噛み締めたバンドが絞り出した青い閃光に照らされた印象的なステージを見せた。

 メンバーがそれぞれステージに登場するごとに歓声が上がった。メンバー3人とサポートギターのキョウスケ(爆弾ジョニー)の4人がステージに揃うと照明が彼らを照らし、さらにその歓声は増した。照明が点くまでは全身黒に見えていた衣装が、実は全員がブルーを身につけていることが分かった(ベースのHISAYOは髪にも青色を入れていたことが後半のMCで判明した)。

BLUEの意味

 アルバムタイトルも、ツアータイトルも、曲のタイトルにも、そしてステージ衣装もブルー。もはやバンドの別名、といえるほどの「BLUE」。彼らにとってそれがいったい何を意味するのかを、彼らはライブでもって示していく。

 「Golden Time」、「The Beautiful Monkeys」、「Blood Red Shoes」というアグレッシヴな3曲を彼らは冒頭からたたみかける。ヴォーカルの佐々木亮介は「10年間、ブルースとロックンロールしかやってこなかった」と言う。しかしそれは、ライヴバンドとして日本のロックシーンに確かな存在感を示すことにつながっているのだ。この日のフロアのいきなりの熱狂がその証明だ。

 さらに続けて「青く塗れ」を鳴らして、佐々木が「今日、ヤバいね。すげえヤバいことが起こりそうな気がすんね!」とコメント。それを聞いたHISAYOが佐々木を見て、満面の笑みでうなずいて返す。観客からは大歓声が起こる。“憂鬱のブルーを超えて 青く塗れ”という「青く塗れ」の中でも心揺さぶられる歌詞の一節がそのままステージに再現されたかのような、底抜けの青いシーンが美しかった。

10年の重み

HISAYO(Ba)(撮影・Viola Kam ・V'z Twinkle)

HISAYO(Ba)(撮影・Viola Kam ・V'z Twinkle)

 そして一節に心揺さぶられるのは、彼らは一方で「憂鬱のブルー」を最も強く感じさせてきたバンドでもあるからだ。初期メンバーの失踪をはじめとして、このバンドはいろんなことがありすぎて、どうにもメンバーが定まらなかった。「I’M FREE」で“失踪した友達 壊したか 壊されたか”と佐々木は歌う。

 しかし、どんなことがあっても佐々木はこのバンドで転がり続けると決め、動きを止めなかった。「これが最後のライブだと思うくらいのテンションでライブをやっている」と、かつて佐々木は語っていた。悲壮感はバンドの魅力となったが、そればかりを突き詰めていてはファンもメンバーもついていけない。

 “この国のブルースを溜め込んでる”と歌う「Black Eye Blues」を、佐々木はフロアに飛び込み、観客に支えられながら、ともに歌った。その後に披露された「月に吠える」「月面のプール」は、聴き手の気持ちにそっと寄り添うバラード。中盤のMCで佐々木は「今までが仲良くなかったわけじゃないけど、今回のツアーでメンバーはもっと仲良くなったと思う」とコメント。サポートギター、キョウスケが果たした大きな役割は演奏面だけではないようである。佐々木がプレー中のキョウスケの髪の毛を嬉しそうにクシャクシャとするシーンには、緊張感溢れるステージのなかにも心温まるものを感じさせていた。

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)