a flood of circle、極上のロックに酔いしれた「鬼殺しナイト」
自主企画イベント『鬼殺しナイト』を開催したa flood of circle(撮影・丹澤由棋)
ロックバンドのa flood of circleが去る1月9日に、東京キネマ倶楽部で、自主企画イベント『鬼殺しナイト』を開催した。ボーカル&ギターの佐々木亮介が愛飲する日本酒の銘柄「鬼ころし」をタイトルに冠したライブ。お酒にちなんだ自身の楽曲の多数披露した他、河島英五の名曲「酒と泪と男と女」のカバーも。酒樽の鏡開きをおこなうパフォーマンスもありと、酒に始まり酒に終わったライブとなった。1月18日に発売になったアルバム『NEW TRIBE』からの新曲を多数披露しアンコール含め全19曲を熱演した。
日本が驚くような新曲を持ってきたぜ
轟音ガレージサウンドの楽曲「鬼殺し」でライブは始まった。まさしくこのイベントのテーマソングといった雰囲気。続けて「泥酔」ならぬ「泥水のメロディー」を鳴らすと、場内では一斉にモッシュが始まり会場が揺れる。「The Beautiful Monkeys」では<I know Yeah Yeah Yeah>というフレーズで、大合唱が場内に広がった。
「日本酒を飲めない人もいるよね!」と歌った「Whisky Bon-Bon」では、「ネエさ〜ん」のひと言で、ベースのHISAYOが前に出てベースソロを披露。「Sweet Home Battle Field」では、「ギター〜テツ〜!」とサポートギタリストのアオキテツを紹介。のけ反るようにしてソロを弾くアオキの首に、佐々木は持っていたタンバリンをかけて肩を組んだ。さらに「Black Eye Blues」は、まるでラップするかのように歌うボーカルを聴かせ、ステージと客席の間の柵から観客が伸ばした手の上に乗って歌い、ノドを枯らすような力強いボーカルに歓声が沸き起こった。
佐々木は「鬼殺しナイトって、思いつきで言っただけなんだけど、でもノリって大事だよね。好きなように感じて踊って、それこそがロックンロール。そんなロックンロールが好きすぎて、11年目に入りました。調子に乗ってロンドンに行って来て、日本が驚くような新曲を持ってきたぜ〜!」と今回のライブタイトルが思いつきだったことを明かした。
ニューアルバム『NEW TRIBE』からは、アッパーでゴリゴリのサウンドに、叩きつけるようなメロディーのサビが印象的な「Dirty Pretty Carnival Night」。3連のリズムで始まり、ワルツのリズムに間奏では手拍子が沸き起こった「Flyer's Waltz」。学校のチャイムのようなギターフレーズで楽しさとユーモアがたっぷり詰まった「Rock'N'Roll New School」を披露。アンコールでは、表題曲の「New Tribe」を演奏。スケールの大きな広がりのあるサウンドに乗せて、みんなで切り拓いて行くんだという心意気を歌い、観客はこぶしを振り上げて歓声をあげた。
アルバム『NEW TRIBE』を聴けば分かる
お正月らしく鬼ころしのパック酒が詰まった樽で鏡開きをおこなったほか、アンコールのMCでは「今年も海外に行く」(渡邊一丘)、「ギターを弾いて、オイシイものを食べる」(アオキテツ)と、それぞれ2017年の抱負を発表。HISAYOは、化粧道具一式やお財布など忘れ物が多かったエピソードを披露した上で、「忘れ物をしない」と決意。佐々木は、GLIM SPANKYのボーカル松尾レミなどをゲストに迎えた昨年のクリスマス・ライブに触れ、「最近は、ビルボード・ライブでやったりして、どこに向かってるのか? と、不安に思っていたファンも多かったと思う。でもそれは、アルバム『NEW TRIBE』を聴けば分かるんで、よろしく!」と、ニューアルバムをアピール。
ベーシストが女性で、ボーカル&ギターがグレッチのホワイトファルコンをかき鳴らしながら歌うときたら、それだけで無条件のかっこ良さがある。a flood of circleはそれに輪をかけて、ベースは上手くてセクシーだし、ボーカルはハスキーでどこか不良っぽいカッコ良さ、サウンドはノイジーなガレージ系。彼らのスタイルは、決してこけおどしではないと感じた。まだまだ抜けきれない青臭さを携えながら、それを憂うでもなくどっしりと受け止める余裕。若いバンドには決して表現出来ない、渋さやかっこ良さが滲み溢れたステージだった。(取材=榑林史章)
セットリスト
a flood of circle「鬼殺しナイト」 1月9日 東京キネマ倶楽部 01.鬼殺し ENCORE EN1.New Tribe |