a flood of circle「4人の音楽性が伸びしろばかり」普遍的R&Rの“物語”とは
INTERVIEW

a flood of circle佐々木亮介

「4人の音楽性が伸びしろばかり」普遍的R&Rの“物語”とは


記者:平吉賢治

撮影:村上順一

掲載:20年10月24日

読了時間:約7分

 4人組ロックバンドのa flood of circleが21日、10thフルアルバム『2020』をリリース。佐々木亮介(Vo/Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)から成るa flood of circleは2006年に結成。10年を超えるキャリアの中でロックンロールはジャンルでなく体現であることを証明し続けている。結成15周年を来年に控えた中でリリースとなった本作は、先行シングル「Beast Mode」を含む全12曲。前後編で構成する本インタビュー前編ではステイホーム期間の過ごし方、“普遍的な音楽”について、アルバムの“物語性”の捉え方について、そして本作のリードトラックについての話を中心に佐々木亮介に話を聞いた。【取材=平吉賢治】

ストレートなロックンロールを更新していきたい

a flood of circle

――ステイホーム期間はいかがお過ごしでしたか。

 ギターのテツと一緒にフルアルバムを作って出しました。「佐々木」と「テツ」の名前を合わせて「サテツ」という冗談みたいな名前でやってるんですけど(笑)。これはなるべく緊急事態宣言が終わるまでに出したかったんです。もともと充電期間にあてようとは思っていなかったので、作っている間は楽しかったです。「会わずにやる」をコンセプトに、歌詞もコロナの時期について全振りしようと決めていて。ただ、『2020』に関してはそうはしていないんです。タイトルも去年から考えていましたし。

――本作はコロナ禍について書いた作品がメインではないと。

 いつ聴いてもいいように作ったつもりです。ストレートなロックンロールアルバムだし、それをずっと更新していきたいなと思っています。テツが入ったのが一つ前のアルバムで、来年はバンド結成15年目だけどまだフレッシュな気持ちです。この4人の音楽性がまだ伸びしろばかりというか、これから固まっていくという気が去年からあるんです。

――コンセプトを決めてから作った?

 強いてコンセプトを挙げるとしたら、この4人から出てくるものをひとつ確立させたいと。外部的な刺激を求めるのではなく自分達を試す、一回完成系までいきたいなと思いながら作りました。これで完成で俺達は燃え尽きますという感じではなく、長く音楽をやろうと考えていて。来年15周年で一回完成したなというところまでいきたいと思うけど、『2020』はその物語の途中なんです。今はちゃんと自分達のサウンドの足場を固めたいなという気持ちです。

――コロナ禍にコンセプトを寄せようとは思わなかった?

 物心ついた頃から「世の中いつも何か起こっているな」と思っていたのもあって、コロナ禍にアルバムを寄せなかったということもあります。例えば過去に聴いてもこれから先に聴いても、この作品が持っている音楽の格好良さが輝いて思えるものであってほしいなと思っていて。

――“普遍性のよさ”という感じでしょうか。

 そうであってほしいですね。作ったものが長く生き残って輝いていれば凄くいいなと思ってます。自分が好きな音楽がそういうものだったので。一生どこで聴いても伝わるものが書けるという、いい音楽があるとしたらそういうものなのかなと思ってます。自分たちの曲で昔書いた曲なのに2020年に聴いてもいい歌詞に思えることがたまにあるんですけど、それができてると「この曲いい曲なのかも」と改めて思えることがあって。『2020』というタイトルだけど、アルバムの曲が今後そういう曲になっていってくれたらいいなと思っています。

――普遍的な音楽というところにフォーカスすると、どんな音楽が好きでしょうか。

 普遍性を探し求めて聴くことに加えて新しい音楽を聴くのも大好きで。ストリーミングスサービスのニューリリースの音楽を聴くのが一番好きですね。最新曲ってみなさんなにかしらトライをしていると思うんです。新曲を聴く体験って、これからどっちに評価されるのがわからないという点でもかえがたいものだと思うんです。

「アルバムならではのマジック」“物語性”の捉え方で広がる世界観

佐々木亮介

――配信ライブについてはどう感じていますか。

 6月に初めて配信ライブをやってみたら歓声のなさという寂しさも感じたけど、楽しみ方も見えてきた気がします。配信システムや音響や演出なども、配信ライブを積み重ねることで技術が上がってきているので新しいアイディアも出てくるし。今はやれるだけ楽しもうと思ってやっています。例えば音楽のアレンジなどもガンガンやってみて、ダメだったらまた作り直せば良いと思っているので。後からしたら「ムダだった」や「恥をかいたな」などと思うことも大事だと、約15年間続けてきて身をもって知ったので、そこはやらないで悩むよりやった方がいいと思うタイプです。

――前向きなスタンスなのですね。さて、本作についてですがまず1、2曲目が繋がっているように感じましたがこれは意図的に?

 2曲目の「Beast Mode」が先にあったんですけど、バンド的に手応えがあって「リードトラックにしよう」と早めに決めていました。自分的にはアルバムを大事に作りたいという想いがあるんです。流れで「Beast Mode」を聴いてほしいというのがあって1曲目を作ったというのもあります。それで1、2曲をセットにすることによってアルバムでなければ聴けない流れ、1曲目ありきで「Beast Mode」を聴くと意味が変わって聴こえるような、アルバムならではのマジックがあってほしいなと思って作りました。

――するとアルバムの重要性とは何だと思いますか。

 「流れ」や「ストーリー」かなと思っていて。僕が好きなのは意味がわからなくて謎な感じ、「どういうこと?」って何回も聴きたくなったり、勝手に自分の思い込みが生まれて愛しく思える方がよくて。小説や映画などでも「合理的にここが優れています、ここが山場で盛り上がります」みたいなものを受けても全然感動しないんです。映画も最後の部分が大事なわけではなく、ずっと大事であってほしいというか。その世界に入っていたいし、そこにいた後に見る次の世界の方が大事で。物語でも謎があるのが自然なことなので、物語性をアルバムとするならば「Beast Mode」はアルバムに入れた時に意味が違ったり膨らんだりしたら最高だなと思っています。

――受け手によってアルバムのさまざまな世界観、解釈が膨らむというのは素敵です。一リスナーとしての解釈ですが「Beast Mode」の次に、リードトラック級と感じる「ファルコン」を並べたのには何か意図があるのではないかと。

 それは意図していなかったことで(笑)。自分的にはリードトラックにするなら「Beast Mode」と「Rollers Anthem」だと思っていたんです。でも「ファルコン」がリード的な顔になると思っていなかったんです。姐さん(HISAYO)に「これ、リードでもいいんじゃない?」と言われて「そうかもな」と。僕がある程度「これがリードで」というような感じで枠を決めて始めるんですけど、みんなが参加することで思わぬ成長をすることがあるんです。それはバンドのいいところ、面白さというか。それはバンドでやるアルバム作りのよさだと思います。

 インタビュー後編ではa flood of circleの“得意技”と表現されるトラックに込められる想い、「音楽、アートのあり方」について、そしてバンド15周年に向けての想いに迫る――。

(後編につづく)

a flood of circle「2020」はこちらから
https://lnk.to/afloodofcircle

プレゼント情報

Twitterフォロー&RTで抽選で1名様にサイン入りポラロイドプレゼント。

佐々木亮介サイン入りポラ

【応募方法】

・@musicvoicejpをフォロー
・このツイートをRT

【応募期間】

・10月24日〜10月31日23時59分まで。

当選された方には、TwitterのDMでご連絡をさせていただきます。

【注意事項】

・Twitterアカウントを非公開にしている場合は、応募対象外となります。
・応募期間中にフォローを取り消された場合は、応募が無効となります。
・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。

この記事の写真
村上順一
村上順一

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事