綾野ましろが初のホールワンマンで玉置成実競演[1]

初のホールワンマンで力強く歌った綾野ましろ

 歌手の綾野ましろが去る9日、東京中央区の日本橋三井ホールで、自身初のホールワンマン『One man Live 2016 ~growing wing~』を開催。超満員のなか、メジャーデビュー曲「ideal white」など全15曲を、生バンド構成で歌い届けた。また、アンコールでは憧れの歌手・玉置成実が登場。「(憧れの人と共演ができる)環境に恵まれて涙が出そう」と感動に浸るなか、玉置の楽曲「Reason」などをともに歌った。4月23日には地元・北海道で2度目のホール公演を控える綾野。まずは遠く離れた地で、盛況裡に初ホールワンマンを終えた。

春爛漫の風

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アグレッシブな姿も

 白い雪の精霊は、真っ直ぐでいて、パワフルで、そして、純朴だった。

 北海道にも春の訪れが届いた4月。雪解けは遠に過ぎ、春爛漫の風は、彼女の歌声に乗って日本橋のビル群に伝う。日本橋三井ホールが入居するCOREDO室町は、日本橋の歴史や江戸の情緒溢れる街並みを再現させることを目的に開発された施設。この日は春の季節にちなんだイベントが周辺で催され、時折吹く強い風に桜の花びらが舞った。日本的な情景は、ホール内にも息づいていて、ダークブラウンの客席の椅子、幾重にも折り込んだ白のステージカーテン、そして、BGMとして流れるクラシカルな楽曲は風格を漂わせた。

 今からはじまる公演に、気持ちを高ぶらせ場内は雑踏の音で反響していた。そうしたなか、ゆっくりと明かりが落とされる。古めかしいラジオの途切れ途切れの音のように流れるオープニング曲。バンドを形成するサポートミュージシャンのメンバーが登場する。大歓声のファンはゆっくりと白いペンライトを揺らす。程なくして白のドレスに身を包んだ綾野ましろがゆったりとした足取りでステージに現れた。

迫力のサウンドに真正面から

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しっかりと歌い上げる

 オープニング曲が流れ終わると1曲目「Wingless Diver」のイントロが響く。プレデビューを飾った運命の曲。綾野は「盛り上がっていきますよ!」と語って笑顔で煽る。ギター、ベース、キーボード、ドラムの生バンドによる迫力のサウンド。それに負けずの声量で正面からぶつける。彼女の内面にある勇ましさが1曲目から表現されていた。そして、ファンは、フランスで国民を率いたジャンヌ・ダルクを彼女に重ねるように、熱いまなざしと声援を送った。

 羽を伸ばすように腕を高く挙げてゆったりと下ろす。その模写に合わせる様に曲も終える。一瞬の静寂を挟んで2曲目「focus light」へと移行。キーボードの音色がドラマティックに高揚させる。疾走感のあるサウンド上に細かい言葉を矢継ぎ早に送り込んだかと思えば、ファルセットを響かせる。鳥が空を優雅に羽ばたいているかのように、3曲目「vanilla sky」でもリズミカルに羽をばたつかせる。綾野の動きも激しさを増し、スカートをひらりと躍らせる。その一方でゆったりと届けるなど緩急を使い分け、ファンの自制を掻き乱した。

 ここでMC。「こきげんよう。ようこそ! お元気ですか」を品の良い語り口で思いを伝える。「初めてのホールワンマン。多くの人が来てくれて嬉しい。今日はこのホールが私たちの居場所です。思い残すことなく、熱をぶつけ合いながら盛り上げていきたい。次の曲を聴いてください」。

行間で揺れる綾野の魅力

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キュートな表情もみせた

 ドラムがカウントを取り、ハイアットを3回鳴らすと、綾野が歌声を響かせる。マイナーコードとキーボードのラインが際立つシックなメロディ。「TURN TO YOU」だった。先ほどの3曲とは少々異なるややしっとりとしたナンバーで、綾野はまた異なる力強さを歌に持たせた。エレキギターとキーボードの高音を残し、そのまま5曲目「刹那クロニクル」。綾野の白いドレスを赤いライトが染め上げる。鬼気迫る迫力のサウンドに、ギターカッティングが情感をもたせる。その行間で揺れる綾野はまた異なる魅力を醸し出していた。

 後半2曲を終えて綾野が思いを語る。「ライブタイトルはわたしが羽ばたく意味もあるけど、集まってくれている皆と一緒に羽ばたきたいとも思っています。ライブハウスよりも広くて、奥の方のお客さんとは(物理的な)距離も感じるけど、汗だくになって気合を入れて歌うので皆さんはかかってきて!」とキュートな笑顔のなかから頼もしい顔を覗かせた。

 そのなかでバイオレット色のライトが綾野を照らす。ギターのイントロが重く鳴る。ゆったりと綾野が歌う。6曲目「燐光」。ため込んでいた情熱を一気に吐き出すようにサビで力強くぶつける。そして、そのまま7曲目「re:rain」へと流れる。車窓から足早に過ぎていく雨模様の街並みが映し出されるように、しっとりとしながらも情感たっぷりに歌い上げる。

ファンとの距離を更に埋める言葉

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白いペンライトが揺れた

 白光が綾野のシルエットを映し出す。「ここからアゲアゲで行きますよ!」と語って始まったのは8曲目「RAY OF LIGHT」。初めてファンの前で披露する楽曲だ。曲の転調やヘッドバンキング、メンバーと合せてのジャンプなど、激しい上にも一体感を生ませて心を一つにする。そして、ファンにも笑顔で足を大きく挙げて促す。「歌って!」。最後に会場全体でジャンプをして締めた。

 綾野は肩で息をしながらファンとの会話に臨む。「ファーストワンマンから半年。すごくすごく会いたかった。半年で吸収したこともあります。ファーストが終わってからこの日に向けて進んできました。今も北海道に在住で活動して、4月からラジオも始まりました。ライブやCD、ラジオなど、皆さんと触れる場所を作っていきたいと思います」。ファンとの距離を更に埋める言葉だった。

 心を通わせるように歌った9曲目「春想の街」。桜のようなライトに浴びて歌い届ける綾野の歌声は雪が解けるかのような温かさを持っていた。雪の精霊のようにすらりとのびた足を揃え、身体をゆったりと捻らせ歌い捧げる。

余韻を残し本編終了

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赤く染まる

 そして、憧れの玉置成美の「Believe」から疾走感は再び戻り、ラストへとスパートする。幾多のカーブを高速で抜けるようにきめ細かなサウンドが次々と送られる。ベースのライン上に、ギターの速弾きが踊る。赤く染まる。「infinity beyond」ではエレクトロなサウンドが心を突き上げる。

 「最後まで全力でぶつかってきてください」と語り、曲名をコールすると大歓声が起こる。「ideal white」。低音から入り、やがてソロを迎える。一瞬の間、いわゆるタメも多用する。

 さざ波や荒波が交互に押しよせるかのような転調と強弱のオンパレードで完全にリミッターが外された状態。ファンは激しく体を動かし、綾野はステージの台を登っては大きく手を突き上げる。このまま次の曲も…と言いたくなるような余韻を残したまま本編を終えた。

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