【写真】GReeeeN「愛唄」が映画主題歌に(2014年10月9日)

ロゴに込められた意図

 GReeeeNというアイコンが生まれた、奇跡と軌跡。その“キセキ”の物語。HIDE(ヒデ)が、ノンフィクション作家・小松成美さんの新刊『それってキセキ ~GReeeeNの物語~』(3月11日発売、発行・KADOKAWA)のエピローグで綴った「要するに、誰にも話さず、内緒にしてきたGReeeeNのことを、僕は今、伝えたい気持ちでいっぱいなんだ」。この言葉からも分かる通り、この本はGReeeeNそのもの、そしてそれはHIDE自身の人生でもある。なぜ、素性を隠してきたのか、なぜ歯科医師と並行して活動続けるのか――。これらの疑問に真正面から応えている。

それぞれのキセキ

 彼らが歯科医師とミュージシャンという、異色の二足のわらじで活動してきたのはHIDEのメンバーに対する思い、生まれてくる楽曲に対する強いこだわりがあったからだろう。この選択は、目の前にあることを常に全力で“楽しむ”というHIDEの生き方が反映されている。敢えてどちらか一本でという選択をしなかったのは、実はメジャーでやっていく気などは更々なかったHIDEの苦肉の策だ。

 しかし、このGReeeeNの楽曲に、そんな苦肉の策も通用しないほど、惚れ込む男がメジャーレーベルには存在した。ユニバーサルミュージックに所属する山﨑吉史さんだ。学業に支障をきたさないように「顔は出さない」「本名はなのらない」という異例の条件を同氏はのみ、そしてメジャーデビュー。GReeeeNは瞬く間に、全国のファンから求められる国民的グループになる。

 HIDEはいつも真っ直ぐで全力だった。これは天性のものとしか思えないくらいピュアなもので、その命の輝きのようなものが彼に関わる全ての人たちを惹きつけた。もちろん、それは彼が作る楽曲と詩に溢れている。彼が作った最初の楽曲は、感謝の意を込めて父に送られている。父から直接感想は貰えなかったが、後日、母が「お父さんがね、うれしそうに何度もテープ聴いていますよ」と電話で話してくれたという。こんな微笑ましいエピソードからも、彼のピュアな一面と家族の愛が窺える。

 GReeeeNの大きな飛躍となったのが、2008年4月から、TBS系で全国放送されたドラマ『ROOKIES』の主題歌「キセキ」だ。ドラマは視聴率20%に迫る大ヒット、そして「キセキ」はGReeeeNがはじめてチャート1位を獲得した楽曲となった。しかし、この楽曲ができる前に歯科医師の国家試験を控えていたHIDEは、楽曲制作どころではなかったことが本書で明かされている。締め切りまでにどうしても楽曲を仕上げて欲しい、という要求に、弟であるHIDEを気遣った、実兄であり、GReeeeNのプロデューサーでもあるJINは楽曲を担当。作詞だけはHIDEがおこなった。この兄弟の共同作業が実を結ぶとは、本当に奇跡のような話だ。

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