素直に偽りなく、綾野ましろ 人に寄り添う音楽を目指した背景
INTERVIEW

素直に偽りなく、綾野ましろ 人に寄り添う音楽を目指した背景


記者:村上順一

撮影:サムネイル用

掲載:16年10月04日

読了時間:約19分

「WHITE PLACE」は綾野ましろの今と過去を投影させた作品だ

「WHITE PLACE」は綾野ましろの今と過去を投影させた作品だ

 北海道洞爺湖出身の人気アニソンシンガー、綾野ましろが10月5日に、1stフルアルバム『WHITE PLACE』をリリースする。メジャーデビューから約2年、ボーナストラック含む全15曲を収録。新録6曲に加え、メジャーデビュー前の曲となる「刹那クロニクル」をアルバムバージョンとしてボーカルを再録音。新旧楽曲を含め、2年前の“綾野ましろ”との違いも再確認できる内容に仕上がっている。綾野ましろは常に、“人に寄り添う音楽”をテーマに掲げ制作。周りの気持ちを客観視して捉えるというそのスタイルに隠された背景、シンガーとしての心構えや新録曲への想いなどを聞いた。

メリーゴーランドに悲しい印象しかない

綾野ましろ

綾野ましろ

――アルバム『WHITE PLACE』はベストアルバムのような感じになりましたね。

 現時点でベストのような、盛りだくさんで内容の濃い一枚になっています。デビューからの2年だけではなく、プレデビュー時のボーカル音源も録音し直して収録されているので、デビュー前の綾野ましろから最近の綾野ましろまで、色んな楽曲を楽しんで頂けるのではないかと思います。今回はすごく幅広くポップな感じもあれば、今までよりも更に激しいものもあり、私としては得意としているミディアムテンポやバラードもあるんです。同じような曲が絶対に無い1枚になっているので楽しんで頂けると思います。

――バリエーションが豊富ですよね。曲順はましろさんもアイディアを出したりしたのですか?

 はい。ライブセットリストを想定しての曲の並びを考えたり、前半と後半で「A面B面」となっていたり。

――「A面B面」というのはアナログレコードを意識した感じ?

 そんなイメージもありますね。それとともに、一つの流れがあって、また半分からスタートしてというようなイメージになっています。

――1曲目の「white arise ~overture~」がイントロダクションで、2曲目が「ideal white」という曲順で始まりますが、やはり歌の1曲目としてはデビュー曲でいきたかった?

 やはり綾野ましろの始まりの曲でもあるので、やっぱり歌の1曲目は「ideal white」かなと。

――ここはもう迷わず?

 いろいろ迷ったりはしたんですけど「やっぱりこれかな!」という感じで落ち着きました。

――そして、新録曲の「スパイラルガーデン」へと続きますが、この楽曲はどういった思いで作詞されたのでしょうか。

 この曲は2ndシングルの「vanilla sky」を作曲して下さった溝口雅大さんに作って頂いたんです。「スパイラルガーデン」は、「vanilla sky」同様にアッパーな曲なのですが「vanilla sky」とはアレンジャーさんが違うということもあって、更に激しい感じなりました。

 「スパイラルガーデン」というタイトル通り、頭の中をグルグルとループしてしまって抜け出せないという悲しい情景を描きたかったんです。激しいけれども、崩れ落ちていくというようなイメージを持っていて、歌詞でも自分の後悔や、負の思いから抜け出せない主人公を描いています。悲しい歌詞にはなっているんですけど、ライブでは楽しめる楽曲だと思うので、うっぷんをライブでお互いにぶつけ合えたら楽しいんじゃないかなと思います。

――“スパイラル”という部分をメリーゴーランドに例えていると思うんですが、最初に歌詞を読んだ時に、メリーゴーランドと悲しい感情が結びつかなかったのですが、メリーゴーランドの楽しい感じとの対比があって面白いと思いました。

綾野ましろ

綾野ましろ

 でも、私はメリーゴーランドに悲しい印象しかないんです。すごく狭い所にそれぞれの乗り物が縛り付けられて…。届かないし、追い付く事も出来ないし、追い越す事も出来ないから、かわいそうだなって思って見ていたし、何か怖かったんです。

――確かにそう捉えると悲しいですね。ホラー作品などでもメリーゴーランドが出てきたりするので、そのイメージも確かにあるかもしれませんね。

 ホラーとか怖い話とか、シリアスな作品が好きでいっぱい見てるからそういうイメージを持っているかもしれません。

――ホラー作品は好きなんですか?

 ホラーは大好きです。サスペンス・ミステリーみたいなお話とかも。それを紐解いていったりするのが好きなんです。

――ちなみに好きなサスペンス・ミステリーの作品などは?

 湊かなえさん作品や、宮部みゆきさんの作品をシリーズ化したドロドロとした世界観のものが好きです。幽霊とかではなく“人の怖さ”が描かれたものが好きですね。

――実際、一番怖いのは人かもしれませんしね。

 そうなんですよ…。一番怖いのは人と虫ですね。あと洋画だと『SAW』とか『CUBE』など、不思議で怖い作品というのはよく観ます。

――そういった部分が「スパイラルガーデン」の背景にあったのですね。あと、気になったのが、<曖昧な言葉に もがいて苦しくて>という歌詞。世界観が変わるセクションがありますが、そのセクションの最後に<白い暗闇>という表現をされていますが、これはどのようなイメージでしょうか?

 これは簡単に言えば「気を失った」というか、「頭が真っ白になる」と言うじゃないですか? それが白い闇に落ちていく感じなんです。白と闇は結びつかないかもしれないんですけど、白と黒は紙一重で両極だと思っていて、一周まわって同じ所にあるということを考えたりもするんです。そういう考えから派生して、“暗闇なんだけど何も無い世界”、“意識が無い世界”というのは「暗闇」なんじゃないかと思うんです。そこから「白い暗闇」という表現をしています。

――哲学的ですね。

 哲学なんでしょうかね…。「何で生きているのか?」とか気になるんですよ。そういう本ばかり読んだりとか、一日中そういう事を考えてその日が終わってしまう事もあります。今まで書いてきた歌詞よりは、人間のドロドロした部分、特に自分と戦うという感じですね。人との何かという事ではないのですが、自分の中で生まれてくるドロドロした感情を描いているのでそういった意味では今までにはない歌詞と言えます。

――アニメも最近は哲学要素のある作品が多いですよね。

 そうですね。「これ、子供が観るんだ」みたいな所はありますね。哲学と関係があるかわかりませんが、『まどかマギカ』(編注=アニメ・魔法少女まどか☆マギカ)を観た時にすごい衝撃を受けました。「小さい子が憧れて観る感じなのかな?」と思ったら全然違うんですよね。深いし芸術的だし、かっこいいなあと思って観ていました。

――「まどかマギカ」の世界観はましろさんとかなり合うと思います。

 すごく好きなんですよ。一時期は好き過ぎて、まどかのソウルジェム(編注=魔法少女まどか☆マギカで登場するアイテム)も持っていました(笑)。

“私が好きな自分になれる”そんな魔法があれば

綾野ましろ

綾野ましろ

――新たな挑戦でもあるのですね。「スパイラルガーデン」以外でも新たに挑戦した曲は?

 色々あるんですけど例えば、「misty way」という曲は三連の楽曲なんです。これは、今までの私にはない曲調です。寒い季節を想像して書いていて、「misty way」という霧がかかって見えないような道をイメージしたんです。右も左もどっちが前かも判らなくなっているという状況の中、それでも「自分を好きになりたい」と強く思う主人公を書いています。これも自分と戦っている歌詞になっているんですけど、“私が好きな自分になれる”そんな魔法があれば、というような切なる願いを書いた曲なんです。

 そんな魔法なんかある訳ないのに、それにすがりたいほど強く思っていて、今の自分を少しでも変えたくて、霧がかかった道でも、つらい道でも、すごく寒くても頑張っている主人公を描いているんです。でも、ちょっと若いというか、まだそんなに色んな世界を知らない少女がもがいているようなイメージです。

――場所のイメージ的には出身地でもある北海道だったりするのでしょうか? 霧がかかっていたり、寒いイメージだったりと。

 そうかもしれません。昔、すごく寒い冬に何カ月間か路上ライブをした経験があったんです。今思えば「何でそんな寒い時期に始めたんだろう?」と思うんですけど、その時はやりたいと思った時にやらないと気が済まなかったし、一度やり出してしまったら途中で投げ出すのが嫌だという意地もあったんです。だから出発前にお腹が痛くなったりとか、「これから寒い数時間が始まるんだ…」と思ったりとか(笑)。

――そう思っても行くんですよね(笑)。

 意地で行くんですよ。でも、そこに行けば毎日来てくれる人もいたし。なかには「何でこんな寒い中やるの?」と笑う人もいたり、全然聴いてくれない人ももちろんいます。「自分に自信を持って歌を届けるんだ」という勇気と「やめちゃいたいな」と、くじけそうになる自分がいて、そういうふうに思う自分が嫌いで毎日頑張っているけど、「そんな自分も愛せるような、全部救ってくれる魔法があったらいいな」と思った経験があったんです。違う世界に簡単に行けたらいいなと、そんな事はないんだけど、そこにすがってしまう時の気持ちを歌っています。

 <降り積もる景色>とか<感覚も無いこの手でひたすら描いた>などちょっと冬っぽさも出しています。<感覚が無い>というのは寒くてかじかんだ手で未来の自分を描いているイメージです。この曲はまだライブで披露していないので今後、イベントやワンマンでやっていくうちに、どんどん育てられたらいいなと思います。こういう曲が増えていけば今後、「綾野ましろのジャンル感」になっていくのかなと思います。

綾野ましろ

綾野ましろ

――曲を育てるというところにも繋がりますが、「刹那クロニクル」はアルバムバージョンとして歌を録り直されています。やはり当時歌った時とは意識はかなり変わりましたか?

 変わっています。歌は2年以上前に録っているので、今の自分から考えたら幼さというのはどうしてもあると思うんです。でも、それはそれで良いと思っているので。第二形態として今年1月にリリースした『early days』の時に、リマスタリングして収録したんです。それは音質面で良くなったし、今回は第三形態目で歌も変えて。オケのバランスもちょっと違う所があるんです。

――どのようにバランスが変わったのでしょうか?

 Aメロのところを聴いてもらうと、どこに音の重要性を持たせているかというのが違っています。イベント会場とかで「こっそりこのアルバムバージョンを先に流しちゃおうか?」と言ったんですけど、スタッフと「バレるからダメ!」というやりとりがありまして(笑)。そういうのも試してみたくなるくらい微妙な違いなんですけど。ライブでもたくさんやっている曲なので、気付いてくれる人は気付いてくれるんじゃないかなと思います。

 ボーカルはけっこう違いますね。発音の仕方も違ったりとか、歌詞をもっと深く捉えられるようになっているので、噛み砕いて伝える意識で歌いました。ただ歌っているというか、言葉の奥に秘められている思いなども自分なりに解釈して歌に乗せるという感覚です。その感覚だけで言葉の重さが変わるんだなと思いました。この曲を録り直すにあたって、他のアーティストさんでもそういった事をやられている方もいるので、聴いてみてどう違うのかを勉強しました。

蜃気楼は“未知なる世界”という意味

綾野ましろ

綾野ましろ

――アルバムの新曲で歌うのに苦労した曲はありましたか?

 「shinkiro」という曲は、新録の中でも数少ないのですが、作家さんに歌詞を書いてもらったものなんです。

――谷口尚久さんですよね。

 頂いた歌詞に自分が入り込んで物語を紡ぐように歌っていくという良さもあると思うんです。そのやり方で歌っているので、自分が書いた歌詞を歌ってきた中で、ふと、この曲を歌う時にはまた新たな気持ちで歌いました。

――蜃気楼を、歌詞の中では「蜃気楼」と漢字で示し、タイトルでは「shinkiro」とローマ字表記にされています。意図は?

 これはその場で、みんなで決めたんです。最後にまた<歩き出せる蜃気楼を目指して>という歌詞があるのですが、その蜃気楼は“未知なる世界”という意味合いも含まれていて、このアルバムのジャケットのテーマが“未知との遭遇”とか“新しい世界に行く”というものがあるので、「蜃気楼」というワードが最後まで印象に残っていたんです。「蜃気楼絡みで何かいこう」となった時に、ストレートにローマ字表記で「shinkiro」と書くのが面白いし、パッと見た時にも「おっ!」となるかなと思いまして。

――普通だったら漢字のまま「蜃気楼」で決まりそうですが違ったのですね。

 何か漢字っぽくない感じ(笑)と思って。例えば小説などを読んでいる時に、ページの上に第一章のタイトルがローマ字で書かれているイメージわかります? そういうデザイン性が浮かんで、漢字ではなくローマ字にしたらちょっとかわいい感じがするなと思ったんです。

――ジャケットのテーマが“未知との遭遇”とのことですが、ジャケットで首に巻かれているのは?

 雪の結晶が羽根のようになっているというモチーフがあるんです。実際に手作りのものがあって、それを撮ったんです。

――綺麗ですよね。別冊のブックレットの写真はドイツなんですよね。

 去年、ドイツのアニメフェスに行ったんですが、観光する時間がちょっとありまして、そこで「撮影したいね」という話があったんです。ドイツはすごく綺麗で好きな場所なんです。ファーストシングル「ideal white」の衣装で、人の居る日常ではあるんだけど、そこに“フワッと舞い降りた白い物体・綾野ましろ”というイメージですね。無垢な感じというか。それこそ未知との遭遇ですね。

――ドイツはどのような所が気に入いりましたか?

 北海道と緯度が近い事もあって、空気感が似ていたんです。日本よりは乾燥していて暑くても汗でベタベタにならないんですよ。

――日本は基本的に湿度が高いですからね。ましろさんは北海道に住んでいますが、東京はどうですか?

 東京は満員電車がつらいです。あれはいまだに苦手です。終電の時間に、人に揉まれて流されて、もう浮きましたね。人に押されて。「足が地面につかない!」って感じになりました(笑)。

――浮いたんですね。札幌ではそのような事はない?

 ないですね。お祭りの時くらいです。

――じゃあ、東京は常にお祭りで楽しい街という事で(笑)。

 愉快な街です(笑)。でも、そこでも「皆どういう気持ちで電車に乗っているのかな?」とか客観視して考えます。そういう時に音楽を聴きたくなるんです。そこで皆に寄り添える音楽を作る事が出来たらなと思いますね。

結果的に自分との勝負に打ち勝たないと何も達成感が残らない

綾野ましろ

綾野ましろ

――現在、アニソンアーティストはみんなの“憧れ”だと思います。普通の歌手ではなくて「アニソンアーティスト」になりたいという人も多いですよね。

 私が小さい頃はアニソンのアーティストというジャンルがそこまで認知されていなかったというか。ちょうど、札幌に出てくるタイミングでそれが盛り上がってきていて、感化されたという部分はあります。アニメは昔から観ていたけど、アニソンを専門に歌うアーティストというのがすごく新しい発想というか、色々と自分のルーツを辿るきっかけにもなりました。確かに「アニソンアーティスト」って今は憧れの存在なのかもしれない…。

――歌を歌うことや歌詞を書くということについて、ご自身の方法論や常に心掛けていることなどありますか。

 “素直に偽りなく”という事は心がけています。歌詞を書くにしても、今作はアニメ『D.Gray-man HALLOW』主題歌の「Lotus Pain」で初めて単独で歌詞を書かせて頂いたんです。その時に世界観を広げたいとか、彩る一因として歌を歌いたいという気持ちが強過ぎて、変な方向に行かないように素直な気持ちで正直にやりたいなと思ったんです。もちろんアニメに寄り添いつつなんですけど、自分が思っている事もちゃんと伝えたいし、シンガーとしても見てもらいたいという面があると思うんですけど。でも、すごく意識しているという事はないです。

――歌に対する並々ならぬ想いが伝わってきますが、音楽が嫌いになった事はありましたか。

 音楽をやめたいと思った事はないです。「音楽じゃなかったらどうしたい」という事が考えられなくて、しかもずっと「歌手になりたい」と言っていたから、親とかも相手にしてくれなかったし、誰も本気にしてくれなかったです。「そんなの幻想、夢、このカタい世の中でね…」って。私は北海道の洞爺に住んでいて、少ないクラスメイトとワイワイしていたような子だったんですけど、その友達関係みたいなのが全部嫌になって上手くいかなくなった時期に、やっぱり音楽は救いで癒しだったんです。

 だから今度は私がそういう居場所をつくるみたいな使命感が勝手に生まれていったり。ただ単純に好きだからやりたいという自分の思いもあるんですけど。それでずっと生きてきたから、「歌手にならなかったら何をやりたかったですか?」という事を聞かれてもよくわからないんですよね…。

初回生産限定盤A

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――周りに反対されたり冷めた反応を浴びせられると、より一層ご自身の思いは強くなりそうですね。

 そうですね。

――そういった思いが形になった楽曲は?

 むしろ、そういうのが多いかもしれないです。というのも、生まれてから色んな自我ができてきて、自分のやりたい事を選択していけるようになってからというのは、やる気のピークを超えると惰性になっていく瞬間があると思うんです。そういう時に、パッションがある時の「何かがしたい!」という気持ちの時の事を思い出すと、やっぱり死ぬまでに何が出来るのかというのは自分で選びたいなとすごく思うようになったんです。だから自分と戦うというか、人との順位を競うというのもモチベーションとして大事だけど、結果的に自分との勝負に打ち勝たないと何も達成感が残らないというか。

――そこに若くして気付く事が出来たことがすごいと思います。

 小学校や中学校の頃は他者と競う事ばかりしていたんです。その思いだけで頑張っていたし、それこそ「親に認められたい、負けたくない」という思いがあったから、誰よりも強い存在でいたかったんです。だから順位にも拘りましたし。1位になったら簡単にメダルとかもらえるじゃないですか? それが全部「くだらない」と思った瞬間がありまして。でも、それもすごく大事なんですよ。

――そうですよね。それを経験した上での感覚ですよね。

 それが「大事だな」と思う瞬間と「なんだ」と思う瞬間のバランスでどっちが勝つかでずっと続いていくと思うんです。「自分に勝たなければいけないな」と思ったのは、小学校の最後のピアノの発表会の時に「自分では頑張ったつもりだ」と思って練習して発表会に出たら、大勢が観ている中で間違えて弾いてしまってそこから弾けなくなったんです。頭が真っ白になって。まさに“白い暗闇”ですよ(笑)。冷や汗は出ているけど、一応ちょっと前から弾き直して。でも引っかかって、何回も同じ所をやって。

綾野ましろ

綾野ましろ

――それを発表会で?

 もう本当に「スパイラルガーデン」になってしまって。なんとなく最後まで弾いて終わったんですけど、その後はトイレに閉じ篭って号泣して。母親になだめられたんですけど、その時に「自分に負けた」と思った瞬間でした。そういう事を小さい頃に経験した事をずっと覚えていてバネになっていたりするんです。自分に勝てた時は、順位も大事ですけど“自分は頑張った”という過程も大切にしたいですし。でも順位も大切ですし、そのバランスが何か難しいなと思いますけど。「じゃあその難しい思いを歌詞にしよう」と思うようになりました。

――やはり哲学的ですね(笑)。

 でも、明るい曲もあるんですよ。「labradorite」は、楽曲・編曲はクラムボンのミトさん、作詞にmeg rockさんに書いて頂いているんですけど、弾けた明るさもあり、私らしさというのを残して書いてくれているので、「戸惑いながらも皆を引っ張って行きたい」という思いが込められているんです。今後、ライブでみんなが盛り上がれる曲になったらいいなと思っています。

――「labradorite」とはどういう意味でしょうか。

 天然石の名前なんです。青っぽい色の、貝殻の虹色の輝きのようなキラキラしている石なんです。

――それをもじった<ラブラブライドに乗って!>という歌詞がまたいいですよね。

 そうなんです! でも私そんな事を言った事もないし、もう照れるわ! と。でも、その照れた感じで歌って下さいというご注文もありつつ(笑)。「言っちゃった! 逃げたい!」、「逃げたいくらい恥ずかしいけど言う!」みたいな(笑)。そういうモゾモゾした感じを表現してみたので、ぜひ聴いてみてください(笑)。

(取材・村上順一/撮影・冨田味我)

綾野ましろ

綾野ましろ

 ◆綾野ましろ まっすぐな意思を感じる透明感ある歌声で、聴く人の心が求める理想の歌とメッセージを届ける。 2014年放送のTVアニメ「Fate/stay night」オープニングテーマ「ideal white」(アイディール ホワイト)で10月22日にデビュー。

今年8月3日には、7月放送スタートのTVアニメ「D.Gray-man HALLOW」エンディングテーマ4th single「Lotus Pain」をリリース、10月5日には1st album「WHITE PLACE」のリリースが決定。そして10・11月には、大阪・東京・札幌でワンマンライブを開催する。

インタビューカット

作品情報

1st album「WHITE PLACE」
2016年10月5日(水)発売
・初回仕様限定盤A:CD+BD+別冊ブックレット 
4000円(+税) / 品番:BVCL-748~9
・初回仕様限定盤B:CD+DVD+別冊ブックレット
3800円(+税) / 品番:BVCL-750~1
・通常盤:CDのみ
3000円(+税) / 品番:BVCL-752

[CD]
1.「white arise ~ overture ~」 
2.「ideal white」(1st single:TVアニメ「Fate/stay night」OPテーマ)
3.「スパイラルガーデン」(新録曲)
4.「Lotus Pain」(4th single: TVアニメ「D.Gray-man HALLOW」EDテーマ)
5.「刹那クロニクル ~album version~」(プレデビュー曲)ボーカル再録音
6.「shinkiro」(新録曲)lyrics & music:naohisa taniguchi
7.「misty way」(新録曲)
8.「labradorite」(新録曲)
9.「vanilla sky」(2nd single:TVアニメ「ガンスリンガー ストラトス」OPテーマ)
10.「Delusion」(新録曲)
11.「focus light」(配信ソング:STV(札幌テレビ放送)「アオタガイ学園」テーマソング)
12.「憧憬」(新録曲)
13.「infinity beyond」(3rd single:PC版ゲーム「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」テーマソング)
14.「春想の街」concept album「early days」収録:北海道庁「クールHOKKAIDO」公認ソング)
bonus track 「Believe」(配信ソング:玉置成実カバー)

[BD/DVD] ※初回生産限定盤のみ
昨年11月3日に渋谷TSUTAYA O-WEST開催の1st ワンマンライブの映像を収録

1.「opening」
2.「ideal white」
3.「pledge of stars」
4.「燐光」
5.「刹那クロニクル」
6.「infinity beyond」
7.「vanilla sky」
8.「ハーフムーンフラワー」

[別冊フォトブックレット] ※初回生産限定盤のみ
ドイツでのフォトセッションで撮りおろされた写真で構成されたフォトブックレット

ライブ情報

<綾野ましろ One-man Live 2016 WHITE PLACE>
10月16日(日) 大阪 梅田Zeela
11月3日(木祝) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM
11月12日(土) 札幌 cube garden

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