シンガーソングライターのnaNami(ななみ)が4月26日に、アニメソングカバーアルバム『この歌がいつか誰かの決心になりますように』をリリースした。大分出身。2013年にYAMAHA主催のオーディション『Music Revolution』でグランプリを獲得。2015年には“ななみ”としてシングル「愛が叫んでる」でメジャーデビュー。今作は、シンガーソングライター“ななみ”としてではなく「ボーカリストとしての自分を新しく見つけたいという気持ちもあって、名前の表記を変えました」と、もう一人のシンガー“naNami”として挑んだもの。自身が影響を受けたアニメソングから選曲した。デビュー前、ひきこもりだった時期もある彼女。希望を見い出したきっかけである音楽との関わり、そして今作に懸ける想いを聞いた。
声が低いのがコンプレックスだった
――デビューされてから2年が経ちます。デビュー前はどんな活動をされていたのですか?
“元ひきこもり”で“元ヤン”という半生の人間です。14歳の時に両親が離婚をしたのをきっかけに学校に行かなくなって…。家のPCを使ってインターネットで音楽を聴いていて、音楽が自分の生きる力になりました。『Music Revolution』というYAMAHA主催のオーディションをきっかけにメジャーデビューをさせて頂いたという経緯です。
――元はヤンキーだったという経歴はパンチがありますが、ヤンキー時代は長かったのでしょうか?
17歳から18歳の頃で、経歴的にはひきこもり時代の方が長かったです。YouTube全盛期だったので、観たいものも関連動画から全部観られました。家に居るだけで、ある意味「夢」を見られたんです。
――インターネットを使って、他の人とコミュニケーションを取ったりは?
ひきこもり同士のチャットみたいなものがありまして(笑)。そういったものでコミュニケーションはとっていました。そこで、地元の大分で音楽活動をしている方々と知り合ったりしたんです。
――そういったやりとりをしつつ、互いの悩みを話したり?
はい。「何でひきこもりになったのか」という所から始まりますね。「そっか。親が離婚した系か」みたいな(笑)。色んなパターンがあるんですよね。「いじめ系」とか「ただダルい系」とか。
――そのコミュニケーションの中で特に印象に残っているのは?
「自分は親が居るだけありがたいんだ」と、相手の境遇に対して自分が思ったような方も居たんです。悲しいのは自分だけではないんだなと思いました。家に居るだけだけど独りじゃないと。生まれた時代と自分の環境に感謝しました。
――その中で音楽はかなり重要だった?
勉強があまり得意ではなくて、良い成績が取れて褒められた事は無かったんです。でも歌を歌った時に周りが褒めてくれて、その時に「必要とされた!」という気持ちが生まれて凄く嬉して。それでオーディションを受ければ受けるほど、評価をしてくれる分、自分という人間は学校では居場所が無かったけど「誰かが求めてくれる」というのが実感できて。それで音楽に必死でした。
――音楽が無かったらと考えると。
もう生きていないかもしれないです…。
――音楽はそれほどの比率を占めていたわけですね。
そうですね。それこそ終止符を打ってしまった仲間達を見ていると、終止符を打たないようにしてくれた音楽があって私は良かったなと思っています。
――褒められるという事は重要ですよね。人に必要とされないと感じてしまうと、どんどん闇に入ってしまうと言いますか。褒められるまでは自分の声の魅力に気が付いていなかったのですか?
声が低いので、むしろコンプレックスだったんです。当時は声が高い女性が人気があったので。日本は特に「女性は女性らしい声が綺麗」というイメージが昔からあったので、私は男の子みたいな声だったので小学生の頃から悩んでいたんです。
――特に一時期はハイトーンボイスが流行っていましたからね。
でも歌を歌うようになって、洋楽を聴いたりしてジャニス・ジョプリン(米・女性ロックシンガー)とかハスキーな歌声を聴いて励まされたんです。コンプレックスだった事が音楽をやる事によって一つの個性に変わった事が嬉しくて。その時、初めて親に対して「この声に産んでくれてありがとう」と思えるようになりました。それまでは「なんでこんな声に産んだの?」と凄く責めていたんですけど(笑)。
――声がコンプレックスだったんですね。naNamiさんの低音は、海外アーティストのような歌声ですよね。英語の発音もとても綺麗だと思いました。
英語は全然喋れないんですけど洋楽をよく聴いていたので、単語の繫ぎのパターンみたいな所が知らずのうちに染み付いていたのかもしれないです。
――耳の良さもあるんでしょうね。英語を聴いて、言葉の音感をそのまま音としてアウトプット出来るという。最初に歌を聴いた時はハーフの方かと思いました。
純日本人で大分出身なんですよね(笑)。