北海道洞爺湖出身の人気アニソンシンガー、綾野ましろが8月3日に、シングル「Lotus Pain」をリリースする。表題曲は、テレビアニメ『D.Gray-man HALLOW』のエンディングテーマ。「破壊者か、救済者か」をサブテーマに掲げる物語に沿って、ましろが劇中にある全ての要素を二面的に捉え、歌詞に書き上げた。幼少期から歌手を夢見て、洞爺湖の湖畔で歌を口ずさみながら歩いていた。その当時の面影は今の彼女に残る。アーティストネームのましろは、北海道の雪の白さをイメージして名付けられたが、彼女の心には常に白と黒の二面性を併せ持つ。どこか同アニメの世界観にも通じる。ライブではアグレッシブに攻め立てる一方で、彼女が描く歌詞の世界観はとても繊細だ。今注目を集める彼女の素顔とは、そして同曲に寄せた想いとは。
白と黒、染まらない点での紙一重
――ましろさんは白色の印象が強いですが、今回のジャケットもそうですし、今お召しになっている衣装も黒ですね。
黒も好きですよ。白と黒は紙一重ですからね。
――面白い発想ですね。白と黒が一紙一重というのはどういう意味でしょうか?
ある意味、どちらの色も何かの色に染まっていない、混ざっていないといいますか。「何にも染まっていないものと、何にも染まらないもの」という。私は両極端が好きなんですよ。衣装は白が多いんですけど、4thシングルの今作「Lotus Pain」は黒がキーカラーとして入っているので、「紙一重で一緒なんじゃないかな」と思っていたのが衣装として着られるというのがすごく嬉しいんです。私服でも最近はモノトーンがすごく多いです。白だけにするか、黒だけにするか、混ぜても白黒に統一しちゃいます。あまり色モノを入れていないので、たまにピンクとか明るい色を着ると「新鮮だね」と言われます。
――白と黒は両極端の色で、是か非かを表現するときには「白黒はっきりさせる」という言葉も使います。それから考えると、ましろさんは物事をハッキリさせる方ですか?
“白か黒か”で判断しちゃうタイプなので曖昧なのは苦手です。
――それは小さい頃から?
小さい頃からですね。
――サバサバしている?
そうですね、すごくサバサバしています。でも、それで親によく怒られることもありました。なかなか人間関係が上手くいかない時もあって。その中で音楽だけは特別な存在で、誰にも譲りたくなくてこだわっていました。ずっと続けていたい大好きなものなので、とても救われていました。
――ハッキリと物事を言ってしまう子だったから相手に誤解されたり?
誤解される時も多かったですね。濁した方がいい時もあるんですけど、それは大人になってから学びました。小さい時は後先も考えず、ハッキリした子でしたね。
――支えてくれたのが音楽で、歌手を目指そうと思ったきっかけは?
4歳の時です。その時はテレビにSPEEDさんとかが出ていて、踊って歌う「可愛い女の子」というのに憧れていたんですよ。当時、皆がプリキュアやセーラームーンに憧れたように。だけど、「歌手になりたい」という想いはただ漠然とあっただけです。その頃はまだ小さかったですから「天使になりたい」とも思っていて。ある時に「それは難しいことなんだ」と気付いて、それで歌手になることを夢に見るようになって。大きくなるまでずっとそれを夢見て。親は「歌手の世界はよくわからない」と思っていて、安定した仕事に就いて欲しかったみたいですけど。応援したいけど、どうやってなれるのかも分からない、どうしてあげれば良いのかさえも。勉強を頑張ればなれるわけでもない。だから、親は困ってしまって安定した職業を望んで。だからと言って私は、言われた通りになるのが凄く嫌でした。それで、バイトしながらライブをしていました。親からすれば、そうした私の行動や生活は不安だったと思うんですけど、一度言ったら曲げないという性格はわかってくれていたから、半分諦めで「がんばってね」と言って背中を押してくれました。
――曲げない性格という事は、目標を決めたら達成するまではあきらめないタイプ?
そうです。だから失敗もいっぱいしました。とりあえず、行きたい方向に行く。でも石橋は叩きながら渡るという感じです。
――それは音楽活動以外の事ではどうでしたか?例えば宿題はちゃんとやっていたとか。
宿題はちゃんとやっていましたね。
――夏休みの宿題も溜め込まず?
それは溜め込みますね(笑)。でも結果的に提出日に間に合っていればいいやというタイプですね。
――追い込まれたらやるタイプ?
追い込まれたらやるタイプではありますね。本当はコツコツとやりたいので、私の座右の銘でもありますが、「駑馬十駕」(編注=どばじゅうが、意味=才能の乏しい者もたえずに努力すれば、やがて才能のある者と肩を並べることが出来る)という四字熟語に私を重ねて継続をしていこうという思いは強くあります。これは自分への、みんなへのエールとして、駑馬十駕というのを使っているんですけど、そもそも駑馬十駕は「頑張る、頑張れ」という言葉の替わりを探していて見付けたんです。それは最近心がけていますね。継続する事や前々からやっておく事って結果的に良い方向に行く事が多いじゃないですか? だから大事だなって思っています。
――計画を慎重に立てていくというより、行動に移していくタイプなんですかね?
そうなんですね。自分の好きな方向とか興味が向いた方向には行けるんですけど、興味がない方向には全く行けないんです。宿題も「締め切りだ!」と思うと提出日に向かって行動が出来るんですけど、最初は方向を見失っていますし。そもそも夏休みが始まるとか終わるというのは意識した事がなくて。
湖畔で歌を口ずさみながら
――夏休みの始まりと終わりを意識しないのは珍しい考えですね。
「ああ、今日って終業日なんだ?」と思って家に帰るから、次に始まる日も知らないので、親に「あなたいつから学校?」って言われても「知りません」と(笑)。友達からFAXで持ち物とか教えてもらって「明日から学校なんだ!」という感じだったんです。日々やりたい事をやってきましたという感じです。
――本能のままに?という感じですかね。夏休みは日々どのように過ごしていましたか?
中学校の卒業までは北海道の洞爺湖で育ったんですけど、夏休みは何してたかな…。創作活動みたいな感じでしたかね。オブジェを作ったりとか、湖に行って歌いながら遊んでいたりとか。あとはその時いたクラスメートと音楽の話をしていたりしていました。
――洞爺湖ではどんな音楽を?
自分で適当に作詞作曲した歌を叫んでいたりとか(笑)。当時好きだった音楽や気になった音楽などですね。
――J-POPですか?
L'Arc〜en〜Cielさんが多かったです。小学校の時からずっとリスペクトしているんです。
――事前情報でロックに傾倒していると聞きましたが、L'Arc〜en〜Cielさんなどのロックをずっと聴いていたんですか?
結果的にジャンル分けをすればロックだったという感じなんですけど、単純にL'Arc〜en〜Cielさんの世界観が好きだったんです。歌詞に共感したり、メロディがDNAレベルで好きなんです。当時は「このメロディがどう」とかはよくわからないじゃないですか? けれど、なんか好きで癒されるし、刺激をもらえるし、それを聴きながら物を作ったり歌を歌ったりしていました。習い事もしていてピアノを弾いていました。
――その時に聴いたものは今でも影響として出ていますか?
それはあると思います。激しい曲とかアゲ曲だったとしても、メロディの繊細さにはこだわっています。頂いた楽曲でもメロディはこうして欲しいなとか、アレンジのテイストの提案をさせて頂いています。歌詞の世界観も、ちょっと切なかったり哲学的な事を考えがちだったりします。季節で言うと、夏の終わりから秋にかけてが似合うような曲が好きですね。夕暮れ時に湖に向かって歌ってたという日々が多かったので、そういう雰囲気が好きなんだろうなって思います。
――北海道の夕暮れ時というとちょっと、ひんやりしているイメージがあります。
ひんやりしてるかな…。
――摩周湖ほどではないですが、それでも洞爺湖も霧がかかっているイメージがあります。
霧はそんなにかからないですね。けっこう開けている感じなんです。真ん中に島があるんですけど、きっと島に行くと霧がかかっていると思います。1月に発売したコンセプトミニアルバム『early days』収録の「春想の街」のMVを撮った時は、早朝だったので霧がかかっていて幻想的でした。心がピュアな人はそういう時に龍が見えるんです。
――ましろさんには見えましたか?
その時は見えなかったですね(笑)。
――龍が出るという言い伝えがあるのですね?
あるんですよ! 多分見るといい事があるのだと思います。
――L'Arc〜en〜Cielさんの楽曲は、爽やかな曲でも少し陰がある部分があると感じます。
そうなんです。何かちょっと切なさがあるというか…。
――その時の自分を色で例えると何色ですか?
何色かあるんですけど、薄紫のようだったり、藍色だったり、ゴールド色だったりします。その曲によって違うんです。グレーだったり白だったりパールグレーだったりと。曲は頭の中で色でけっこう作り上げちゃうかもしれないです。
――染め上がる前というか、白か黒が好きというのはそこから曲によって染め上げられていくのでしょうかね。
曲によってですね。
――私の話で恐縮ですが、2000年に有珠山が噴火して、その直後に洞爺湖に行く機会がありました。坂を車で登っていきましたが、途中で規制が張ってあって、道路には降った火山灰がわずかながらに積もっていたと記憶しています。温泉は最高でしたが。
今はだいぶ落ちついていて綺麗になっていますね。サミットが数年前におこなわれたので(編注=2008年、北海道洞爺湖サミット)、街もそれに合わせて整備されました。自然はいっぱい残っていますけど、道路がきれいになっていたり建物が建て替えられたり。観光地感もアップしつつ自然も残っていて、すごくバランスのとれた街になりました。
室蘭ではバンド活動も
――ましろさんは学生時代、洞爺湖から室蘭へ移られたんですよね?
学校が室蘭だったんですけど、住んでいた所は白老という土地なんです。室蘭から電車ですぐ近い所です。
――室蘭に「カレーラーメン」がありますよね?
あります。「みそカレーラーメン」とか。
――けっこう行かれましたか?
室蘭に有名なカレーラーメン店があります。私は比較的、白老や苫小牧にもカレーラーメンを良く食べに行ってました。そこのラーメンは私好みで。私はもともとラーメンが大好きなので「ラーメンだったら何でもいい」という思いがあるんですけど、あれは死ぬ前には必ず1回食べたいラーメンですね。
――北海道はラーメンがすごく有名で、旭川などにもたくさんありますね。
私は「みそバターラーメン」みたいにバターが入っているラーメンは実は食べてこなくて。初めて食べたのが2年くらい前なんです。ずっと道産子として育っているのに、「バターは体に悪い」と思っていたのでずっと食べていなかったんですよ(笑)。でも食べてみたら美味しくって…。この年齢からその美味しさを知ってしまったらもう大変です。
――バターが入ったラーメン、美味しいですよね。
北海道に限らず、美味しいものがいっぱいあるんですよね。日本全国美味しいものがいっぱいあるんだなって思いました。やっぱり人間というのは食欲で動かされている部分が大きいです。
――人間には「三大欲」「五大欲」があると言いますが、ご自身の中で“食欲”は大きいですか?
大きいですね。基本的には食べ物の事ばかり考えます。このお仕事をしていなかったら、好きなものを好きなだけ食べていると思います。
――食べ物では何が一番好きですか?
一番好きなのはラーメンやうどんなどの「麺」です。それと、酢とラー油や辛いものが好きなので、キムチも好きです。合わせると一番美味しいのは麺かなって思います。その次がお肉。
――という事は焼肉屋の定番メニュー、冷麺も好きですか?
冷麺も大好きです。すっごい好き…。
――さて、室蘭での学生生活はどういったものでしたか?
室蘭の学校に通っている頃は、友達はあまりいないタイプでした。
――部活はやっていましたか?
ずっとソフトテニスを中学校の時にやっていたので、一旦はソフトテニス部に入りました。1年で辞めましたね。それからは「そうだ、私は歌手になりたいんだった。テニスやっている場合じゃない」って思ったんです。そこで音楽の勉強を始めて、ライブをやりしました。
――それも室蘭にいた頃に?
そうですね。その地域でやって、バンドも組みました。
――その時のバンドというのは?
全然お遊びのバンドです。パートはボーカルで、当時はまだ人前で歌うのがちょっと恥ずかしいし、自信がなかったのでツインボーカルにしていました。
――相手のボーカルは女性でしたか?
はい。女の子でした。
――ではガールズバンドを?
男女混合でした。あまり交友関係が広くなかったので、とりあえず知っている人に「友達でギター弾ける子いない?」と話をして探していた結果、男女が混ざってしまいクラスも学科も別々の人達が揃ったんです。そのメンバーでライブをやっていました。
――曲はオリジナル?
コピーでした。ツインボーカルだったので、お互いに好きな曲を持ち寄ってやりました。その時はJ-POPでした。あんまり覚えていないんですけど、いろいろやりました。
意地もあったストリートライブ
――その後、札幌に出てられたようで。
歌手になるために札幌に出てきて、そこで路上ライブをやったり、音楽に詳しい知り合いができてイベントに出たりとか、ライブハウスで歌ったりするようになりました。
――ましろさんが路上ライブをしているというイメージが湧かないですね。
自分でもあまりイメージがないです。でも、路上で、機材が何もなくてもその場で歌えるという精神は身に付いたと思います。
――路上ライブは頻繁におこなっていたのですか?
2日に1回くらいです。
――けっこうな頻度ですね。
意地でやっていた感じですね。雪が降って寒い中、なかなか人も立ち止まってくれないのにやるなよという感じなんですけど、その時はなかなか気持ちを共感できる人がいなかったりと孤独感があった時期で、無理矢理やっていました。歌っている時はもちろん楽しいんですけど、結果的に大変でした。
――室蘭や洞爺湖と比べると札幌は都市の規模はだいぶ大きいです。都会の地に慣れないという気持ちもありましたか?
それは大丈夫でした。生活する場所に違和感をおぼえるという事はないんです。現在もリリースイベントで各地を回らせてもらって「疲れる」という事はあまりないんです。むしろ楽しく過ごしています。当時は、もっとたくさんの人に歌を届けたいし、もっと自分の中で表現したかったんですけど、そのやり方や何をどうしたら良いかがわからなかったんです。自分に合った音楽のジャンルも定かではなかったんです。路上ライブを主軸として活動しているアーティストもいるし、地下ライブハウスで毎日活動しているアーティストもいるし、デビューしてCDを出して活動する方もいるし、色んな音楽の表現の仕方がある中で自分がやりたい事がまだその時は明確ではなかったと思うんです。“ただ歌いたいだけ”だったかもしれないですし。でも、伝えたい事がその後に少しずつはっきりしてきたので、その後は楽しく活動できるようになりました。
――路上で活動するもなかなか自分の歌が伝わらなかったり、人が足を止めてくれる時もあればそうでない時もあったりと…。
興味本位で止まってくれた後が難しかったです。それがなかなかライブの動員に繋がらなかったりと。「こんな寒い中で歌ってるんだ…」という事でしか興味を向けてくれなかったりしました。自分は精一杯なのに“伝える技術”が足りなかったのかなとその時は思っていました。
――“マッチ売りの少女”みたいな感じもありますね。今はこうしてデビューをしてCDもリリースしていますが、そのように活動が開けたきっかけは?
当時お世話になっていた方の紹介で知り合ったのが安田史生さんという方なんです。その人と知り合って、音楽以外のいろいろな話をしたんです。趣味とかこれまでの生い立ちや、人間性の話や信念の事なども。そうして「そもそもどんな音楽が好きで音楽を始めたんですか?」という話になった時に、原点に戻って、ロックや歌謡メロディと、それに乗せる歌詞のどういう世界観が好きだったのがとか、そういうぐちゃぐちゃだったものを整理整頓した結果、今に落ちついているという感じです。
洞爺湖の記憶が見え隠れする言葉
――歌詞を読むと、カップリング曲の「tiny wings」で<迷い朽ちるなら>など、女の子のイメージとは異なる言葉がありますね。特に<朽ちる>。これは小さい頃の洞爺湖で過ごした時代が投影されているのかと感じました。
人は、生まれちゃったら命が尽きるまでどう生きるか、だと思うんです。ずっと迷って他の事のせいにして責任転嫁して切ない感じで終わっていくのは嫌だなという意味で、「自分はこのままじゃ終わらないぞ」という、“弱いんだけど一歩ここから抜け出そうという”という気持ちを持った女の子をテーマにして書いたんです。その中で、そんな自分でも見守ってくれた人がいたんだという事に気付ける自分になった時に、今いる場所から殻を破って飛び出して、今度は逆にその人の事を導いて行きたいという強い希望にかられた主人公をこの曲の中で描いているので、その時間軸を感じてもらえたらいいなと思います。
最初は自分の殻の中に閉じこもっていて、「外に行くよりここに居た方が楽なんじゃない?」という思いもあったりするんですけど、曲の2番では寂しさとか強がりを見抜いていてくれたんだという事にハッと気付いて、自分が波風が立たない真っすぐな線から心電図で心臓の脈が打ち始めた自分というのを感じて、人間らしくなっていて頑張ろうという意欲が湧いてきたという感情、前に進みたいんだという気持ちを表現しました。きっとそれは自分の中でもこの主人公に共感しながら書いているのだと思うんです。
――言葉の選択は結構時間がをかけながら考え出しますか?
その場面によるんですけど、基本的には伝えたい事、書きたい事をまずそのまま書いてみて、当てはまらなかったらまた考えて、という繰り返しです。
二面性を意識
――表題曲の「Lotus Pain」は、TVアニメ『D.Gray-man HALLOW』EDテーマですが、その作品を観てから作詞をしたのでしょうか?
そうです。小学校の時から読んでいた漫画で、アニメの最初のシリーズも観ていて今回のシリーズを待っていたんです。ファンの皆さんも「またいつか始まるんじゃないかな?」という気持ちだったと思うんです。実際にまた話が始まるという事になった時、私はEDテーマをやるという話は知らなかったので、素直におかえりなさいという気持ちと、今こうして活動させてもらっているので、主題歌を歌えるチャンスがあったらいいなとずっと思っていました。
――このアニメは「救済者か、破壊者か」というのがサブテーマにあって、悲観に満ちた魂を魔導式ボディに閉じ込めることで作られる殺人兵器と化したAKUMA。それを製造する、世界の終焉を目論む千年伯爵率いる「ノアの一族」と、AKUMAを破壊できる唯一の存在「黒の教団」率いるエクソシストたちとの闘いの裏側を描いたものです。作品の世界観を想像しながら歌詞を書いたのでしょうか?
「Lotus Pain」の“Lotus”は蓮の花で、直訳すると“蓮の痛み”という意味の造語でタイトルを付けたんです。蓮の花はニアリーイコールな感じで、アニメに出てくるキャラの神田ユウ(編注=黒の教団で、他人との無意味な接触を嫌いクールで何事も単独行動を好む美少年。忌々しい過去の記憶に縛られ苦しむ、彼にしか見えない「蓮の花」がある)なんです。そういう意味もあって「Lotus Pain」にしているんです。もう1人の登場人物のアルマ=カルマ(編注=教団の北米支部で眠る第二エクソシスト)との2人の関係性を描いています。2人はただ単に友情関係とかではなくて、仲はいいけど本人同士も想像出来ないような、魂や肉体と、4つの人格があることをイメージで私は書いています。
だから、お互いの1対1同士の関係性も考えたし、たとえば、「2番目」、「奥底」、「魂での叫び」というものとの引き合わせというのもすごく考えました。あんまりクロス的には考えてはいなかったですけど、物事、ストーリー、単語を2つの視点で考えました。だから、神田から見たアルマ、その出会いを描いたりとか、2人が出会った時の情景を描いたりとか、というのもあるし、花に例えて、種と書いて“こえ”と読んだりとか、それは魂からの叫びという意味で「種」にしたんですけど。その2人が争ったりしながらも、君を壊して、僕を壊して、それで解放される、それが最後に、眠りに寄せたその笑顔(こたえ)で完結するストーリーになっています。
――ご自身の心の中にも二面性はありますか? もう一つの考えやもう一人の人格と戦ったり?
ありますね。常にいろんな自分と葛藤していると思います。
――それに勝ち抜いたのが今のご自身という感じでしょうか?
人間の中にはいろんな人格があると思うんですが、その人格それぞれのやり方でやっていたらブレてしまうし、何がしたいのかわからなくなってしまうので、それを一つにするというのはすごく大変かもしれません。
――確かに1人の人間に何人も人格があるかもしれないですね。多重人格者ということではなくて、例えば、お笑いのコントの「天使と悪魔」のように、宿題をしないといけないと思っている自分とさぼりたいと思っている自分が葛藤しているように。色んな考えがあり過ぎてどれが本心なのかが分からなくなることも。
あると思います。小さい頃からそれをすごく感じていました。だからこそ上手くいかない事もいっぱいあったりしましたが、こうして歌詞を書いているとそういうのが整理されたりするんです。書いて納得する事っていっぱいあると思うんです。気になる事は常にノートに書いたりします。
サウンドへのこだわりも
――「Lotus Pain」のイントロがとても印象的で素敵です。先程のお話のL'Arc〜en〜Cielさんの世界観とも通ずると感じました。ここの部分はましろさんご自身が提案されたのでしょうか?
ここは私が提案したというかは、安田史生さんと村田祐一さんの2人でアレンジして頂いているんです。おおよその世界観は伝えていて、歌詞もだいたい出来上がった状態で渡す事が出来たので。3人で擦り合わせはしました。提案して頂いて、「ちょっと違う、こういう感じにして下さい」「オッケー!」という感じのやりとりは何度かありました。
――それは曲のサウンド面で?
そうです。
――そのこだわりをファンに探してもらうというのもいいですね。
ドラムの音やベースラインなどはけっこうこだわりました。
――それは激しさを求めたり?
音色です。プレイしてもらう方にもよりますし、デモの段階ではデータで打ち込んできたりするので、そこから生音に切り替えたりもするんです。「このデータの段階だと延びが長過ぎるので」とか、スネアのピッチとかも曲に合うかという面や好みもありますし。私がこだわりを言うとそれがけっこう反映されるので、とてもありがたいんです。
自分が「ここはもっと良く出来たのに!」というのは終わりが見えないし、無くなりはしないんですけど、少しでもそういうものは減らして聴き手にお届けしたいなという気持ちがあります。
――では最後に今作についてと、今後の展望についてお願いします。
今回の4th シングル『Lotus Pain』は私が小さい頃から読んでいて大好きだった作品『D.Gray-man HALLOW』のEDテーマという事で、とても嬉しいし光栄な事だなと思いながら大切に歌いたいと思っています。ずっと私もこの作品のファンだったので、ファンの方々の気持ちも背負いつつ、代弁していける曲になっていたらいいなと思います。だからたくさんの方々に聴いて欲しいと思っています。今後のライブでも大切に歌わせて頂きたいです。日本でのイベントやライブはもちろん、海外のファンの方々もすごく多いので、海外でもこの曲を歌う機会があったらいいなと思っています。
――ワンマンライブがありますね?
10月16日に大阪で、11月3日は東京・恵比寿LIQUIDROOM、11月12日が札幌cube gardenです。今回初めて関西でのライブをするんですけど、これを機に全国いろんな所で長いワンマンツアーが出来たらいいなと思います。そしていずれはこの『Lotus Pain』も宇宙に届けたいなと思っています。宇宙まで届くくらい歌っていきます!
――とても壮大ですね。
はい!
(取材・木村陽仁)
◆綾野ましろプロフィール 北海道洞爺湖町出身・札幌在住の女性シンガー。まっすぐな意思を感じる透明感ある歌声で、聴く人の心が求める理想の歌とメッセージを届ける。 2014年放送のTVアニメ「Fate/stay night」オープニングテーマ「ideal white」(アイディール ホワイト)で10月22日にデビュー。iTunesポップチャート2位 アニメチャート1位、オリコンデイリーランキング6位を記録。全世界47カ国で配信。サウンド・プロデュースにtoku (GARNiDELiA)を迎え制作された楽曲「vanilla sky」が、2015年4月放送スタートのTVアニメ「ガンスリンガー ストラトス」オープニングテーマに抜擢され、4月に2nd single「vanilla sky」としてリリース。その後、シンガポール・ロサンゼルス・ドイツでのJ-POPカルチャーイベント・フェスに出演。さらに8月にはPC版ゲーム「ガンスリンガー ストラトス リローデッド」テーマソング「infinity beyond」を8月にリリースし、10月11月に地元北海道と東京での初のワンマンライブを開催。即日完売させる。今年1月13日にはデビュー前に地元北海道で制作していた音源と初のワンマンライブの音源を収録した綾野ましろの原点を表現したコンセプトアルバム「early days」を発売。地元・北海道の美しい情景と大切な人に想いを馳せて制作された収録曲「春想の街」は、北海道庁「クールHOKKAIDO」公認ソングに選出された。4月には札幌・東京で2nd ワンマンライブを開催。8月3日には、7月放送スタートのTVアニメ「D.Gray-man HALLOW」エンディングテーマに決定している4th single「Lotus Pain」を発売する。10・11月には札幌・東京・大阪でのワンマンライブの開催が発表された。
作品情報
4th single「Lotus Pain」
8月3日(水)発売
▽初回仕様限定盤:CD+DVD+封入特典
1,630円(+税)/品番:BVCL-735~7
※DVD:「Lotus Pain」ミュージックビデオ収録
※封入特典:「Lotus Pain」オリジナルリボンブレス(3種類のうち1種類ランダム封入)
▽通常盤:CDのみ
1,204円(+税)/品番:BVCL-738
※初回仕様限定盤とはジャケットデザインが異なる。
・期間生産限定盤(アニメ盤)
1,500円(+税)/品番:BVCL-739
※TVアニメ「D.Gray-man HALLOW」オリジナル描き下ろしイラストトールデジパック仕様
<収録曲>
M-1.「Lotus Pain」
M-2.「marionnette」
M-3.「tiny wings」
M-4.「Lotus Pain」(instrumental)
※期間限定盤(アニメ盤)は、M-4「Lotus Pain」(TV size versionを収録)
ライブ情報
綾野ましろ One-man Live 2016 Autumn
10月16日(日)大阪 梅田Zeela
16:30 開場/17:00 開演
11月3日(木・祝)東京 恵比寿 LIQUIDROOM
16:15 開場/17:00 開演
11月12日(土)札幌 cube garden
16:30 開場/17:00 開演
「Lotus Pain」発売記念 購入者イベント
8月5日(金)18時00分~ AKIHABARAゲーマーズ本店
8月6日(土) 13時00分~ もりのみやキューズモールBASE1階 BASEパーク
8月12日(金)19時00分~ タワーレコード京都店
8月13日(土)12時00分~ アニメイト名古屋
8月13日(土)18時00分~ アニメイト秋葉原
8月14日(日)13時00分~ タワーレコード川崎店
8月20日(土)13時00分~ イオンモール苫小牧 1F セントラルコート
8月21日(日)13時00分~ アニメイト札幌
そのほか
ラジオレギュラー「綾野ましろのマシマシ!」
放送局:AIR-G’(FM北海道)
https://www.air-g.co.jp/mm/
毎週水曜19:30-19:55 生放送中