分裂、解散危機――。SMAPの去就を巡り、報道が過熱している。13日に始まった“SMAP解散報道”は刻一刻と事態は変わり、独立分裂から現在は残留へと移っているが、依然として不透明な状況だ。これまでにも解散危機報道はあった。そうしたなかでも彼らを信じ、支えてきたファンはこの事態をどうみているのか。ファンの行動は『世界に一つだけの花』をトリプルミリオンにすることで解散を阻止しようという購買運動や署名ならぬ書き込み運動とともに、「中居くんの言葉を待とう」と、グループを引っ張ってきた中居正広が言葉を発するまで状況を冷静に見守ろうといったスタンスだ。

 1月13日早朝、SMAPの一部のメンバーがジャニーズ事務所を辞め、独立に向けて協議中であるとの報道があった。Twitterでも「SMAP解散」が長らくトレンド入りし、遂にはNHKも報じるなど日本列島がこの話題でもちきりとなった。

 そして、その日の午後、ジャニーズ事務所が報道機関各社にFAXで事情を説明。SMAPの一部メンバーの独立問題と担当マネージャー取締役辞任の報道について、協議・交渉がなされている事実を認めた。しかし、これ以上の情報はなく、どのメンバーが独立の意向を示し、誰が残留するのかなどの詳細は公式には明かされていない。連日、報道機関から伝えられるのは、関係者談など当事者以外の話だ。

過去にも解散の危機があったSMAP

 SMAPは88年に結成、現在のメンバーに加えて、森且行(現・オートレーサー)の6人構成だった。91年に「Can't Stop!! -LOVING-」でCDデビューを果たした。

 当時、爆発的な人気だった光GENJIの後輩グループとしてデビューしたが、すぐに人気が出たわけではなかった。歌番組も衰退の一途をたどる時代で、ステージを主軸にした“アイドルの王道”を突き進むことができなかったグループだ。

 そこで渦中のマネージャー飯島氏が手腕を発揮する。『夢がMORIMORI』(フジテレビ系)を中心とするバラエティ番組に出演。キックベースやコントに挑戦するなど、アイドルとしては前代未聞の売り方で彼らをトップアイドルに押し上げた。

 グループ人気をもり立てるために、ソロ活動も積極的に取り組んだ。木村拓哉は俳優として数々のドラマに出演、中居正広もアイドルでありながら司会を目指すなど、ジャニーズの歴史を振り返っても異例のチャレンジが続いた。アイドルが芸能界で生き残るためには、歌って踊るだけではダメという時代において、新たなチャレンジでジャニーズの歴史を切り開いてきたのがSMAPだ。

 今日に至るまでの道は平坦ではなかった。過去に解散の危機があったことはSMAPの口からも明かされている。

 1996年から現在まで続く冠番組『SMAP×SMAP』がスタートしてまもなく森且行が脱退。この時に解散の危機にあったとメンバーの口から語られた。森がオートレーサーになる前日には、森の髪をメンバー全員でバリカンで刈ったなど、全員で送り出したことも時の流れと共に明かされている。

 他にも木村の結婚に、稲垣吾郎、草なぎ剛の不祥事…、振り返ってみれば色んなことがあった。それでも活動を休止することなく、ずっとSMAPとして走り続けてきた。

 2014年放送のフジテレビ系『武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ』で総合司会を務めたときのこと。大御所タレントがSMAPに向けてコメントをした。なかでもタモリの言葉が印象的で、SMAPのことを「前代未聞のアイドル」と讃えた。SMAP以前のアイドル歌手は別のジャンルへ進出しても上手くいった例がないとして、一人でも成功すればいいところを全員が成功していると褒めていた。

 アイドルとしてデビューできたとしても、継続することがいかに難しいことなのか。ここまで息の長い活動で、愛され続けている男性アイドルはどれほどいるだろうか。グループであることの強さと難しさについて考えさせられた。

解散騒動の根源は?

 『うちの事務所に派閥があるなら、それは私の管理不足です。事実ならば許せないことですし、あなた方にそう思わせたとしたら、飯島を注意します。今日、(飯島氏を)辞めさせますよ。仕事の大事なことって、そういうことだから』(週刊文春/2015年1月29日号より引用)

 昨年、週刊文春のインタビューに30年ぶりに答えたメリー喜多川氏。怒りと情熱、愛情、誌面からは感情がひしひしと伝わってきた。

 話題はジャニーズ事務所内の派閥に及んだ。これまでメリー氏の娘である藤島ジュリー景子氏と飯島三智氏との派閥が囁かれていたが、メリー氏も「事務所に派閥があったら会社の恥」として飯島氏に直接聞いた。「派閥なんて、私は天に誓って言った覚えはありませんので」と飯島氏もキッパリ否定していた。

 アーティストのように活動休止も解散も再結成もない、ずっとSMAPとして走り続けてきたSMAP。時には衝突が避けられないこともあるだろう。しかし、ここまで大きく話題にならなければ変えられないものがあるとすれば、このタイミングで解決しておかなければならないだろう。国民的アイドルの名にふさわしい報道の過熱ぶりだが、メンバーが本気でSMAPを辞めたいと思っているわけではないと信じたい。

レビューに書き込み…ファンも黙ってはいられない

 今年9月にデビュー25周年を迎える節目に予期せぬ騒動となった。SMAPのメンバーと同じく、デビューから見守る古くからのファンにとっても悲しいことである。

 しかし、だてに25年も応援していないのがSMAPファン。解散の噂というはこれが初めてではなく、情報の受け取り方も心得ている。俯瞰(ふかん)しているファンが多く「中居くんの言葉を待とう」といったスタンスだ。

 一報が流れたときも、Twitterでは「#SMAP解散大喜利」がスタートした。連日の新聞報道も「中居が独立を決意」の一方で「中居は後悔のメールを後輩に送信」と内容もまちまちだが、ファンの多くは「中居くんはそんなキャラじゃない(笑)」、「入院した情報すら漏れないのにメールが漏れるわけがない」と情報を鵜呑みにはしない。

 「中居と木村が決別」、まるで不仲のような内容に対してもファンは否定。昨年末、赤坂サカスで開かれていた「SMAPSHOP」に中居と木村が揃って来店したこと、そもそも普段からラジオ等で木村とのエピソードを語ることも少なくない。

 いずれにせよ、本人たちの言葉を聞くまでは悲しむことも、納得のしようもないのだ。

 とはいえ、ただ待っているだけじゃないのがファンというもの。Twitterでは『世界に一つだけの花』をトリプルミリオンにすることで解散を阻止しようという購買運動が瞬く間に広まった。実際にネット通販では、軒並み売り切れ店が続出。さらにamazonのカスタマーレビューにはファンはもちろん、ファン以外からの書き込みで溢れている。そこには「解散しないで」というメッセージとともに、メンバーへの感謝の言葉が並ぶ。

 『ただの勝手な言い分かもしれませんが、「解散してはいけない」グループがいるとしたら、それはSMAPだと思います。彼らが作り、変えてきた、日本の芸能、アイドル、音楽の常識は、計り知れないものです』

 ジャニーズ好きとしても知られるミッツ・マングローブも自身のブログにコメントを寄せた。

 デビューからSMAPを見ているファンとしては、正直、何が起きているのか理解し難く、いまだに何かのパフォーマンスなのではないかと思っているようだ。ファンの願いは一つ。これからも5人揃ってSMAPを続けて欲しい。そう強く願って『世界に一つだけの花』を予約してることであろう。(文・柚月裕実)

この記事の写真

ありません

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)