flumpoolの5都市ツアー東京公演[2]

東京公演では、明朗、爽快、叙情的なスパイスが利いた「flumpoolワールド」を惜しみなく展開した/撮影・古渓一道

 人気バンドのflumpool(フランプール)が、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の“限定5都市”で全国ツアー『flumpool LIMITED TOUR 2015「R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~」』を開催した。このうちの13日、東京・台場のZepp DiverCity Tokyoで東京公演を以下にレポートする。  【取材・平吉賢治】

 MusicVoice限定!flumpool初の単独カウントダウンライブ、チケット特別先行受付実施中!!

 8月に発売したシングル「夏よ止めないで ~You’re Romantic~」がスマッシュ・ヒットし、12月30日・31日には横浜アリーナでflumpool初の単独カウントダウンライブ公演を開催予定、そして、来年2月3日にはニューシングルのリリース(予定)を控えるなど、目下、精力的な活動を見せている。

 2008年、当時ではまだ珍しかった「配信限定」形態でリリースされたシングル「花になれ」のメジャーデビューから7年。flumpoolは持ち前のポピュラリティーのあるサウンド、メロディを武器に、全力で日本の音楽シーンを賑わせてきた。「誰もがこの曲は耳にした事がある」という代表曲を多く持ち、「メジャー感」が光る。

 真っ正面からシーンを駆け抜けてきたflumpoolの『R→LOOF PLAN ~大人の屋根裏計画~』と銘打たれたツアー。そして、最終アクト直前となるZepp DiverCity Tokyo公演では、明朗、爽快、叙情的なスパイスが魅力の「flumpoolワールド」を大盛況の中で惜しみなく展開させた。

美麗でハイクオリティなステージアート

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

 「大人の屋根裏」をイメージしたアートがステージ上に広がる。パネル状のスクリーンがいくつも背後に配置され、色とりどりの絵や文字、光が映し出され、今回のツアーの世界観を色鮮やかなビジュアルとして表現されていた。

 アンティーク時計、本棚、歯車などのモチーフ。オシャレでシックな「屋根裏」のイメージ。いくつものスクリーンが映し出され表現される、その「大人の屋根裏」光景は、超満員でフロアを埋め尽くしたファンのドキドキ感をそそる。「大人の屋根裏計画」というテーマのショーを彼らは一体、どのような形で魅せてくれるのだろうか。

 スクリーンが一斉に動き出す。明らかなライブスタートの合図に「ワッ!」と即座に歓声が上がった。そして、スモークは深く放たれ、会場の半分以上を覆った。だんだんと中央を裂くように霧が晴れflumpoolの姿が見える。絶妙なタイミングで「ベガ 〜過去と未来の北極星〜」のイントロが鳴り響いた。会場一致で上げられる右手は次曲「Sprechchor」まで続き、彼らの演奏と共にその鼓動を全員で刻む。オーディエンスの一体感は最初の1音からすでに出来上がっていた。

 最高の笑顔で歌う山村隆太(Vo.Gt)は高らかに、そして、爽やかに「Zepp city!」とシャウトした。続く「Hello」では、パートを振られたオーディエンスがBメロ部を全て歌う。これぞライブの醍醐味だ。ニコリとしてサビを引き継ぎ、熱唱する山村(Vo.Gt)は序盤から十分なテンションでライブを走らせていった。クールな指弾きでベースをプレイしながら客席に歩み寄る尼川元気(Ba)も、ライブの熱を低音から底上げしていく。

 flumpoolのライブ空間の創り方は、スマートに、笑顔でエスコートするように盛り上げていくものだった。Zepp DiverCity Tokyoは、あっという間にflumpoolの「大人の屋根裏計画」ワールドに突入していた。

「大人の屋根裏」というテーマを掲げる

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

 「改めましてこんばんは! メチャクチャ会いたかったですよ!」とはにかみ、オーディエンスと対話する。冒頭3曲で元気いっぱいになった会場は、温かい歓声でflumpoolに応える。ファンと会話する様に、時に遠慮なくイジる場面があるなど、ファンとの距離感はとても近く、親近感のあるハートフルな空気だ。

 阪井一生(Gt)が今回のツアーに「大人の屋根裏」というテーマを掲げた理由と趣旨を、切れ味のある関西弁でトントンと説明してくれた。「屋根裏でひそひそコソコソ話をする」ように「普段あまりやらない曲を披露していく」といったものだった。アルバム内の「隠れた名曲」をこっそり披露するとなるとファンにはたまらないコンセプトだ。

 スクリーンは額縁におさめられた絵画の様な姿に変わり、ステージバックを美術館のような光景に模様替えさせた。そして、様々な景色を映し出していく。ギター、バイオリン、チェンバロのアンサンブルがとびきり美しい「The Great escape」から攻めロックチューンの「この時代を生き抜くために」と続け、スペーシーなビジュアルアートと光の交差が音と見事にシンクロして放たれた楽曲「傘の下で君は…」に着地する。その色とりどりの光景と、とびきり爽やかなサウンドでたたみ込む様に表現したflumpool「大人の屋根裏」ワールドに、会場は1階・2階席と、超満員総立ちのレスポンスで応えた。

過去の忘れられない恋について歌う

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

 「過去の恋人が今何をしているんだろうなど、SNSなどで探った事がある人います?」という、ややエグい質問を客席に放る山村(Vo.Gt)。ザワつきながらも照れ笑いの声と共に、正直に手を挙げるオーディエンスがちらほら。いや、半分くらいは手が挙がっていただろうか。

 そんな、正に「屋根裏ヒソヒソ話し」的なMCを挟んだ後、「過去の忘れられない恋」がテーマという、意味深な楽曲を披露する。幻想的なブルーの泡に包まれたアートをバックに佇み、阪井(Gt)は神妙にディレイギターを響かせ「君のための100のもしも」はゆっくりと、屋根裏に小さな明りを灯すように始まった。

 ここまで、一斉に上げた手を決して下げなかったオーディエンスは、曲に溶け込む様に、肩を優しく揺らしながらそのインサイドな世界に浸った。切ない調べの楽曲は徐々に盛り上がり、ベース尼川のリードプレイからギターソロ、アンサンブルを包み込むピアノサウンド、聴き手の感情に染み込むボーカル。これぞ「flumpool節」という良曲のライブ演奏は、過去の恋の思い出が淡くなっていく様な、優しくて切ないリタルダンド、ゆっくりとテンポを落としながら、心に刻み込むように儚い音で締めくくった。

バラード明けにflumpoolのロック魂が爆発

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

 余韻を残しながら、ニコッとやさしく笑った山村(Vo.Gt)は「みんなの笑顔を見て出来た曲です」と新曲をコール。ピアノの旋律から流れる「君が笑えば 〜Just like happiness〜」では、前曲からの流れが心の内なる絆を結び、「LOVE・LOVE・LOVE.......」というコーラスがZepp内を輝かせた。そして「夢だけを信じ歩いていこうよ」というメッセージを込めたトドメのバラード「Over the rain 〜ひかりの橋〜」をエモーショナルに演奏し、3曲構成のバラードステージを壮大に締めくくった。

 「楽しんでますか!?」と、バラード3連発明けの空気を読みながら、少しずつファニーな空気にほぐしていく阪井(Gt)は、ギタープレイもさる事ながらトークでもオーディエンスをグイグイと引っ張っていく。そして、山村(Vo.Gt)は楽器を置き、「このツアーでぜひやりたいと思っていた」という楽曲「僕はここにいる」を熱唱。マイクを両手に持ち、詩を表現したアクションを交えながら、自分達の思いをはっきりと伝える様なまなざしで歌った。

 スクリーンは街の雑踏の風景を映し出し、小倉(Dr)の凛としたビートが刻まれる。ブリティッシュロック・テイストな「明日への賛歌」へとライブは走り続けた。街の風景から歌詞が映し出され、曲後半では大合唱が響き渡る。間髪入れずにストロボフラッシュの閃光と高速に変化する映像が展開され、山村(Vo.Gt)が「Because... I am」をコールした瞬間、会場からはハイトーンの大歓声が全方位から上がり、Zeppのボルテージはマックス。最高潮のテンションでロックチューンを立て続けに弾き、flumpoolのロック魂はフルパワーで炸裂した。一直線に燃え上がったサウンドを残しながら、ここのタイミングにセットされていた代表曲「星に願いを」のイントロが始まる。

 挙がっていたオーディエンスの手は、これ以上ないだろうというくらいのテンションで一斉に振られる。山村(Vo.Gt)はそれに応えステージの端から端まで移動し、可能な限り全ての角度からオーディエンスと向き合った。阪井(Gt)、尼川(Ba)もステージ中を所狭しと走り回り、笑顔の全力プレイで演奏を輝かせる。

 flumpoolの存在感を表す様なキラキラとしたスクリーンアート、フラッシュ、色鮮やかな光、ライブ演奏、オーディエンスの熱量。その全てをもって限りなくポジティブな空間を創りだした。いつまでも浸っていたい「大人の屋根裏」空間は、最高潮の興奮と輝きの中で、ラスト「プレミアム・ガール」が演奏され、本編が終了した。

感謝と未来を伝える

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

東京公演のもよう/撮影・古渓一道

 アンコールでは全員Tシャツ姿で現れ、お待ちかねといった空気の中で「証」「イイじゃない?」と2曲を披露。全18曲を演奏し、ライブは終了したメンバー、スタッフ、オーディエンス、関わる全ての人たちに、深く、心を込めた言葉でお礼を言う。

 ライブに対しての感謝の気持ちは、最後に見せた、とても長い時間をかけて深々としたお辞儀に、その心中が明確に込められていた。彼らはこれからの未来の展望をファンに真っすぐ伝え、flumpoolサウンドの様な爽やかなキラキラと輝く笑顔でZepp DiverCity Tokyoステージを去った。

セットリスト

01. ベガ 〜過去と未来の北極星〜
02. Sprechchor
03. Hello
04. The great escape
05. この時代を生き抜くために
06. 傘の下で君は・・・
07. 君のための100のもしも
08. 君が笑えば 〜Just like happiness〜
09. Over the rain〜ひかりの橋〜
10. 僕はここにいる
11. brilliant days
12. 明日への賛歌
- Band Inst -
13. Because ...I am
14. MW 〜Dear Mr. & Ms. ピカレスク〜
15. 星に願いを
16. プレミアム・ガール

EN1. 証
EN2. イイじゃない?

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flumpoolの5都市ツアー東京公演[1]
flumpoolの5都市ツアー東京公演[2]

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