是枝裕和監督と坂元裕二氏。第76回カンヌ国際映画祭・フォトコール©2023「怪物」製作委員会

 是枝裕和監督最新作『怪物』が『第76回カンヌ国際映画祭』で脚本賞を受賞した。脚本を手掛けたのは坂元裕二氏。是枝監督が壇上で感謝の意を示し「一足早く日本に帰った坂元裕二さんに、すぐ報告します」と伝えた。

 審査員長のリューベン・オストルンド監督をはじめ、ジュリア・デュクルノー監督、ポール・ダノ、ブリー・ラーソンらが選ぶ脚本賞を受賞した。オストルンド監督は『逆転のトライアングル』で昨年、パルム・ドールを受賞。デュクルノー監督は『TITANE チタン』で2021年にパルム・ドールを受賞している。

 是枝監督は壇上で以下の通りにスピーチした。

 「ありがとうございます。一足早く日本に帰った坂元裕二さんに、すぐ報告します。僕がこの脚本の基になったプロットを頂いたのが2018年の12月なので、もう4年半前になります。そこに描かれた2人の少年たちの姿をどのように映像にするか、少年2人を受け入れない世界にいる大人の1人として、自分自身が少年の目に見返される、そういう存在でしかこの作品に関わる誠実なスタンスというのを見つけられませんでした。なので、頂いた脚本の1ページ目に、それだけは僕の言葉なんですけども、『世界は、生まれ変われるか』という1行を書きました。常に、自分にそのことを問いながら、この作品に関わりました。一緒に脚本を開発した川村さん、山田さん、作品に関わっていただいたスタッフ、キャストの皆さん、みんなの力でこの賞を頂けたと思っております。ありがとうございました」

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 現地メディアの中継で是枝監督は、受賞後すぐに坂元裕二氏に報告。坂元氏からは「夢かと思った」と返事が届いた。「たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と喜びを寄せたことを伝えた。

 カンヌ国際映画祭において日本映画の脚本賞の受賞は、2021年の第74回カンヌ国際映画祭にて濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞して以来2年振り、是枝監督作品のカンヌ映画祭でのコンペ部門での受賞は2022年の『ベイビー・ブローカー』に続き2年連続となる。

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