INTERVIEW

山﨑果倫

倉科カナ主演ドラマで共演「充実している姿を出したかった」:『隣の男はよく食べる』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年05月24日

読了時間:約7分

 女優の山﨑果倫が、現在放送中のドラマParavi『隣の男はよく食べる』(毎週水曜24時30分〜)に出演。主演の倉科カナ演じる大河内麻紀と同じ会社に務める清原茜を演じる。同作は、美波はるこ氏原作による作品で、恋を忘れた料理上手な独身オトナ女子の前に突然現れた、いっぱい食べる肉食年下男子とのピュアで不器用なムズキュンラブストーリー。肉食年下男子の本宮蒼太役は菊池風磨(Sexy Zone)が務める。インタビューでは、ドラマ『作りたい女と食べたい女』(NHK)や『赤ひげ4』(NHK BSプレミアム)など様々な作品に出演し、着実にステップアップしている山﨑がいま考えていることから、ドラマ『隣の男はよく食べる』の撮影の舞台裏まで話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

監督から一番褒められたプレゼン

村上順一

山﨑果倫

――倉科カナさん演じる大河内麻紀は、年齢というコンプレックスを感じていますが、20代の山﨑さんはどう捉えていますか。

 恋愛相手である菊池風磨さん演じる本宮蒼太と、年齢が10歳離れているというのがすごく大きいのかなと思います。恋愛をすると急にコンプレックスが増えることがあると思います。相手という物差しができることで、いろんなものが出てくる。それが本作では面白くて、相手によって自分のコンプレックスだったり、心の柔らかさがすごく変化していきます。そこに着目して観ていただくとより面白くなると思います。

――山﨑さん演じる清原茜は、大河内麻紀とは考え方が違いますよね?

 麻紀と対照的な存在としていてほしいとのことでした。茜はキラキラした感じであまり悩まず、恋愛をして結婚してしまうといった器用に生きられるタイプなんです。若くてキラキラしている役柄だったからこそ、憎い部分が出てしまったら嫌だなと思い、純粋な存在として居続けることをすごく考えました。私自身は茜と違って考えすぎてしまう性格なので、どのように演じようか悩みましたし、セリフにもあまり意味を含ませたくないなと思い、さっぱりして楽観的で充実している姿を全面に出したかったので、常に口角を上げておこうなど意識してました。

――撮影を通してどのような発見がありましたか。

 茜が所属する会社は、マルミツポテリさんという実際にあるお皿を扱う会社です。クランクインする前にマルミツポテリさんに取材をさせていただき、お皿に対するこだわりがすごくあることがわかりました。お皿を通じて食卓と人の人生を彩り、そして温めることができるというもので、それが完成した映像からも出ているなと思いました。人の思いも映像として見えるんだという学びがありました。その温かみは見る人のところまで届かせることができるんだということがわかったので、これからも演じていくときは脚本や演出、制作陣など外側まで目を向けていくことがすごく大切なんだと思いました。

――倉科さんのお芝居はいかがでした?

 常に100のエネルギーをだし続ける、パワフルでエネルギッシュな方だと思いました。撮影はかなり過密スケジュールだったのですが、倉科さんはいつも笑顔で私たちに接してくださって、本当に頭があがらなかったです。そして、演技もすごく自然体でとても素敵な方でした。

――SNSで倉科さんとの写真もアップされていましたね。そこからも良い空気感が伝わってきました。

 私はクランクインする時、すごく緊張していたのですが、倉科さんが温かく迎えてくださいました。撮影初日から仲間という感じがあったので、そのおかげで緊張がほぐれました。会社内のシーンは割とアドリブが多かったので、関係性がしっかり作れていないと難しかったと思うのですが、倉科さんのおかげで上手くできたと思います。

――人の弱い部分が浮き彫りにされているドラマでもありますよね。

 井樫(彩)監督は特にそういった面を撮られるのが素晴らしいので、人の寂しさを色気に変えると言いますか、そういったところがすごく秀でた方だなと、いつも作品を観ていて思います。

――撮影の中で印象的だったシーンは?

 一番印象に残ってるのは、第4話の打ち上げのシーンで「糖質ゼロ」という倉科さんのセリフです。そのセリフを言った倉科さんが「なんかCMみたい」と恥ずかしくなってしまったみたいで、顔を真っ赤にしていたのがあまりにも可愛いすぎました。そんな倉科さんを見てすごく胸キュンしましたし、そのシーンは見どころです!

 あと、マルミツポテリさんの展示会のシーンがあるんですけど、そのシーンはほぼ全員がアドリブなんです。事前に概要と情報をいただいて、それをみんなで広げていくという作業でした。私はお皿のプレゼンをさせていただいたのですが、今回の現場のなかで井樫監督から一番褒めていただいたのが、プレゼンのシーンでした(笑)。

――プレゼンを上手く行う秘訣は?

 お皿の推しポイントをマルミツポテリの方にこっそりと聞きに行きました(笑)。でも、もともとプレゼンは得意かもしれない。私、人や物、事柄のいいところを探すのが得意で、人一倍多く見つけられる自信があるので、それがプレゼンに繋がっていたのかもしれないです。

自分に対してどのくらい厳しくあるべきか

村上順一

山﨑果倫

――山﨑さん、12年後はこの作品の主人公である大河内麻紀と同じ35歳になりますが、どんな女性になれていたら嬉しいですか。

 強さと柔らかさを合わせ持った女性でありたいです。私、数値だったり肩書きといった目標はないんです。社会で生きていくとなると貯金だったりステータスの目安になる数値ってあるじゃないですか。価値は変わっていくものだから、いまから数値で目標を立てること自体、私にはピンときてなくて。抽象的な答えになってしまうんですけど、自分の知識や経験したことを人のために使えるような人間でありたい、思いやりとして使うことができる大人になりたいと思ってます。

――そのようなマインドになった経緯は?

 まだまだ知らないことがたくさんあって、知らないことが原因で知らぬ間に人を傷つけてしまったり、プレッシャーをかけてしまっていたことがありました。今もそのことを思い出して胸が痛むことがあります。でも、経験していけば行くほどそういうことは防げると思うので、そういった考え方になりました。

――いま、どのようなことを考えながら役者活動をされていますか。

 自分に対してどのくらい厳しくあるべきか、というのを模索し続けています。その中でピンとくる物差しになるものがありました。いまはSNS社会になって自分にとって都合の良い情報を取りにいけてしまうじゃないですか。今が最高なんだと思うための情報、自分に対して甘い考えでいられる情報だけを拾えるわけです。こう言ってる人がいるから大丈夫。その分野のプロもこう言ってると、自分を安心させる事は簡単にできるんです。私も短期的にですがそういう期間があり、それに対してすごく危機感がありました。ふとSNSを見てる時に、自分の求めていたものとは全く真逆のことを言っている人を見た時に、自分にとって都合のよい言葉を選んでいたんだと気づいたんです。結局SNSから少し距離を置くのが一番いいんだなというところに行き着きました。

――SNSの代わりになるものとして、どんなものがありますか。

 人と話をするというのもいいですけど、映画やドラマ、小説を読むことです。それらは自分で取りに行った情報ではなく、作り手が与えた情報をもらうので、その中で自分が見つかっていくと思います。自分が甘えを取りに行くわけではないと思ったので、今は作品に触れることがSNSの代わりになっています。

――例えば2つの道があって、片方は茨の道、もう片方は何もない平坦な道だった場合、山﨑さんはどちらの道を進みますか?

 結果が同じ、行き着く先が同じだという確証があれば茨の道を選びます。楽な道を選んでしまったら、何も経験すせずに辿りついてしまうことになるかもしれません。でも、茨の道を選べば乗り越えるための色んな経験ができると思います。私はまだ未熟者として自覚している分、あえて茨の道を選ばないと自分の中に何も残らないなと思っているので、厳しい道を選ぶと思います。

(おわり)

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