V6

 3月12日、「V6 解散」のニュースが駆け巡った。25年間、誰一人欠けることなく、変わらぬ存在で居続けたV6。個々の仕事が増え、メンバーの過半数が既婚者となった今でも、6人は“アイドル”として、ステージ上で全力のパフォーマンスを見せてきた。ファンはもちろん、ファン以外からも“安心安全のV6”と称されていた彼らは、「いつか解散してしまうかも…」などという不安を抱かせる隙を与えなかった。メンバー全員が40代となった今でも、変わらない無邪気な姿--、今回の発表で、「まさか」という驚きのコメントが多かったのもそのためだろう。

 V6は、1995年にバレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして結成し、同年11月1日に、「MUSIC FOR THE PEOPLE」でCDデビューを果たした。年長組(坂本昌行・長野博・井ノ原快彦)の「20th Century」(トニセン)と、年少組(森田剛・三宅健・岡田准一)の「Coming Century」(カミセン)という2つのユニットが存在するという異色なグループだった。また、最年長の坂本は当時24歳で、最年少の岡田は14歳という大きな年齢差。なかでも岡田は、入所から約3カ月でのデビューという、ジャニーズ事務所史上最短の記録を保持している。一見、「続けるのは難しいのではないか」と思わせるようなグループ構成だったが、25年間続けて来られた理由は、彼らの優れた人格や、スターダムに駆け上がる道中で育まれた絆があってこそのことだと思う。

 今回、解散発表時に掲載されたコメントに、「僕たちの気持ちは一つです」とあった。“解散”というグループの終わりを告げるシーンで使う言葉としては、珍しいように思える。だが、その3日後に放送された『三宅健のラヂオ』(bayfm)での三宅の発言から、その言葉の意味や、彼らが解散を選択した理由が少し分かったような気がした。三宅はそのラジオで、「(解散することで)ジャニーさんが作ってくれたものを、一番キレイな形で大切な箱にしまえるのかもしれないな…」と語っていた。彼らは、きっと「6人じゃなければV6じゃない」という想いから、解散を選択し、解散することで“V6”という変わらない形を守ったのだ。そんなV6の解散日は、11月1日--、26回目のデビュー記念日だ。喜びも悲しみも、「おめでとう」も「ありがとう」も全てこの日に詰め込み、彼らはそれぞれの第二章へと歩き出す。

 25周年を迎える年に制作された楽曲「Full Circle」には、こんな歌詞がある。<そりゃ俺らだって色々あるよ/だが離れ離れにならずに ここまでの道のりを/振り返らずとも 奥底でつながる6人の男たち>。この歌詞は、グループとしては解散となっても、25年もの間、手を取り困難を乗り越えてきた彼らの絆は切れることはないのだと再確認させてくれる。彼らは、「今もなお、メンバー同士、冗談を言い合える日々が続いていることに感謝し、残された時間を大切なファンの皆さんとどう過ごしていけるのか、日々話しあっていきたい」とコメントしている。今後、V6としてのパフォーマンスが見られなくなってしまうことは悲しいが、辛い時に元気をくれた歌声や、『学校へ行こう!』(TBS系)で見せていた6人の笑顔は、私たちの胸にいつまでも残り続ける。解散までの約7カ月、「勤続26年の男たち」の勇姿を、しっかりと目に焼き付けたい。【かなぴす】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)