櫻井翔

 櫻井翔が、4月スタートのドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)で、女優の広瀬すずとダブル主演を務める。同作は、広瀬演じる天才助手・美神アンナと、櫻井演じるポンコツ探偵・風真尚希が難事件を解決していくミステリー。櫻井は、3年ぶりのドラマ主演となる。

 櫻井が事件を解決していく…というと、2011年放送のドラマ『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)が思い出される。櫻井は、大富豪の娘で、刑事として働く宝生麗子(演・北川景子)に仕える執事・影山を演じた。影山は、冷静沈着で、頭脳明晰。次々と事件の謎を解き明かしていき、「お嬢様の目は節穴ですか?」と暴言すれすれの毒舌を吐いていた。だが、『ネメシス』では、天才すぎる助手に助けられる“自称”天才探偵という真逆のキャラクターを演じる。

 しかし、このポンコツキャラというのも、櫻井の得意分野だ。2010年放送のドラマ『特上カバチ!!』(TBS系)で演じた行政書士補助者の田村勝弘は、お人好しで周囲に振り回され、やることなすことどこか空回り。「もっと要領よくいこうよ…」と声をかけたくなるようなキャラクターだったが、櫻井が演じることで愛らしさがプラスされていた。『ネメシス』でも、この憎めないポンコツぶりがポイントの一つになってくるだろう。

 そして、俳優としての転機の一つに感じるのが、2013年放送のドラマ『家族ゲーム』(フジテレビ系)への出演だ。櫻井は、過去に松田優作や、長渕剛などが演じた不気味な家庭教師・吉本荒野を演じた。真面目な印象が強い櫻井が、非常識な教育をする教師を演じる姿が、最初は全く想像がつかなかった。しかし、放送開始前のCMで衝撃を受けたことを今でも覚えている。同CMでは、“いつも通り”の爽やかなアイドルスマイルを浮かべ、「僕と一緒に夢を叶えよう!」と言った直後に、「嘘っぽくないですか?」とスタッフを睨みつける…この、櫻井翔=爽やかな優等生というイメージを覆すような姿に、ドラマへの期待感が募った。

 期待通り、『家族ゲーム』で櫻井が見せたのは、文字通りの“怪演”。型破りの教育で、受け持った生徒を立ち上がらせていく。「もし、思い詰めて死んでしまったら…」などというifがなく、親や学校もできないような指導を行い、見ているこちらもハラハラとするような演技を見せた。「この国自体が歪んでるからしょうがない。今の時代に真っ当な教育なんか通じるわけがないんだよ」「現実はお前が思っているよりよっぽど残酷なんだ。だから、強くなれ」など社会全体に向けたメッセージも多く、同作が櫻井の表現の幅を広げたことは間違いないだろう。

 21年間走り続けてきた嵐としての活動が昨年末に休止し、その後初のドラマ主演となる『ネメシス』は、櫻井にとってまた新たな転機になる作品になるかもしれない。同作は、1話完結だが、全ての事件が20年前の謎を解き明かす鍵になっている。1話たりとも見逃せないストーリーを、最後まで楽しみに見続けたい。【かなぴす】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

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