アルカラ「あなた自身の中になりたい」共有する強い想いが生み出す新たな音
INTERVIEW

アルカラ「あなた自身の中になりたい」共有する強い想いが生み出す新たな音


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年12月11日

読了時間:約14分

「僕の人生の中に同化してる感じになってもらいたい」

――歌詞の韻が小気味良く内容がポンポン頭に入ってきます。「瞬間 瞬間 瞬間」も正にそうで。この歌詞はどういった着想で生まれたのでしょう?

稲村太佑 この曲の時はPCを開いてコーヒー頼んで作業できるお店でやってみようかなと思ったんです。それでずっとPCに向かって言葉を並べていくんですけど、「めっちゃいいな」と思う時があるんです。それって「いま、神通ったな」とか思うんです。

――その感覚で決める?

稲村太佑 神様が降りてきたって思う時は、<キミが見えた>の「キミ」を神様にしているんです。言葉を並べてああだこうだやってる時って、無限に可能性があったりしながらも逆に何をやっているのかよくわからなくなってくるんです。でも、いっぱい書いては捨ててという言葉のなかに、急にピョンと出てくるんです。そんな「来たやん!」と思った時に心が動く感じをまずは歌ったんです。

 僕は音楽家なのでそういう時ですけど、みんなそれぞれの立場の方がそれぞれの場所で、何かを切り取った瞬間に心躍って人生を変えた、あるいは誰かの人生を変えるというのをやっていると思うんです。それが僕らはたまたま歌だったりと。例えばライブで言ったら「ギター、誰々!」と言った瞬間にギターソロが始まってワッと盛り上がるみたいな、そこもみんなをブーストするスイッチがあるじゃないですか? そういうことの積み重ねだなと思っていて。そういうところを僕が切り取って歌にしていけるかというのがテーマにあります。

――瞬間瞬間で言葉が引き出されて光るというのは確かに。

稲村太佑 サビで<きらめく瞬間>、<ひらめく瞬間>と歌っているのはそういうようなことで。歌詞で<ゆきずり>という言葉を使っているのは、この曲では「ゆきずり」なんですけど、「TSUKIYO NO UTAGE」では「道連れ」という言葉にしているんです。ともに音楽だったり大事な人だったり、そういうものが一緒になっていってもらいたいんです。

 この音楽が楽しくその日の賑やかしになるのもいいんですけど、僕の人生の中に気付いたら同化してるみたいな感じになってもらいたい気持ちがあって。僕は「あなたの背中を押してます」というか、「あなた自身の中」になりたいんです。音楽で背中を押すというのは、前を歩こうとしている人だからこそ押せるものであると思っていて。ライブハウスに来てくれる方ってその意思があって自分で選んで来てくださるので、僕らもそれに対して応えるというのがあるんです。

――強い意思を共有するような?

 そういう気持ちを持って1曲1曲切り取っていくというのも、そういう使命を持ってやっていくことだなって思いながら。曲の作りかたも、全部考えていくこと、再現不能なことを最初に要求することも、みんなの意思を聞き過ぎて、「自分のやりたかったことはどこに行ってしまったのか」というのがあったので。一回、自分が「こうだ」というのをやってみないと。0を1にする人が大きくその一歩を踏み込まないと。

 僕が0から1だとしたら、1から10がメンバーで、10から100が広めてくれる方々だと思っているんですけど、みんなでバランスを取り合ったって仕方がないなと。誰かがちゃんと責任を持って0から1をやるし、1から10を責任持ってやるからこそ繋がっていくなと思っていまして。その1歩目の強い言葉が<ゆきずり>だったり、そういう言葉を実は切り取ってもらえたら、感じてもらえたら、ということは凄く思うことです。

――最後に、アルカラのこれからの展望や野望はありますか?

稲村太佑 結局は目の前のことをちゃんとやっていなかったら何も始まらないなと今回学んだと思うんです。頂いたことを、ただただそれ以上お返ししていくことかなと。面白いようなことじゃないけど、一番大事なことだと思っています。アルカラは17年やっているので、ちゃんと自分達の根っこを育てて、そこから生えてくるものを、みんなに提供していけるようなものにしていくことしかないなと思います。

(おわり)

作品情報

『NEW NEW NEW』
2019年12月11日リリース
COCP-40999 3300円+税
CD+ミュージックコネクティングカード封入

<収録曲>
01. サスペンス激情 第二楽章
02. 瞬間 瞬間 瞬間
03. 猫にヴァイオリン
04. 誘惑メヌエット
05. TSUKIYO NO UTAGE
06. くたびれコッコちゃん
07. 未知数2
08. 夕焼いつか

【ミュージックコネクティングカード】
・ネコフェス2019(2019.6.23)
・新曲披露スタジオライブ(2019.7.25)
・「ア・ル・カ・ラ レコ発直前ワンマンツアー“new new new”」 渋谷CLUB QUATTRO公演(2019.10.16) 上記3公演から抜粋したライブ映像に加え、レコーディングドキュメンタリー映像収録

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