西川大貴×桑原あい、日本人らしさとは　ミュージカルで向き合い見えたもの

延長線上にあったミュージカル

――作られた楽曲の曲調はどんな感じですか？

桑原あい　たくさんあります。ニューオリンズのような曲もあれば、ベースバキバキのものもある。それこそザ・ミュージカルというのもあります。

西川大貴　実は今までお話してきたことを逆手にとって、日本的な部分もあったりするんですけどね。これはトライアウトなので、今回で完結するような感じで作ってはいなくて、最終的にはフルバンドが入ることを想定して作っています。いまはピアノだけですが、このプロジェクトが立ち上がっていく第一歩を見てほしいです。

――そのピアノはその世界の風景をも映し出すことはできますが、それゆえに難しいところはありますか？

桑原あい　すごく難しいです。私は今回ピアニストではなく音楽監督として完全にスタッフに回っています。私が弾くと頭の中のものがそのまま表現されるだけなのでつまらないですし、今回は曲も稽古しながらどんどん変わっていくので、単純に作曲作業だけで手一杯（笑）。キャストのみんなやピアニストの2人に、曲に様々な色をつけてもらっていますよ。稽古中は客観的に観ています。

――分業しているんですね。

桑原あい　そうです。お互いに信じないとできないことですがすごく大切なことです。ピアニストの2人は、グルーヴ感をどうだすかとか、物語を進めていくのは音楽でもあるので、そういうところの難しさはあると思います。

――ピアニストにも性格があるから変わりそうですね。

西川大貴　キャストはシングルですが、ピアニストはダブルなので、観に来た回によって印象は変わると思います。

――さて、「かららん」の過去作品をみると、今回のプロジェクトと繋がっているように思えます。

西川大貴　その通りでその延長線上に今回があると思っています。「かららん」と違うことをやっているという意識はなくて。実は以前から「かららん」としてクリエイトする上で、枠を狭めることはないよね、音楽というフィールドじゃなくてもいいよね、というのは話していて。その後、去年９月にダレンと具体的にこういう作品を作りたいという話をして、その翌月にシーエイティーさんから今回の話がありました。去年は怒涛だったんですよ。この機会に感謝しています。

桑原あい　今はしっくりきています。これをやるための「かららん」だったのかなと。西川さんの詞は言葉遊びが独特で彼のリズム感がある。それを音楽でどう生かすかということは「かららん」をやっている時から考えていたことなので。今回は、西川さん自身が「歌詞は柔軟に変えてもいいよ、音楽を大事にしてほしい」と言ってくれましたが、意外とそんな変えずにできました。

――MVでも繋がるところがたくさんあって、音楽シーンはMVや映画化の流れになっているものと思っていましたが、もう一つミュージカル化、舞台化もあるなと。

桑原あい　それはあると思います。

西川大貴　このプロジェクトが続くことを願っていますし、イメージアルバム用にレコーディングをして、「この曲が聴きたいから、舞台を観に行こう！」という流れも作りたいですね。今回のトライアウト公演を経たのち、本公演が始まる前に楽曲をリリースして。実際に世界ではそうですからね。

桑原あい　「あの曲がいいよね」って曲目当てでミュージカルを観に来たら、そのシーンでお芝居も全部あわさって感動するとか。

西川大貴　王子様お姫様が出てくる浮世離れしたミュージカルも僕は好きですけど、でもそういったものには興味のない違うフィールドの方も興味をもっていただける機会が作れると思うんです。そこに新たな可能性を感じています。

桑原あい、西川大貴

（おわり）

公演概要

ミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』
＜脚本・演出＞西川大貴
＜音楽＞桑原あい
＜振付＞加賀谷一肇
＜スーパーバイジング・ディレクター＞ダレン・ヤップ
＜出演＞
天羽尚吾／猪俣三四郎／上田亜希子／梅田彩佳／岡村さやか／奥村優希／
風間由次郎／加藤梨里香／塩口量平／四宮吏桜／関根麻帆／寺町有美子／
橋本彩花／深瀬友梨／溝口悟光／宮島朋宏／吉田要士　（※五十音順）
※スウィング制度により、出演者変更の可能性あり。詳細は公式HPをご覧ください。

＜会場＞
DDD青山クロスシアター

＜公演日程＞
1stプレビュー公演：2019年11月15日（金）〜18日（月）
2ndプレビュー公演：2019年11月23日（土祝）〜26日（火）
本公演：2019年11月30日（土）〜12月15日（日）

公式サイト　https://www.bokunojidai.com