デーモン閣下「悪魔のフィルターを通さない」新譜は劇団☆新感線との集大成
INTERVIEW

デーモン閣下「悪魔のフィルターを通さない」新譜は劇団☆新感線との集大成


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年10月17日

読了時間:約12分

悪魔のフィルターを通さず、人間の気持ちを歌詞に書く

デーモン閣下

――今作は劇団☆新感線の作品ありきの音源ですが、死生観という一つの共通項があります。閣下は死生観についてはどのように考えていますか。

 魔暦19(2017)年にリリースしたアルバム『EXISTENCE』を出したときも、死生観がテーマになっていて、それは人の存在価値などをテーマに作っていって、自分が中心となって作る死生観を作品化したものだった。でも、劇団☆新感線での作詞は特別死生観をテーマに書いたわけではないんだけど、戦いの芝居が多いので、生きることや死ぬことを歌ったものが結果的にたくさん出来てしまうのだね。

 『EXISTENCE』と『うた髑髏 -劇団☆新感線劇中歌集-』の違いは、詞を描く前に、必ず演出のいのうえ(ひでのり)氏と、シチュエーションや役者がどういう気持ちでその曲を歌うのか、というリクエストをもらって書くところにある。そこで世界観が出来ているから、自分がゼロから作るような歌詞にはならない。

 今回自分で作ってみて思ったのは、ゼロから作ると生まれない歌詞ではあるが、自分が心から思っていないことは詞にはなっていないわけ。自分が開けたことがない扉のボキャブラリーを使って書いているのでそこはすごく面白かった。

――思いもよらぬ言葉や感情が導きだされてきて。

 そうそう。例えば「いきる」という曲は家入レオ嬢が芝居で流されるものは歌ったんだけど、悪魔が人間に対して歌う歌ではなくて。色んな芝居上のストーリーがあったなかで、人間が人間の気持ちを歌う死生観の歌として作っているので、そういうのはあまりやったことがなかったわけ。だから、悪魔のフィルターを通さず、人間の気持ちを歌詞に書くのも、後でそれを自分で歌うのも、どちらもすごく新鮮だったね。

――さて、この作品をどのような聴き方をしてもらえたら嬉しいですか。

 吾輩のことを昔から応援してくれているファン、劇団☆新感線のファン、どちらでもない人という3種類の人がいると思うんだけど、劇団☆新感線のファンに関しては、以前から劇中歌をフルで聴きたいという声もあって、そのリクエストに応えられたかなと思う。劇団側も劇中歌をフルで作ることはあまりないので、続きが聴けるという2度おいしい感じにはなっているので楽しめると思う。

 どちらのファンでもない人は一番新鮮に聴けると思うんだけど、世の中にはドラマティックやシアトリカルという言葉があるけれども、そのどちらでもなく本当の“劇”の歌なので、どういう場面でそれらが歌われたのか想像して楽しんでほしいかな。

 吾輩のことを応援してくれているファンに関しては、ハードロックやヘヴィーメタルという音楽としてはそんなに斬新ではなく、ある種馴染みの感じだろうけれども、言葉の世界はものすごく新鮮だと思うんだよね。そこを楽しんでもらえたらと思う。

(おわり)

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