デーモン閣下「悪魔のフィルターを通さない」新譜は劇団☆新感線との集大成
INTERVIEW

デーモン閣下「悪魔のフィルターを通さない」新譜は劇団☆新感線との集大成


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年10月17日

読了時間:約12分

パワーは減っているけど、技術は上がっている

デーモン閣下

――このアルバムでは、演劇用に作ったものから録り直したり、追加したパートも曲によってはあるとのことなのですが、レコーディングはいかがでしたか。

 「修羅と極楽」は全面的に歌い直している。1コーラスは芝居のサウンドトラック用に録っていたんだけど、2番以降を新たに追加したので、そこは当然新たに歌わなければいけない。スタジオとマイクが変わってしまうと前半と後半とで声が変わってしまうので、全部録り直すことになった。『修羅天魔』のカーテンコールに使用された「名もなき火の鳥」は、芝居で流していたものと曲構成はまるで変わっていないので、歌い直す必要はなかったんだけど、ちょっと自分的に直したいところがあったので、少しだけ修正している。

――閣下は24年前と現在ではご自身の歌の変化をどのように捉えていますか。

 パワーは減っているけど、技術は上がっているかな。

――パワーが減っているとは感じないです。

 パワーは24年前と比べたらものすごく減っているのだ実は。それを技術でカヴァーしているのかもね。昔の聖飢魔IIの黒ミサの映像をみると、「なんでこんなに力んで歌っているの?」と思う映像ばっかりで(笑)。

――昔の映像もたまにチェックされるんですか。

 わざわざ観ているわけではないんだけど、YouTubeで他の動画を検索していると、たまに勝手に連続で「おすすめ」されちゃって、つい懐かしくて見ちゃう。

――黒ミサと言えば、天地逆転唱法という三点倒立をして歌ったりもしていましたけど、天地逆転唱法はまた見られますか。

 最後にやったのは4年前の期間限定再集結時の聖飢魔IIの黒ミサで、もうそこからやってないから今できるかはわからない(笑)。あれは相当大変で、練習することで怪我をしたらどうしようと思うくらい。天地逆転唱法は基本的に聖飢魔IIの「DEAD SYMPHONY」という曲でしかやらないから、ソロでは難しいかな。仮に聖飢魔IIが再集結して黒ミサをやったとしても「DEAD SYMPHONY」を歌う保証もないからね(笑)。

 そういえば、魔暦12(2010)年にダラスで黒ミサをやった時に天地逆転唱法をした瞬間に貧血になったことがあった…。「やばい貧血だ」と思ったら頭が下にあるから、また血が頭に戻ってきて大丈夫だったという経験もあった(笑)。その時にそろそろ天地逆転唱法も難しくなってきたな思って、魔暦17(2015)年の再集結の時に、いつできなくなるかわからないから、できる時にやっておこうと思って、武道館に合わせてトレーニングをしたわけだ。これがまたなかなか安定感が得られなくてね。音楽のリハーサルの合間に三点倒立のみのトレーニングをも毎回繰り返していた。

――ライヴで見られたらすごく貴重ですね! さて、話は戻るのですが今作で録り直してみて、印象が変わった曲はありますか。

 例えば「The Rock Age -闇に集いし妖しき衆生-」という曲は、『星の忍者~Stranger in a Strange Star』という作品で自分用に書いた作品だが、言葉を少し直したり、2番を新しく作ったりしてるんだけれど、かなりカッコよくなったという印象である。24年前に作った時は劇中歌だし、芝居の中盤を盛り上げるための曲だったんだけど、自分の中では普通のロックの曲だという認識だった。今回改めてアレンジを岡崎(司)氏がしてくれて、更にミックスダウンの時に今までやったことのない味付けをした。それによって、こんな風になるんだと、ちょっと感動してしまった。

――その味付けとはどんなものなのでしょうか。

 う〜ん、それは企業秘密かな(笑)。バンドや音楽をやっている人だったら「うん?」と思うかもしれないけど、普通の人はどうしてこういう感じで聴こえるのかまではわからないんじゃないかな。もう少しヒントを言うとキーボーディストは気がつくかもしれないね。この曲でなぜキーボードの雰囲気がこういう風なんだろう、と感じてもらえたらこの企業秘密はわかるかもしれない。

――そこを踏まえて聴くと楽しみが増えますね。そういえば閣下が曲を作る時はどんな楽器を使うのでしょうか。

 使うとしたらキーボードだね。

――ピアノの音色でですか。

 いや、音色は色々。簡単なリズムパターンとギターのリフみたいなものと、メロディしか作らないので、音は何でも良いかな。それ以上は“餅は餅屋”で専門家に任せた方が絶対にカッコよくなるから。

――その中で今回作曲をしている岡崎さんという方は、どのような繋がりがあるのでしょうか。

 岡崎氏は元々はおかげ様ブラザーズという、ファンキーな面白いバンドのギタリスト。おかげ様ブラザーズは関西で活動していて、劇団☆新感線も関西だから接点があって、その岡崎氏が劇団☆新感線のオリジナル曲をある時期からずっと書いていて。吾輩と深く繋がったのは劇団☆新感線からなんだけど、実は魔暦前13(86)年7月26日の京都のスポーツバレーというところで、聖飢魔IIとおかげ様ブラザーズは対バンしていて、その時に初めて会っているんだよね。

――細かい日付まで覚えているんですね。

 その翌日の27日に岡山でおこなわれた『蒜山サマーフェスティバル』で吾輩は足の改造手術をすることになった、一生忘れない日になっている(笑)。

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