曲の真意が伝わってほしい
――先ほどのお話にもありましたが“再定義”っていいですね。
僕の考え方の一つとして、マイナスのものの見方を変えることでプラスにするというのが好きなんです。見る角度を変えると良くもなるし、逆に悪くもなるし。それを定義し直すだけで人が救われるかもしれないと思うと、それって面白いし今までの見方を提案されるとけっこうドキッとくるというか。「そういう考え方もあるか」と。そういう歌詞の書き方は好きです。
――見方を変えるだけで肯定に変わるということはありますね。それは全曲を通してのテーマだったりしますか?
そうです。Lucky Kilimanjaroとしての活動のテーマです。いま悪い状況があるかもしれないけど、良い状況に視点を変えるというのは、Lucky Kilimanjaroをやっている上での意義というか、そういうのがお客さんに伝われば良いと思います。
――「Do Do Do」はメッセージ性のある歌詞で、まさにいま仰った内容ですね。
「Do Do Do」はほかの楽曲よりも言葉が強いんですけど、言っていることは同じで。好きなものは選んでほしいし、それを信じてほしいという曲です。
――言葉も音も、シンプルで伝わりやすいという点が一貫しているように思えます。
難しい言葉をあまり使わないようにしています。暗喩の暗喩みたいになっちゃうと難しくて。そういう解釈はうちのバンドではしないようにしていて。あくまで文面で何を言いたいのかわかるというのは意識しています。曲の真意が伝わってほしいと思っているので。分かりやすくなり過ぎると抽象的になり過ぎるので、例えばSpotifyという単語を使ったりとか、イメージしやすい言葉にすることで絵にするというか、その人の生活に馴染ませるということはよくやります。あまり入れすぎると固有名詞のオンパレードみたいになって何が伝えたいのかわからなくなってしまうので。
――情報量が音としても言葉としても多過ぎない点からも、リラックスして聴けますね。
どうしても情報量が多過ぎる社会だと思いますし…曲を聴いた時にテーマがちゃんと掴めるようにしています。歌詞を読んで解析しないと分からないというようにはしていないんです。そういう意味ではシンプルに一つのことを伝えようとはしているのかもしれません。
――情報量が多過ぎると「結局何が言いたいの?」という風になってしまいがちというか。
流れちゃうと思うんです。一つの曲をずっと聴いていることってだんだん少なくなってきていて、どんどん新しいものが入ってきていて。それが良いか悪いかはまた別だと思うんですけど、そういう社会の中で僕らのメッセージをどう伝えていくかというのは、そういうやり方が一番良いのかなと思っています。
――11月23日には初ワンマンライブが開催されますね。
今まではライブハウスでは3~40分のセットでやってきたんですけど、今回は倍以上のセットになっていて、今まで伝えきれなかった魅力の深い部分が伝えきれるかなと思っていて、僕らも楽しみにしているライブです。
――今後の目標などはありますか?
例えば2万人規模の会場を埋められるようになったとして、その2万人の人達がLucky Kilimanjaroの「良くしていこうね」という哲学的な部分が入ってきて更に広がったら、もっと社会が良くなっていくなと思っていて。そういうのを実感できるようになりたいと思っています。「Lucky Kilimanjaroのおかげでちょっと空気良くなったよね」みたいな。今が悪いかは別として、より想像力が溢れる世界にしたいなと思っています。それを実感したいなと思います。
――いまのところ実感するときはありますか?
「風になる」という曲をラジオでかけて頂いた時に、リスナーから「迷ってたけど転職がうまくいきました」というメッセージを頂いたんです。改めて音楽によって良くしていけるパワーが絶対あるなと実感しました。
――バンドのメッセージを伝えたその先のビジョンも明確にあるのですね。
やっていて本当にちゃんと僕らのメッセージを広めていけるのかという不安もありますけど、これが楽しくてやっているから、さっきのようなメッセージを頂けると本当に嬉しいです。「これが生きがいなんだな」と思ったので、今後もたくさんの人に僕らの音楽を伝えられるよう、頑張って行きたいと思います。
(おわり)
作品情報
『FRESH』
2019年10月2日リリース
<収録曲>
01. FRESH
02. 風になる
03. 初恋
04. HOUSE
05. Do Do Do