6人組バンドのLucky Kilimanjaroが7月1日に「エモめの夏」、8日に「太陽」とシングル2作品をリリース。Lucky Kilimanjaro は3月にメジャー初フルアルバム「!magination」をリリースし、7月発表の2作品は6thシングル、7thシングルの連続リリースとなる。また、熊木幸丸(Vo)はHey! Say! JUMP「ときめきは嘘じゃない」、DISH//「SAUNA SONG」やCMソング等の楽曲提供もおこなうなど、精力的な音楽活動をみせている。「世界中の毎日をおどらせる」というコンセプトを掲げ、「自身の音楽を通して『少し社会が良い空気になったよね』という感覚をつくることができれば――そういう世界を描きたい」という想いを持っているというLucky Kilimanjaro。7月リリースの2作品についての話題を中心に、今後の展望や現状に対しての想い、スタンスなどについて熊木幸丸(Vo)にインタビュー。【取材=平吉賢治】
“夏の曲”と感じられる新作シングル2作品
――「エモめの夏」「太陽」と、2週連続のシングルリリースですが、2作品とも「夏」を連想させるタイトルですね。共通のテーマがあったりするのでしょうか。
夏に作品を出そうね〜という話をしていたので、シンプルに夏に合う曲を作りたいなぁということでできあがった楽曲になりますね。楽曲のモチーフはそれぞれ異なるものですが、夏の曲だ!と感じられる2作になっていると思います。
――「エモめの夏」についてですが、タイトルの“エモめ”という部分に含みを感じます。“エモい”ではなく“エモめ”とした意図はあるのでしょうか?
「エモい」という表現だと断定できてしまうのがなんだかこの曲っぽくないなと思いました。もっと不器用な感じを求めて「エモめ」と煮え切らない言葉を選びました。
――サウンドは清涼感あふれるエレクトロアプローチで、音数が洗練されシンプルかつクールで、豊かでリッチな音像という印象があります。メンバーと、どのように構築していった楽曲でしょうか。
「エモめの夏」、「太陽」の2作品とも今回はフルリモートということもあってメンバーから意見もらいつつ、僕の家で作り上げました。「エモめの夏」のサウンドはあまりたくさんのアイデアで埋めず、シンプルなワンアイデアをずっと気持ちよく聞けるよう詰めていきました。
――「太陽」についてですが、歌詞にどのような想いを込めましたか。
忙しない毎日の中で心に雨が降ることがあるけど、あなたの太陽を大事に踊ってね、ということを歌っています。なので、こういう状況の中でも響くような楽曲になったんじゃないかと思います。
――「太陽」の<ほいやっさ!>というフレーズや複数のコーラスがとても印象的です。このアプローチの着想は?
お祭りの中、みんなで掛け声を出すイメージで作りました。開放的で力強いサウンドになったと思います。
――レコーディングでは、これまでと違った手法をとるなど新たなアプローチはありますか?
太陽の「ほいやっさ!」というフレーズはたくさんの掛け声パターンを試しました。一番耳に残ったのが「ほいやっさ!」でした。こういったフレーズを使うのは始めてて新鮮かつ楽しかったです。
ミュージシャンとして粛々といい曲を
――熊木さんはHey! Say! JUMPやDISH//など、精力的に楽曲提供をされていますね。制作において、自分のバンドと提供曲とのスタンスの違いはありますか。
サウンドという点で言えば僕はある程度まで完成させて持っていくので、そこまで変わらないかなと思いました。歌詞はやっぱり歌うアーティストの文脈が反映されていたほうがいいと思っているので、そこをヒアリングしたり予想する作業はバンドにはないなと思いました。
――楽曲提供の対象者とはどのようなやりとりがあったのでしょう?
「SAUNA SONG」では北村匠海くんと対面でどういうことを考えているのか等を伺いました。サウナが好きということに始まり、サウナで心を整えてみてほしい、みたいな話に発展して楽曲イメージを膨らませていったのは楽しい作業でした。
――ちなみに、DISH//にはなぜサウナの曲を書いたのでしょうか。
北村匠海くんが、サウナが好きとのことで、いいモチーフだなと思いそのまま使いました。
――提供した楽曲の完成形を聴いた感触はイメージと違ったりする? また、楽曲提供ならではの印象はいかがでしたか。
僕の歌い回しはちょっと独特のリズムがあるので、それを他のアーティストさんが歌ったときにどうなるかなーと楽しみ半分心配半分でしたが、それぞれの個性でうまくまとめていただきとても面白かったです。
――ご自身から「このアーティストに楽曲提供をしたい」と思う対象はいる?
このまえTOKYO FMの稲垣吾郎さんがパーソナリティの番組に出演させていただいたのですが、新しい地図のみなさんに書いてみたいなと思います。
――目まぐるしく変化している時代と感じるのですが、今、一貫して大切にしているスタンスは何でしょうか。
自分のつくるもの、やることを面白く感じれていればいいかなと思います。
――前回のインタビューで熊木さんは「2019年そのものが感慨深い年」と、おっしゃっていましたが、今月に入り半分を過ぎた2020年はどんな年でしょうか。
バンドとしては今年ライブツアーが延期・中止になったりしているなか、新しい曲はガンガンリリースするなどちょっと不思議な感じです。手放しに「良い年でした」とは言えない感じですが、その中で聴いてくれる方は増えているので、「誰かにとって大切なバンドになれた1年」であれるよう挑戦を続けます。
――自粛期間中に改めて考えたことや、新たな発見はあった?
ミュージシャンとして粛々といい曲を書き、出し続けなくてはと気合が入りました。
――8月22日渋谷CLUB QUATTROでおこなう配信限定ライブ「DANCE IN DA HOUSE」は、どのような公演を予定していますか。
初めての配信ライブということでどうなるか予想ついていないですが、画面の前のみなさんが踊れる、ということだけを目指して演出を組んでいます。お楽しみにという感じです。
――配信ライブという新たなアプローチを控え、今までにはなかった公演スタイルが展開されますが、今後、Lucky Kilimanjaroが構想している試みなどはありますか。
配信ライブだと、普段お子さんがいて足を運べない方、仕事の時間でこれない方も見れたりしていいなと思いました。オンラインで色々楽しいことを届けられる環境が整ってきているので、積極的に活用したいと思っています。
(おわり)