ポップしなないで「自分が持っているものを曲げない」音楽におけるプロ意識
INTERVIEW

ポップしなないで「自分が持っているものを曲げない」音楽におけるプロ意識


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年08月07日

読了時間:約14分

凡人であると思える事

ポップしなないで

――続いては「ラムネ日記」ですが、夏を感じさせてくれる一曲ですね。

かわむら 僕は美少女ゲームが大好きで、150本ぐらいはクリアプレイしているんですけど、美少女ゲームで切っても切れないものがあるんです。それは夏を題材にしたものが多くて、美少女と夏というのはすごく親和性が高いんです。単純に僕がそれにチャレンジしたかったという曲なんです。

――かめがいさんはこの曲の歌詞でお気に入りのフレーズはありますか。

かめがい <「永遠だって探せばコンビニにあるよ」>のところが好きなんです。“永遠なんてないよ”とよく言われる言葉だと思いますし、ずっと友達だよと永遠を約束する時もある、永遠てあるのかないのかよくわからない不思議な言葉だなと思うんです。それがこの歌詞だと日常に存在するコンビニにあるというのがロマンがあって良いなとお気に入りの部分です。

 あと、もう一つは<埋め立てられる思い出の街>のところなんですけど、実はこれ最初もう少し歌詞が続いてたんです。構成を考えていた中で削られてしまって。最後に<思い出の街に帰る>と「帰る」という言葉が入っていて、私は歌う時に「どこに帰るんだろう?」というのを考えながら歌っていました。帰る場所がなくなってしまったというのが印象的でした。

かわむら 一応、しっかり歌詞は収まってはいたんですけど、最後の音を伸ばしたかったので「帰る」は切ってしまったんです。

――でも、入ってはいないですけど、この言葉は生きているんですね。さて、4曲目の「ノストラ」はノストラダムスのことですか?

かわむら そうです。タイトルはノストラダムスから来ています。

――その中で<夢を語ったビルが覗き込み>という表現がすごく気になったのですが。

かわむら これは僕らがずっとバンドをやっていて、馴染みのあるライブハウスがあるんですけど、そのライブハウスが5階にありまして。そこからの帰り道をイメージして書いた曲なんです。ずっとそこにあるビルというのと、自分の夢というところで自分の立ち位置を確かめるような曲なんです。

――ノストラダムスはどのように関わってくるんですか。

かわむら 何でもかんでも終わりを見ながら考えていくと思うんですけど、「予言されていなくても終わりはあるよ」というところを意識したところで、パッと思いついたのがノストラダムスの存在でした。

――面白いですね。かめがいさんはノストラダムスの予言は信じていました?

かめがい 予言は信じてはいませんでした。世界が滅びて欲しいわけではないんですけど、どこかこの予言というものに「いいなあ」と感じていた部分はあったかも知れないです。私はあまり目に見えないものは信じられないタイプなんですけど、ロマンがあるなって。

――迷信とか確かにロマンがありますよね。この曲を歌ってみて感じたことはありましたか。

かめがい この曲はキーが高いんですよ。いつもは大体このくらいと一番上の音を決めてやっていたんですけど、現時点では一番高い音が出て来る曲なんです。そこをどう歌うかというのがあって、チャレンジでもありました。

――さて、最後に収録されている「バンジー!」はどういう経緯で作られた曲なんですか。

かわむら これは僕らのスタッフさんが、ある目標を達成出来なかったらバンジージャンプをするというところから出来た曲で、そのスタッフさんが渋ってたので、じゃあバンジーという曲を作るよと。

――<三歩進んで空に飛び降りろ!>の歌詞とか雰囲気が出ていてすごく良いですよね。

かわむら ありがとうございます。この曲は気楽に作ったので、すごく前向きな曲になったと思います。

――この曲が最後というのは爽快ですよね。さて、どんどん進化して行くポップしなないでですが、作品やライブを観ているとすごくプロフェッショナルな仕事をしているなと感じるんです。お2人が考えるプロフェショナルとはどんなものですか。

かめがい 私は凡人であると思える事だと思っています。それはイケてると思い過ぎたら、もう終わりかなと思っていて。自分がこういう人だなと思ったら何も出来なくなってしまう、凡人だったら失うものは何もないので、どんどんチャレンジ出来るなと思っています。

かわむら 自分たちが理想のプロフェショナルかどうかはわからないんですけど、音楽においてやりたい事というのを曲げずにいられる強さを持っている事だと思います。全部変えてやってしまったら、我々である意味はなくなってしまう…。とはいえ、やりたい事をやって見向きもされないというのは望むところでもなくて、自分が持っているものを曲げずに色んなところに行けるのがプロフェショナルだと思っています。

(おわり)

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事