かめがいあやこ(Key/Vo)、かわむら(ds)による“超セカイ系”ポップ・バンドのポップしなないで(ポしな)が、東京・神田明神ホールで東名阪ツアー『神頼みツアー』のファイナル公演を行った。昨年11月にリリースしたフルアルバム『上々』を携えて行われたツアーで、愛知、大阪、東京の3都市を回るというもの。ライブはバンドセットやVJを加えた視覚的演出で緩急のある流れを見せた。アルバム曲を中心に展開しながら新曲「支離滅裂に愛し愛されようじゃないか」も披露し、アンコール含め全17曲を届けた。次なるフェーズへの突入も感じさせたライブの模様以下にレポートする。

今日という日を迎えられて良かった

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 神聖なる神田明神の敷地内にあるホールでのステージ。スクリーンにはゆらゆらと揺らめく焚き火の映像が流れ、ASMR(※人間が聴覚や視覚から感じる反応で、脳がゾクゾクするような心地良い感覚のこと)を感じさせる癒しの空間。さりげなくこのライブで感じて欲しいメッセージが開演前から提示されているようだった。ここまで愛知、大阪と2本のライブを行ってきた2人が、どんなステージを展開するのか。

 開演時刻になり、観客からの大きな拍手に迎えられるかめがいあやこ。この日、新調したキーボードで丁寧に美しい旋律を奏でると、まさかのここで地震が。安全を考慮し一旦中断し、安全が確認できたところで再開する運びとなった。こういったアクシデントも起きるのがライブだということを痛感させられる。

 改めてオープニングを仕切り直し瑞々しいピアノの音色に導かれるように青い光がステージを包み込む中、かわむらがステージに登場した。かめがいのピアノから一転してカタストロフィを感じさせるSEから、「ヤンキーラブ」で『神頼みツアー』ツアーファイナルはスタート。躍動感のあるビートに乗って、エネルギッシュな歌声を響かせる。続いての「フルーツサンドとポテサラ」の持つ春を感じさせるポップで軽快なビートで心躍るハッピーな空間に。序盤から2人の魅力が存分に詰まった幕開けだった。

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 かわむらは「今日という日を迎えられて良かった」と、しみじみ。「このコロナ禍でも暮らしは続いていたということで」と、昨年12月に開催された『リリースパーティー「上々々」』で初披露した「でも暮らし」を披露。2人のみで作り出す世界観。これ以上ないほど爽快な空間を作り出し、かめがいの力強く伸びていく歌声に背中を押されるような感覚もあった。

 言葉とメロディの高度なハマり具合で、思わず口ずさみたくなってしまう「オシマイノリティ」は、曲が進むにつれてダイナミクスの揺れ幅は大きくなっていく。高揚感を高めてくれる演奏、ライブの醍醐味が詰まった瞬間だった。そして、トワイライトを感じさせる照明のなか届けられた「SG」。ミディアムバラードはかめがいのエモーショナルな歌声が響き渡る。ノスタルジックな気持ちにさせてくれた。

 そして、ここからライブはバンドセットのセクションへ。山内かなえ(Gt)とカワノアキ(Ba)の2人をステージに呼び込み、4人編成で「前頭葉」を披露。ギターとベースが加わり、楽曲は厚みを増し、よりカラフルに楽曲の新たな一面を見せてくれる。それは続いての「UFO surf」でも顕著に表れていた。バンドサウンドでチルアウトした心地よい空間を演出していた。

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 かめがいのエレピとかわむらのビートが楽曲の温度感までも見事にコントロールしていた「Life is walking」は、“間”というものの大切さを感じさせてくれた。そして、ワクワク感を伝わってくるようなピアノフレーズが印象的な「魔法使いのマキちゃん」とメリハリのあるステージを展開。

 かめがいが「お前らを救いに来たぜ!」と観客に投げかけ始まった「救われ升」と畳みかけた。ボルテージは既にマックス。演奏する2人の姿も印象的でこのステージを全力で楽しんでいるのが伝わってきた。その2人のパフォーマンスと客席からの手拍子も加わりライブならではの一体感を生み出していた。

 そして、VJによる映像とのコラボレーションも印象的だった。スクリーンに仏像など日本を象徴するものが投影される中「言うとおり、神さま」、その後は「Creation」と立て続けに披露。楽曲の歌詞から連想されるものを視覚でも楽しませてくれた。聴くだけではない視覚からの情報も入ることで、より立体的に音楽を楽しませてくれる。

今年はめちゃくちゃやります

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 2021年のテーマは「コミュニケーション」だと語るかわむら。その気持ちが込められた新曲「支離滅裂に愛し愛されようじゃないか」を届けた。シンセブラス、ソリッドなギターカッティング、うねりのあるベース、安定感のある4つ打ちのキックドラム、ラテンの要素も感じさせるアレンジに心も身体も踊る空間を作り上げていく。色とりどりのライティングもこの楽曲を表現しているようだった。

 MCでは、夏を感じさせる楽曲が多い“ポしな”についてかわむらが言及。意図したものではなく、自然と感情の揺れ動きがある瞬間が多いのは(季節としては)夏なんじゃないか、というかわむらの心情から自然と湧き出たものだったという。そんな夏真っ只中をタイトルからも存分に感じさせた「夢見る熱帯夜」は、その感情の揺れ動きをエネルギッシュに表現。間奏ではビートに乗って楽しく踊るかめがいの姿も印象的だった。

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 本編ラストは思い出、記憶を呼び起こすような1曲「2人のサマー」を届けた。クランチサウンドのギターから始まるアレンジでスクリーンには日常を感じさせる風景がスライドショーのように展開。演奏が続く中1人ずつステージを後にし、スクリーンに投影された朝焼けの海をバックにかめがいのピアノがエピローグのように優しく響くなか、本編を終了した。

 観客のアンコールを求める手拍子に応え再びステージに登場した2人。アンコールでカワムラが「今年はめちゃくちゃやりますんでチェックして下さい」と頼もしい言葉。そして、その気持ちを反映したかのような「エレ樫」を披露し、かめがいが「皆さんに会えてとても楽しかったです」と告げ、ラストは「丑三つキャットウォーク」を投下。ライヴを締め括るのに相応しい力強いナンバーでツアーファイナルの幕は閉じた。

(撮影=Kazuma Kobayashi)

 2人での演奏、バンドセット、そしてVJを使った視覚的な演出などこれまでのポしなをさらにブラッシュアップしたステージを見せてくれた。音楽活動への気概に満ちたライブは、ここからどんな姿を我々に見せてくれるのか。9月20日に渋谷WWWXでの開催が決定したワンマンライブ『作戦会議』を楽しみに待ちたい。【取材=村上順一】

セットリスト

3月20日@神田明神ホール

01.ヤンキーラブ
02.フルーツサンドとポテサラ
03.でも暮らし
04.オシマイノリティ
05.SG
06.前頭葉
07.UFO surf
08.Life is walking
09.魔法使いのマキちゃん
10.救われ升
11.言うとおり、神さま
12.Creation
13.支離滅裂に愛し愛されようじゃないか
14.夢見る熱帯夜
15.2人のサマー

ENCORE

16.エレ樫
17.丑三キャットウォーク

ポップしなないでpresents「作戦会議」
9/20(月祝)WWW X
OPEN16:45/START17:30
料金:スタンディング前売 3,800円(税込ドリンク別)
一般発売:8/7(土)
INFO:03-5712-5227(エイティーフィールド)

<オフィシャル先行>
受付URL:https://l-tike.com/st1/popsnnide20210920-hp
受付期間:5/3(月)15:00〜5/16(日)23:59
■枚数制限:お一人様2枚まで(同行者の情報登録必要)
※電子チケットのみ

※政府のガイドラインに基づき、お客様同士の距離を確保した上で安心してご来場いただけますよう開催準備を進めて参ります。ご来場の皆様のご理解、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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