超セカイ系おしゃべりJ-popユニットのポップしなないでが13日、東京・下北沢BASEMENTBARで1stフルアルバム『上々』発売記念としてリリースパーティー「上々々」を行った。彼らにとって約一年ぶりの有観客ワンマンとなった本公演は、新型コロナウイルス感染防止のため来場者数の制限やソーシャルディスタンスが保たれた状態で実施された。また会場には本格的な撮影スタッフが入り、有料の配信も行われた。着々と進化をし続け、「超セカイ系おしゃべりJ-pop」を掲げるポップしなないでの最新ワンマンライブの模様をレポートする。

 盛大な拍手の中、二人が登場。拍手が収まると空気が変わり、一筋に光るブルーライトが差し込む。無音の会場でかめがいあやこ(vo/key)が静かにピアノを鳴らし、柔らかく切ない声で「フルーツサンドとポテサラ」からスタート。彼らのポップネスを堪能できる一曲目が終わると、その空気を切り裂くようにかめがいの「お前らを救いに来たぜ!」の声を合図に「救われ升」が始まる。すっかり温まった会場で続くのは高速ラップが人気の「砂漠の惑星」。会場のボルテージも更に上がり、観客が体を揺らした。

ポップしなないで(撮影=Kazma Kobayashi)

 「今日は久しぶりのライブだから、最後まで楽しく過ごしましょう!」という一言から「Life is walking」が始まる。ドラムとピアノのシンプルさが、生のライブによってより生き生きと演出された。「オシマイノリティ」、「おやすみシューゲイザー」と彼ららしさが存分に楽しめる楽曲が続くと、「Bedroom sound system」を披露。今回はライブバージョンで音源とは違った雰囲気を感じられた。

 久しぶりのワンマンということもあり、序盤から出し惜しみない楽曲が駆け巡った。MC中は配信向けにカメラ越しの観客に手を振る場面も。2人はコロナ禍にも関わらず会場へ足を運んでくれたファンや、配信で画面の向こうから応援をしてくれているファンへ感謝の気持ちを語り、今回の現地チケットの倍率が60倍だったなどという冗談を交えつつ、新曲「でも暮らし」を披露。思わず口ずさみたくなる「しないで、多数決!」というフレーズがリフレインする楽曲で、今後のライブでの定番曲になるだろう。

 続いて、弾き語りや配信では披露したことがあるが、ライブでは初披露となる「SG」。赤い夕焼けのようなライトに照らされながらミドルテンポのキラーチューンを演奏し、切なく優しい歌声に心打たれた。曲が終わるとかめがいが「年末というだけで忙しいと感じることは悲しいことです…。みなさんは貧しい心の持ち主です。」と一言。会場は思わず失笑。「そんな皆さんを癒すべく用意した曲があるんだよ!」と話を無理矢理まとめ、「前頭葉」が始まり、「暗いね、ナハトムジーク」と曲が続く。

 かわむらが、「アルバムを通して言いたいことが言えたと思います。」と感謝の気持ちを述べ、「2人のサマー」、「言うとおり、神さま」と続き、アニメーションのMVが話題となった「Creation」。キラキラとミラーボールが回り、かめがいが切実な言葉を放ち、観客の心を打つ。かわむらのバスドラムに合わせて観客は体を上下に動かした。

ポップしなないで(撮影=Kazma Kobayashi)

 その後、かめがいが「実は『上々』でアレンジをしてくれたミツビシくんが来てくれました!」とアレンジャーのミツビシテツロウを紹介。今回のワンマンライブのために、彼らが新しい試みとして用意したマニュピレーターを入れた演出により、新たなポップしなないでを存分に引き出す楽曲が披露された。独特なアンビエント感に陶酔できる「UFO surf」。上々のリード曲にもなっている「夢見る熱帯夜」は、かめがいがリズムに合わせて踊る場面も印象的だ。そして会場のボルテージが最高潮となり、会場のミラーボールがキラキラと回る中、軽快でポップな「ミラーボールはいらない」が始まる。まさにワンマンライブでしか楽しめない、内容盛り沢山のセットリストとなった。

 楽曲が終わると、「まじめなこと言いますよ?」とかめがいが語り出す。「しばらくライブができない中で、みんながライブハウスを居場所として守ろうとしてきたじゃないですか。わたしはなんとなく、自分がライブハウスを居場所と言うのはおこがましいかなーと思っていたのですが、こうやってみんなに会えたら、ここが確かに居場所でもいいのかなって思った!」と話すと会場は盛大な拍手を送った。

 かわむらは「少なくとも我々はただ音楽が出来ればいいというわけではなく、自分たちの音楽をみなさまと共有したいとか聴いてもらいたい、わかってもらいたい、っていう気持ちがある。こういう機会があって、皆さんが来てくれて、配信で観てくれることは凄まじいことだと思う。」と改めてファンへの感謝を語った。

 「私たちの大好きな曲でもあり、みんなの大好きな曲でもある、大事な曲を最後に聴いてください。」とかめがいが言い放ち、「魔法使いのマキちゃん」を披露し退場した。

 拍手がなりやまず、アンコールを受け2人がそろったところで、『上々』発売を記念して来年2021年に東名阪のリリースツアー『神頼みツアー』を行う事を発表。さらに当日22時より抽選先行を開始するというアナウンスをした。

 アンコール曲は「エレ樫」、ライブでは定番曲となっている「丑三キャットウォーク」を披露し、約2時間に及ぶリリースパーティーを締めくくった。

 今回アルバムのリリースパーティにも関わらず新曲を披露したり、新しい試みとしてマニュピレーターを入れることで更なる進化を見せたポップしなないで。今後もさらに活躍を続け、彼らの「ポップ」を日本全国に広めていくことだろう。

 なお、本公演は12月14日(月)0:00〜12月21日(月)23:59までアーカイブでの視聴が可能となっている。

セットリスト

2020年12月13日 東京・下北沢 BASEMENTBAR

1.フルーツサンドとポテサラ
2.救われ升
3.砂漠の惑星
4.Life is walking
5.オシマイノリティ
6.おやすみシューゲイザー
7.Bedroom sound system
8.でも暮らし(新曲)
9.SG
10.前頭葉
11.暗いね、ナハトムジーク
12.2人のサマー
13.言うとおり、神さま
14.Creation
15.UFO surf
16.夢見る熱帯夜
17.ミラーボールはいらない
18.魔法使いのマキちゃん

ENCORE

EN1.エレ樫
EN2.丑三キャットウォーク

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)