細田善彦「最初から強かったわけではない」表現したかった剣豪武蔵のリアル
INTERVIEW

細田善彦「最初から強かったわけではない」表現したかった剣豪武蔵のリアル


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年06月04日

読了時間:約11分

剣豪武蔵からアイドルオタクへ

細田善彦

細田善彦

――ところで、最近の音楽は? 前回はColdplayを聴いていると話しておられましたが。

 実は、NHKのよるドラ『だから私は推しました』に出演することが決まりました。地下アイドルを追いかけて全てを失った女性オタクの姿を描いた内容で、僕はオタクリーダーの小豆沢大夢という、アイドルを追っかける役です。なので、役作りのためにアイドルソングばかりを聴いていますし、もちろんライブにも行っています。

――本格的ですね。ライブには関係者として入っていますか?

 いやいや、一般として入場してますよー。

――一般人に混ざってライブを楽しんでいるんですね! ではあえて聞きます。アイドルの魅力とは?

 青春じゃないですか? アイドル活動をされている彼女たちが一生懸命にやっている。その姿は青春そのものだと思います。見ている僕らもその青春に乗っているような感覚にもなれますし。だから応援したくなる。青春を味わえる場所だと思います。

 アイドルオタクには、コミュニケーション能力が低い方がいらっしゃるというイメージをお持ちの方もなかにはいると思いますけど、通い詰めているファンや、そのアイドルが「有名になって欲しい」、「成長してほしい」と思って応援しているファンは礼儀正しい人が多いですよ。

 この前行った転校少女さんのライブがたまたま生誕祭だったんです。入り口で「何曲目の時に光らせて振ってください」とサイリウムを配っているわけですよ。そういうふうにやっている人たちが、コミュニケーション能力が低いわけがないじゃないですか。だから、ドラマを通して楽しさだったり、素敵な部分を伝えられたらと思っています。

――さて、『武蔵 ーむさしー』の話に戻りますが、小次郎は細川家の剣術指南役に起用されますが、けむたがられてしまう。そうしたことも含めて、現代に通じるところがあります。武蔵の人柄にしても、上司の関係性にしても。

 システムはまるで今と変わらない。新参者が急に現れて、それによって縮図がずれながらそれを押さえようとする上の人がいるという形だから見やすいと思います。

 監督と僕の思い、そして武蔵の思いが三位一体で作品に表れていると思います。監督は「この映画で平成の時代劇のトップを狙いたい」と考えていて、武蔵は「京都で一花咲かせたい」、僕も20代最後に撮った作品で「細田善彦の存在を見せつけたい」と思って撮りました。ぜひ見てほしいです。

(おわり)

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細田善彦
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