4人組ロックバンドの感覚ピエロが5月10日、東京・渋谷CLUB QUATTROで全国ツアー『感覚ピエロ 5-6th anniversary「LIVE - RATION 2019」~奮い立たせてなんぼでしょ~』東京公演をおこなった。同ツアーは、今年結成5周年イヤーの彼らの8日の大阪・梅田CLUB QUATTRO公演から7月20日の大阪・心斎橋BIGCAT公演まで全国25カ所の対バンツアー。8日の公演と17日の愛知・名古屋CLUB QUATTRO公演、そしてこの日の3公演がワンマン公演となっている。この日は怒濤のテンションでステージを披露し、満員のオーディエンスを大いに湧かせた。会場をひとつの塊にして至高の一体感を生み、鋭いライブステージとオーディエンスのパワフルな熱量は激しくも温かいバイブスを発生させた。以下にライブの模様をレポートする。【取材=平吉賢治】

強烈なコール&レスポンスと一体感

(撮影=ヤマダマサヒロ)


 パンパンにキャパシティを満たしたオーディエンスで賑わうこの日の会場。ツアー公演2日目の開演前のこの光景は、今の感覚ピエロの勢いを如実に物語っているようだった。笑顔でステージに姿を表したメンバーが投じた一発目、「21世紀の破滅主義者」が演奏された瞬間、全員が一斉に手を掲げて感覚ピエロを歓迎した。

 立ち上がりにオーディエンスが気合い充分なテンションを見せるなか、「そんなもんか? かかってこいよ!」と煽る横山直弘(Vo、Gt)を受け、開始2分程度でフロアの熱量は一気にレッドゾーンまで振り切られた。

 ステージ・モニターに上がり意気揚々とプレイする秋月琢登(Gt)のけたたましいサウンドはアンサンブルを駆け巡り、「Tonight Yeah!Yeah!Yeah!」で強烈なコール&レスポンスを巻き起こした。スタート間もなくからの弩級のテンションに奮い立たずにはいられない。オーディエンスは、疾走感ほどばしる「加速エモーション」で早くも一体となっていた。

(撮影=ヤマダマサヒロ)

 ツアーとはいえども、初日の大阪公演と東京公演とでは異なるセットリストで臨む感覚ピエロ。「ツアー2日目なんだが、大阪より元気なんじゃないか?」と横山が伝えると、フロアは歓喜に沸く。ここまでガツンと脳天にくるようなアッパーチューンが続いた中、「君にしか聞こえない」のゆったりとしたR&Bテイストもメロディアスに聴かせ、ライブに彩りのアクセントを付けた。

 横山の「それじゃあ飛ばして行くか東京!」というシャウトが誘ったのは「CRAZY GIRL」でのジャンプ・アクションだ。4つ打ちのビートに乗って聴衆満場一致で飛び跳ねるオーディエンスに、横山は終曲時に「よくできました。ありがとう」とにっこり。ここまでのレベルの“会場一体ライブ”も数多くはないだろう。バンドとオーディエンスのボルテージのぶつかり合いが発生させた相乗効果の無限ループである。

「俺達を好きでいてくれて本当にどうもありがとう」

(撮影=ヤマダマサヒロ)

 「さよなら人色」では、横山のファルセットが会場を包み、秋月のライトハンドで奏でられた印象的なフレーズがライブ空間に美しい膜をつくる。「今回のツアーは気合い入っています」と横山の意気込みに応えるように集結したオーディエンスに「俺達を好きでいてくれて本当にどうもありがとう」と、改めて謝辞を伝えた。

 ファンと感覚ピエロの距離感は近く、奥深く温かいものだった。激しいバンドサウンドの中にも“感覚ピエロのライブに来ればみんなが繋がれる”、そんなほっこりした情念が根底にあり、そこにいる誰もを、深い愛情をもって受け入れているようだった。

 「お前らのはちきれんばかりのジャンプを見せてくれ!」というコールは甚大な熱量の一斉ジャンプを呼び起こし、物理的に会場を揺らした。終始、寡黙な振る舞いの滝口大樹(Ba)だが、パフォーマンスは誰よりも雄弁。ベースを反時計回りにブン回すわ、頭上でベースソロを披露するわの大暴れで華麗に魅せた。

 横山の軽快なラップがタオルの舞いを巻き起こした「A BANANA」を経て、ここでのMCではアキレス健太(Dr)がマイクをとった。「みなさん、そんなにジャンプしてヒラメ筋は大丈夫ですか? そんなに手を挙げて上腕二頭筋は平気ですか?」と、みんなの筋肉をいたわる。メンバー内で群を抜いたマッスルを纏うアキレス健太はオーディエンスの筋肉のケアにも余念がなかった。

(撮影=ヤマダマサヒロ)

 終盤に差しかかりライブも佳境、と言いたいところだが、この日の会場では常に佳境といわんばかりの高エネルギーを発し続けていた。開始からここまで、「CHALLENGER」からラストの「ありあまるフェイク」まで火照りっぱなしの大爆発。感覚ピエロのライブで味わえる会場の一体感は目を見張るものがあった。

 再び姿を現した感覚ピエロはアンコールに2曲応えた。最後は「O・P・P・A・I」での盛大なシンガロングでフィナーレを迎える。男子も女子も全力で浴びせる「オッパイ!」の大合唱で会場を揺らし、大団円で幕を閉じるという空前絶後の締めくくりとなった。

 激流のバンドサウンド、熱く投げかけ全てを拾い上げるコール&レスポンス、常に鳴り響くクラップにシンクロするジャンプ。渋谷会場で感覚ピエロが放出した熱量は会場を一体にし、その場にいる誰もを奮い立たせた。

セットリスト

感覚ピエロ 『5-6th anniversary「LIVE - RATION 2019」~奮い立たせてなんぼでしょ~』2019年5月10日@渋谷CLUB QUATTRO

01. 21世紀の破滅主義者
02. 疑問疑答
03. ARATA - ANATA
04. LET IT DIE -Wake up-
05. Tonight Yeah!Yeah!Yeah!
06. 加速エモーション
07. 雨ノチ、雨上ガリ
08. 「君にしか聞こえない」
09. CRAZY GIRL
10. さよなら人色
11. 曖-me-昧
12. JIJI
13. A BANANA
14. CHALLENGER
15. ハルカミライ
16. メリーさん
17. A-Han!!
18. ありあまるフェイク

ENCORE

EN1. リア充大爆発
EN2. O・P・P・A・I

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