4人組ロックバンドのBrian the Sunが9日、東京・赤坂BLITZで『10th Anniversary Special「ブライアンフェス」』を開催した。このイベントは、今年でバンド結成10周年を迎えた記念におこなわれたもので、1日の大阪・なんばHatch公演と2日間ゲストバンドを招き実施された。東京公演では、感覚ピエロ、THE ORAL CIGARETTES、SPECIAL OTHERSの3バンドが出演し、会場を大いに盛り上げた。Brian the Sunの森良太(Vo、Gt)は「音楽やってて良かったなってこの2公演で思いました」と公演とともに10年間を振り返った。この日Brian the Sunは、11月15日にリリースするニューシングル「カフネ」を初披露するとともに、全国ツアー『Brian the Sun TOUR 2018 「the Sun」』を開催する事を発表。今回はその東京公演の模様をレポートする。【取材=橋本美波】

感覚ピエロ

感覚ピエロ(写真提供=EPICレコードジャパン)

 トップバッターを務めたのは、大阪で結成された4人組ロックバンドの感覚ピエロ。グリーンのレーザーがフロアを目まぐるしく照らす中「全員手をあげな!」と横山直弘(Vo、Gt)が威勢よくオーディエンスを煽ると、「CHALLENGER」で『ブライアンフェス』は幕を開けた。序盤から感情を高ぶらせるハードなナンバーに、フロアではオーディエンスが腕を揺らしながら飛び跳ねている光景が広がっていた。

 横山が「Brian the Sunの10周年祝いに来たんだけど、俺らと一緒に祝いたい奴は手をあげな!」と再びオーディエンスに向けて叫ぶと、クラップやモッシュが巻き起こった「Japanese-Pop-Music」、映画主題歌にもなった激しいロックナンバー「疑問疑答」と畳みかけ、感情を吐き出すようかのように、彼らは独自の空間を作っていく。

 MCでは横山が「Brian the Sun結成10周年おめでとうございます。こういう場に俺らを呼んでくれてありがとうございます。最高なあなたたちと盛り上がっていこうと思います」とBrian the Sunを祝福するとともに、感謝を述べた。

 そして「俺たち、ブライアンフェスをめちゃくちゃにしてやろうと思います! タオル用意して! この景色でブライアンにおめでとうって言ってやりましょう!」と横山が語り、タオル旋風が巻き起こった「A BANANA」や、「次みたいな曲を歌えるのは俺らしかいない!」と言い放ち、続いたロックチューン「O・P・P・A・I」を披露。同曲の最中、オーディエンスは<O・P・P・A・I~♪>と歌い叫び、一体感を生み出していた。

 6曲目では新曲「ハルカミライ」を初披露し、オーディエンスの心を高ぶらせ、再びMCへ。横山はBrian the Sunとの出会いの馴れ初めを語りつつ、「Brian the Sunがバンドを続けてくれたから俺らはここに立ててる。そんな彼らを応援してくれているあなたたちにも感謝してる」とBrian the Sunへ想いを語った。

 その後、メッセージ性のある背中を押されるナンバー「拝啓、いつかの君へ」、思わず暴れたくなるようなアッパーチューン「メリーさん」を披露し、感覚ピエロのステージは幕を閉じた。

SPECIAL OTHERS

SPECIAL OTHERS(写真提供=EPICレコードジャパン)

 2番手を務めたのは、4人組ジャムバンドのSPECIAL OTHERS。微かなオレンジ色と白の照明が彼らを包み込む中で、宮原"TOYIN"良太(Dr)、又吉"SEGUN"優也(Ba)、柳下"DAYO"武史(Gt)、芹澤"REMI"優真(Key)たちは、1曲目の「TWO JET」でSPECIAL OTHERSの世界観を一気に創り上げる。

 本日の出演バンドの中で唯一のインストゥルメンタルバンドで、一味違った大人びた空間を演出。SPECIAL OTHERSはBrian the Sunの先輩バンドでもあるが、MCでは宮原が「同世代のバンドがこうやって活躍してて刺激になります!!」と冗談を交えながらトークを繰り広げ、芹澤は「あいつ等は良い奴。手紙を書いてくれてたりして…」とBrian the Sunについて語った。それに付け加え、宮原は「手紙もらったんだけど、一つだけ名前書き忘れているメンバーもいて。そこも可愛い」とコメント。

 ラストは芹澤のテクニカルなピアノが際立つ「AIMS」を届け、音楽の美しさや魅力を存分に引き出してステージを終えた。

THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES(写真提供=EPICレコードジャパン)

 3番手を務めたのは、奈良県出身の4人組ロックバンド、THE ORAL CIGARETTES。彼らのライブには欠かせない4本打ちをかますと、山中拓也(Vo、Gt)の「かかってこい!!」を合図に、「DIP-BAP」のカップリング曲でもある「CATCH ME」で彼らのステージはスタート。観客から<CATCH ME♪>という声が上がる中、クラウドサーフィングをするオーディエンスも見られ、序盤から熱狂的瞬間を作り出していた。

 不敵な笑みを浮かべた山中は、人間の黒い感情を音楽にぶつけたキラーチューン「カンタンナコト」を演奏し、「Brian the Sunでは聴けないような楽曲、今日は聴いて帰ってください」と語る。続けてダーク色全開な「マナーモード」を披露した。3曲目ではタイトルが彼岸花という意味を持つエモーショナルな「リコリス」へと続き、MCへ。

 山中は「俺ブライアンの事、出会ったときめっちゃ嫌いやったな~(笑)。俺ら若手の中で、めっちゃ上手い方やしみたいな感じで出てん。上手いから悔しいんやけどさ~」と出会った当初の印象を明かした。

 そして「列伝ツアーに一緒に出たり、俺らのツアーにも出てくれたりして。列伝ツアーのとき、どうしたら自分のバンドを引っ張っていけるかなって、あの森良太に相談したんですよ。そしたら『スクランブル交差点を思い浮かべて』って言われたんです! 僕そこらへんから世界観強すぎて聞くのやめたんですけど(笑)」と森から独特のアドバイスを受けたことを振り返った。

 続けて「最初は彼らの事大っ嫌いだったけど、今めっちゃ大好きだし。だからこそ、ここに出ています。ここに出て歌を歌っています。あいつ等にはホンマに感謝してる。Brian the Sun今日は呼んでくれてありがとう」と感謝を届けた。

 山中のアカペラから始まる、希望溢れるナンバー「DIP-BAP」、彼らのキラーチューンの代名詞とも言える「狂乱Hey Kids!!」、今のオーラルの糧となるニューシングル「BLACK MEMORY」を畳みかけ、オーラルのステージは終了した。

Brian the Sun

Brian the Sun(写真提供=EPICレコードジャパン)

 今宵のトリを務めたのは、『ブライアンフェス』の主催者Brian the Sun。そんな彼らが、このフェスにふさわしいスタートを飾ったのはインディーズ時代の1stアルバム『NON SUGAR』収録曲の「Sister」。持ち味でもあるエモーショナルなロックサウンドを刻みつけ、オーディエンスの熱を上げていく。

 続けて『NON SUGAR』収録曲の「Suitability」へと突入し、森は「大丈夫ですか? 潰れてないですか? Brian the Sunのライブしか来ない人は、すげーもん見れたでしょ! あれがロックバンドのライブや」と今日の出演バンドの魅力を語った。

 そして森から続く「感エロ! スペアザ! オーラル! ブライアン!」というコール&レスポンスが巻き起こり、ボルテージがさらに上がった。

 観客のテンションが上がってきた所で、小川真司(Gt、Cho)のギターイントロから始まる「パワーポップ」、白山治輝(Ba、Cho)の重厚なベースラインが際立つ「シュレディンガーの猫」、11月15日にリリースするニューシングル「カフネ」のカップリング曲「フォレルスケット」を連続で披露していった。

 MCで森は、THE ORAL CIGARETTESの山中の発言について「さっき、拓也が俺らの事嫌いやって言ってたけど、ちょっとドキッてしたわ(笑)。嫌いやったん俺のこと…なんかシュンってしたわ…しょげたけど。でも愛情の裏返しだと思って受け取ってます!」と前向きに受け取っている様子。

 続けて「音楽やってて良かったなってこの2公演で思いました。みんな足を運んでくれて最後まで残ってくれてありがとうございます」と感謝を述べ、白山は「こうやって10周年のお祝いに来てくれたみんなもそうやし、4バンドで出来ること本当に嬉しいです」と喜んだ。

 そして森は「ロックバンドってストーブとか焚火とか想像するでしょ? ちゃいますよ。僕らアイスノンですから! バランスとってください。今日は燃えたい日ならオーラル、感エロ、今日はちょっと大人な気分ならスペアザ、なんか落ちたい日なら俺らみたいな(笑)」と自身のバンドについてのイメージを語る。

 「燃えない曲をやりますね」と言い、甘い気分にさせるミディアムチューン「Maybe」、気分が晴れやかになる「隼」、田中駿汰(Dr)の轟くドラムビートを筆頭に続く「パトスとエース」で彼らのステージはどんどん進んでいく。

 「みんなの笑顔を見た上で書いた曲をやります」と告げると、彼らのメジャーデビュー曲「HEROES」を披露。森のハイトーンボイスと、真っすぐな歌詞が観客の心を突き刺すように、彼らのありのままの感情を熱く届けていった。

 ラストは、インディーズ時代の2ndアルバム『Brian the Sun』収録の「13月の夜明け」を、想いを込めて演奏し本幕を終えた。

 しかし、鳴りやまぬアンコールの声援に応え再びステージに登場したBrian the Sun。そのアンコールには11月15日にリリースするニューシングル「カフネ」初披露で応えた。繊細なピアノの音色の音とともに、優しく奏で歌い届ける彼ら。

 そしてフィナーレには、メンバー全員が交互に歌う未発表曲の新曲「the Sun」を披露し、彼らのこれまでの道のりを記した歌詞が印象的だった。来年2月から5月にかけて全国ツアー「Brian the Sun TOUR 2018 『the Sun』」をおこなうことも発表された。

 最後は出演バンドがステージに集結し、記念撮影を実施。全4バンドが、それぞれの音楽で彩り、Brian the Sunの結成10周年を盛大に祝福した記念すべきライブだった。

セットリスト

■感覚ピエロ

1.CHALLENGER
2.Japanese-Pop-Music
3.疑問疑答
4.A BANANA
5.O・P・P・A・I
6.ハルカミライ
7.拝啓、いつかの君へ
8.メリーさん

■SPECIAL OTHERS

1.TWO JET
2.ORION
3.I‘LL BE BACK
4.AIMS

■THE ORAL CIGARETTES

1.CATCH ME
2.カンタンナコト
3.マナーモード
4.リコリス
5.DIP-BAP
6.狂乱Hey Kids!!
7.BLACK MEMORY

■Brian the Sun

1.Sister
2.Suitability
3.パワーポップ
4.シュレディンガーの猫
5.フォレルスケット
6.Maybe
7.隼
8.パトスとエートス
9.HEROES
10.13月の夜明け

アンコール

En1.カフネ
En2.the Sun

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