4人組ロックバンドの感覚ピエロが3月9日、Zepp Tokyoで全国ツアー『KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~』の東京公演を開催。同ツアーは、2月21日に発売した初のフルアルバム『色色人色』を引っ提げ、4日の愛知Zepp Nagoya公演を皮切りに、7月28日の大阪なんばHatch公演まで日本全国をまわる。この日は『色色人色』の楽曲を軸に、全23曲を披露し会場をダンスフロアの様に熱く盛り上げた。横山直弘(Vo、Gt)が「俺らは全部をやりたいんだ」と語った様に持てるすべてのパワーを注ぎ込んだような熱いステージで観客を魅了した。【取材=長澤智典】

自分たちのプライドのために変わり続ける

 感覚ピエロ、身体どころか、気持ちまで熱く揺さぶる連中だ。何より、自分たちの存在意義を、奥ゆかしくも力強く宣言していく姿勢がカッコいいじゃない。別の言い方をするなら、とても素直。まぁ素直というよりも、感情をダイレクトにぶつけることを躊躇しないというべきか。だからこそ、4人の凛々しい姿や存在感に強く惹かれるのも事実。

横山直弘

 何より、横山直弘の発する言葉の一つひとつが熱い。でも、熱いのは当たり前だ。何故なら彼は、心の内側から湧き上がる想いすべてを熱した感情のままダイレクトにぶつけているんだもの。その言葉に触れたら、こちらまで熱く触発されるのは当然だ。

 事あるごとに横山は、ステージ上から「明日からは、いや、この会場を出たら他が一番で構わない。でも、この会場にいる間は感覚ピエロが一番でいて欲しい。俺らはいつだって一番だと思ってる」「次々と曲の表情が変わるから、感覚ピエロは一体何をやりたいんだと言われるけど、俺らは全部をやりたいんだ。全部が好きだからやりたいんだ」「俺たちは変わり続ける。自分たちがつねにカッコいいことをやるために、自分たちのプライドのために変わり続ける」など、自分の信念を言葉にしてぶつけてきた。でも、それはすべて、楽曲に込めた想いを伝える上での補足としてのこと。

 感覚ピエロの楽曲のどれもに、彼ら自身の強い意志が詰め込まれている。もちろん、それを音源で感じ、共感や感動を覚えるのもいいだろう。でも、やはりライブを通し、曲振りの言葉や、その時に感じていた気持ちをぶつけた裸のままの言葉を耳にすると、心を熱く震わせずにいれない。

 その後に、強烈で刺激的なダンスロックへ触発され、身体が熱く震えるのはわかっているのだが。やはり、4人の魂に触れたときに覚える、心を震わせる感動や興奮は、いつだって、その場で体感したくなる。いや、そこに行かないと味わえない。だからこそ、この日のように会場を埋めつくす大勢の人たちが足を運び、感覚ピエロの音楽に、彼らの放つ想いをダイレクトに感じようとしていた。

いつも剥き出しな感情や本音の言葉

 いつだって剥き出しな感情や本音の言葉は、目の前で感じてこそ心を一番に揺さぶっていく。もちろん、映像や動画配信でもその感動は味わえるだろう。でも、そこに少しでもフィルターがかかってしまう以上、あの場にいるからこその臨場感や空気は決して100パーセント全てが伝わることはない。

感覚ピエロ

 僕らは、そこへ足を運ぶことで、リアルを100パーセントどころか、120パーセントいや150パーセント…いやいや、数字で表せない興奮や感動として体感することが出来る。

 感覚ピエロのメンバーたちもまた、それを直接感じて欲しいからこそ、今回47都道府県をまわり、自分たちの感情をダイレクトに届け、互いに本気で愛しあおうとしているのではないか。

 「O・P・P・A・I」を通し叫んでいた言葉も、きっとメンバーたちの裸のままの欲望をダイレクトに投影した言葉だと勝手に受け止めている。彼らの煽りに触発され、会場中の男性も女性も<O・P・P・A・I!>と絶叫していたように、そんな欲望の排出をしてくれたところも、素直に「嬉しかったよ」と伝えたい。こういう欲望の発散の仕方、むしろ健全で大歓迎だ。

 いきなり、締めの言葉のような文章で始まってしまったが。ここからは、この日のライブの模様を、時系列を追いかける形も含め、お伝えしよう。

ワンナイトな興奮に心が色めいていた

 今回のライブは、ツアータイトルに『色色人色』と加えているように、リリースしたばかりのアルバム『色色人色』を中心軸に据えた構成を持って展開していく。

感覚ピエロ

 この日のライブに関して言うなら、「CHALLENGER」で幕を開けてからの頭5曲は、アルバム『色色人色』の曲順通りに進んでいた。長いツアーだけに、セットリストがずっと同じまま進んでいくとは限らない…というよりも、絶対にいろんな風に変わっていくのではと想像している。

 Zepp Tokyo公演に関して言うなら、冒頭から観客たちは感情のストッパーを外し、感覚ピエロが次々と突きつけるダンスロックナンバーへ飛び乗り、思いきりフロア内で騒いでいた。むしろ、彼らが解き放つ心地好くもアッパーなグルーヴへ触れ、はしゃがずにいれなかった。

 疾走する「疑問疑答」に刺激を受け、一緒に感情も駆け上がるようにバースト。「give me」でメンバーとの熱い歌の掛け合いを見せれば、情熱的でスタイリッシュなグルーヴ曲「無い ナイ 7i」に触発され踊らずにはいられなかった。「ワンナイト・ラヴゲーム」では多くのセクシーな女性ダンサーたちを引き連れ、色気ムンムンなステージングを実施。そのワンナイトな興奮に心が色めき立った。

 そして、アルバム『色色人色』以外の楽曲も投下。この日は「CRAZY GIRL」を通し、観客たちを笑顔で飛び跳ねさせれば、「Tonight Yeah! Yeah! Yeah!」を魅力に気持ちを熱い高揚へと導いていった。

 「拝啓、いつかの君へ」で生まれた<あんたの正義は><一体なんだ>と叫びあう熱い想いの交わし合い(コール&レスポンス)に興奮すれば、「ミステリアスに恋をして」を通し、感覚ピエロは会場を巨大なダンスフロアに塗り替え、満員の観客たちを躍り狂わせていく。続く「A-Han!!」でも、フロア中で小さく2STEPを踏みながら踊り続ける熱狂する人たちに会場は支配されていた。

 それから、再びアルバム『色色人色』の世界観へ没入。グルーヴィーでテンションの高いラブソング「さよなら人色」に心を触発されれば、ヒステリカルでエモーショナルな「変幻」に触れ、心地好い緊張感を身体に覚えていた。「改めてすべてを始めるにあたり、ゼロになろう」と呼びかけながら歌った「0になって」で強く感じた、胸に光射す高揚と感動。その輝きに向かって走りたい。その光を互いに分かち合いながら心一つに溶け合いたい。

誰もが欲望をそのまま発散させる

 終盤は、「リア充大爆発」から。会場中の人たちが<リア充大爆発!>と叫びながら飛び跳ねる様は、まさしくリア充しまくっている姿そのものだ。続く「A BANANA」を通し、タオル振りまわし熱狂へ興じれば、「O・P・P・A・I」では誰もが欲望をそのまま発散させるように「O・P・P・A・I」と叫ぶ光景が会場中に広がっていた。ここまでエロい欲望をさらけ出せるって、ヤバくないですか? いや、むしろ嬉しい光景だ。誰もが持っている心の欲情を、浴場のような熱気の中で開放出来るんだもの、最高にHOTじゃない。

 「全員濡らしてやるよ」の発言に続いて披露した「触れてみればいいんじゃない?」でも、大勢の人たちが高いテンションのまま興奮に刺激され、いつしか心も身体もほてっていた。

 感情をバーニング、<あなたと僕らの光射す未来に向けて>と歌った「ハルカミライ」。本編最後は、「ありがとう」の感謝の想いを込めた、スケールあふれるミディアムナンバー「Just to tell you once again」を通し、心揺さぶる感動と、同じく「ありがとう」の感謝の想いを互いに強く胸に抱きながら、本編を終えた。

 アンコールは、まさかのモーニング娘。のカバー曲「恋愛レボリューション21」からスタート。「LOVE GENERAL」を通し、彼らの熱いステージングに恋すれば、ファンの支持の高い「Japanese-Pop-Music」を通し、感覚ピエロは会場をダンスホールへしっかり塗り替えていった。

 最後は、会場中の照明をシャットダウン。それぞれが手にしたケータイのライトの光だけを背景に「VONGOLE ~ナポリの潮風~」をしっとり歌って、ブレイクポイントに入った途端、ステージ上の光が全開、サンバカーニバル風な衣装を身にまとったダンサーたちと一緒に「ボンゴーレ!!」と叫びながら、最高のハッピーなパーティ空間を作りあげていった。

 まだまだツアーは始まったばかり。ここからどんな風にツアーの内容やクオリティがバージョンアップしていくのか、そこを楽しみにしたいところだ。

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