NakamuraEmi、腹を括った原点回帰 初の試みから生まれた新たな音楽
INTERVIEW

NakamuraEmi、腹を括った原点回帰 初の試みから生まれた新たな音楽


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年02月21日

読了時間:約11分

 シンガーソングライターのNakamuraEmiが2月20日、メジャー4枚目となるアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』をリリース。前作『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』はコミュニケーションがコンセプトだったが、今作は一周回って「女性」という原点回帰ともいえるテーマが制作中に浮かび上がったという。それは、充実した音楽制作とは別に、女性として、これからどうやって生きて行くのかと考えることがあったからだと話す。その中で今回は初めて楽曲のイメージを絵で伝えたり、プロデューサーでギタリストのカワムラヒロシの作ったコード進行にメロディを乗せるなど、初の試みもあった。「心にHIPHOPを」をスローガンに生まれた楽曲の制作背景と、NakamuraEmiの心境の変化に迫った。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

女性としてこれからどうやって生きて行くのか

NakamuraEmi

――今回、テーマがまた一周されて「女性」に戻って来ましたね。第2章の始まりを感じました。

 確かにそういう感覚もあるかもしれないです。音楽の世界、メジャーに入って3年経って、その中で戻って来たので、新しく色々書けていけたら良いなと思っています。

――前作は曲を書きながらコミュニケーションというテーマが生まれましたが、今作はどうだったのでしょうか。

 今回もそうでした。『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』が出来た時に私の中でこれ以上の作品は出来ないんじゃないかと思いました。人間感というものは、前作でやり切れた感覚がありました。音楽は楽しいし、今の環境もすごく良くて。でも、家に帰って一人になった時に、女性としてこれからどうやって生きて行くのかなと、考える事がありました。

――ミュージシャンの前に一人の女性ですから考えてしまいますよね。

 今までは頑張らなきゃという思いが強かったので、曲もそう言った感じのものが多かったんですけど、スタッフやプロデューサーのカワムラ(ヒロシ)さんが「もう少し自分を認めてあげてもいいんじゃない」と言ってくれました。意地をはることが大事な時期もありますし、弱みを見せずに頑張ることが当たり前になってきたけど、それを見せていく事も大事なコミュニケーションなんじゃないかと思いました。昔よりも少しだけど開けた感覚はあります。

――その姿勢が音に表れているなと思いました。歌声の表情もすごく変わったと思っていて。

 ありがとうございます。いつもは自分で作詞と作曲をしていたんですけど、周りとの信頼関係も強くなってきたこともあって、今作の半分くらいはカワムラさんにテーマを伝えて、そこから感じたことをコードにしてもらいメロディを付けました。新しい世界の中で歌えたことと、たくさんライブをさせてもらえたことが大きいかもしれないです。いつもだったら制作中はライブは止めていたんですけど、今回はライブをやりながらレコーディングをしていたことも影響しているかもしれないです。

――そのレコーディングでいつもとは変わったところは?

 いつもだったらリハーサルに入ってからレコーディングに臨むんですけど、みんながジャズマンという事もあって、曲を聴いてもらってすぐに臨みました。あと、今回初めて曲のイメージを絵に描いてそれを見ながらセッションをしました。今までは曲を色で表現をしていて、『Vol.5』に収録した「波を待つのさ」という曲では、カワムラさんのサーフボードを真ん中に置いて、サーフィンのDVDを流して録ったり、『Vol.4』に収録した「ハワイと日本」という曲では、自分がハワイに行った時の写真をみんなで見て録ったり。その時のレコーディングのスピード感が凄かったので、もしかしたらそういったものがあれば、より立体的にな音が作れるんじゃないかなと思いました。

――フィジカルなものがあるといいですよね。

 そうなんです。実際、歌詞だけでこの曲は暗いのかなとか、みんな想像していたみたいなんですけど、私の絵を見たらそうでもなかったとか、ビックリした曲もありましたから。自分の歌詞がより伝わったので、今後も続けたいなと思いました。

――先程、色で表現していたとお話で出ましたが、Emiさんは音が色で見えるという共感覚を持ってるんですか。

 いえ、私は持ってないんですけど、カワムラさんは音が色で見えるみたいです。長年一緒にやってきた事もあって、私も何となくこんな色かなとは繋げてはいるんですけど。

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