NakamuraEmi、腹を括った原点回帰 初の試みから生まれた新たな音楽
INTERVIEW

NakamuraEmi、腹を括った原点回帰 初の試みから生まれた新たな音楽


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年02月21日

読了時間:約11分

前よりも自分自分というのは薄れてきているのかも

NakamuraEmi

――カワムラさんやっぱり凄いですね。さて、1曲目の「バカか私は」を聴かせて頂いて年齢というキーワードが浮かびました。Emiさんは年齢を重ねるということについてはどのように感じていますか。女性にそれを聞くのは大変心苦しいのですが…。

 年齢を重ねることはすごく楽しいことだと思います。40代の女性が周りにもいるんですけど、すごく格好良いんです。20代、30代で培ってきたものが研ぎ澄まされているから、ステキなんだろうなと感じているので、私も残りの30代を楽しくやれたらと思っています。

――頭の歌詞の<大人になって尻もちついて転ぶのはなんでこんなに痛いんだろう>という歌詞がすごくわかるなって。

 (笑)。ちょっとの痛みがすごく引きずるようになったり、ちっちゃい時より心に響くようになっちゃっいました。

――今作を聴かせて頂いて、歌詞のパンチはもちろんあるのですが、優しさみたいなものがより増したなと感じました。

 デビューしてからの3年間の中でお客さんからもらうパワーというのが大きくて、今までは自分の為に歌っていたけど、当たり前にお客さんのことが頭に入っていて、自然とみんなの顔が浮かんで、歌詞を書いているというのが、そう思ってもらえたのかもしれません。テーマとしては自分に対して書くというのは変わらないんですけど、前よりも自分自分というのは、薄れてきているのかもしれません。

――それがまた出ている曲が「おむかい」で、今なくなりかけている何かを思い出させてくれました。この曲に関しては前作のテーマとなったコミュニケーションの流れを組んでいるなとも思いました。

 前作の「新聞」の続編みたいな感覚もあります。既にライブでもやらせてもらっているんですけど、皆さんに気に入ってもらえているようで嬉しいです。

――イントロでお店の環境音など入っていて、すごく凝っていますよね。

 下北沢にある「おむかい」という居酒屋さんがあって、そこで20分から30分くらい録音させて頂いた音を使いました。あと、この曲に出てくる登場人物のお宅にも伺って声を録らせて頂いたので、すごく大事な曲になりました。最初に出て来るご夫婦は、私が一人暮らしを始めてから出会った方で、おむかいさんということだけで、連絡先も知らなかったので、突撃取材みたいな感じで行ったら、ご夫婦もすごく喜んでくれて嬉しかったです。

――思い出に残る一曲になりましたよね。さて、「いつかお母さんになれたら」はどんな心境の時に書かれたのでしょうか。

 赤ちゃんが産まれることは奇跡だと頭では認識していたんですけど、ドラマの『コウノドリ』を観ていて、改めて母子ともに無事ということが奇跡だということを実感しました。それもあって、チームのみんなに子どもが産まれて、私のスマホの待ち受けはそんな子どもたちの写真で(笑)。でも、それが本当に幸せで、そういうところから出来た曲でした。

――この曲で手紙を読んでいるようなセクションがありますけど、イメージは男の子ですか。

 男の子ですね。もし自分に子どもがいたらというイメージで書きました。実は最初、バンドメンバーや男性スタッフからは歌詞を読んだ時にちょっと重たいと思ったらしくて。私にとってはハッピーな曲だったんですけど(笑)。男性陣は繊細テーマだからというのもあって、どうやって、私に聞こうか悩んでいたらしくて。

――ちょっとわかります。自分も音を聴くまではシリアスに受け止めていましたから。

 それもあって、男性にもスッと入って来れるように母なる大地、スケールの大きな感じにしようとレコーディング本番でアレンジが変わったんです。エンジニアの兼重(哲哉)さんがアレンジについて賛同してくれて、私一人で作っていたらこういう感じにはならなかっただろうなと思います。

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