NakamuraEmi×藤原さくら「とても面白い経験」ライブ感詰まったマッシュアップ曲に迫る
INTERVIEW

NakamuraEmi×藤原さくら

「とても面白い経験」ライブ感詰まったマッシュアップに迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年10月07日

読了時間:約10分

 NakamuraEmiと藤原さくらがお互いの楽曲をマッシュアップし、「The Moon × 星なんて言わず」として9月16日に配信リリースした。このマッシュアップは今年4月に広島・大阪、6月に東京と3カ所で開催された『UMEDA CLUB QUATTRO 10th Anniversary“QUATTRO EXPRESS” x “QUATTRO MIRAGE” NakamuraEmi × 藤原さくら』のアンコールで披露されたもの。

 マッシュアップ曲として選んだNakamuraEmiの「星なんて言わず」は2018年にリリースされたアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5」に収録されている楽曲。藤原さくら「The Moon」は劇場版第2部『コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道』の主題歌として、2018年に配信リリースされている。

 インタビューでは、2マンライブ『QUATTRO EXPRESS” x “QUATTRO MIRAGE』を振り返ってもらいながら、お互いの印象、マッシュアップ曲「The Moon × 星なんて言わず」の制作エピソードなど、多岐に亘り、NakamuraEmiと藤原さくらの2人に話を聞いた。【取材=村上順一】

さくらちゃんに会った瞬間、“壁”がなかった

――今回、このコラボが実現した経緯は?

NakamuraEmi

NakamuraEmi さくらちゃんとはデビューの時期が近かったこともあり、昔から気になっていたアーティストでした。『QUATTRO MIRAGE』という2マンライブの企画があって、私の中でご一緒したいランキングに、さくらちゃんがずっといました。それで、この前念願叶ってご一緒することができたんです。

藤原さくら 私もEmiさんの曲をずっと聴いていました。以前たまたまEmiさんと遭遇したことがあって、その時にEmiさんが「いつか2マンとか出来たらいいね」とすごく気さくに話しかけて下さって。

――念願の2マンはいかがでした?

藤原さくら 広島、大阪、東京の3カ所回ったんですけど、すごくピースフルなツアーで。4月は、Emiさんとのツアーで久しぶりにお客さんの前に立って歌ったので、やっぱりライブって楽しいなぁと感じたし、Emiさんのお客さんもすごく温かくて幸せな時間でした。

NakamuraEmi この2マンはお互いアコースティック編成で行ったのですが、お互いの音楽性がまっさらな状態で、お客さんに届けることが出来たと感じました。色々おしゃべりをして、さくらちゃんと仲良くなっていく感じも楽しかったツアーでした。

――お2人でどんな話をされたんですか。

藤原さくら Emiさんが私のところまで降りてきてくれているような感覚もあり、こんなに優しい人なんだと衝撃を受けました。Emiさんと共通の知り合いがいるんですけど、その知人も「Emiさんは心の底から優しい人だよ」と言っていたので、それがみんなの共通認識としてあるんだなと思いました。何をお話ししてもEmiさんと話が弾むんです。

NakamuraEmi 私は対バンというと男性の方が多くて、こうやってゆっくり話せる女性アーティストは少なかったんです。なので、マネージャーやギターのカワムラ(ヒロシ)さんが、「あんなに楽しそうにしゃべるんだな」とビックリしていました(笑)。初日の広島公演の楽屋で、さくらちゃんに会った瞬間、“壁”がなかったんです。それもあってすごく素敵な人だなと思いました。

――さくらさんは、壁は作らないんですね。

藤原さくら 私、壁があると言われることもあるのですが、Emiさんは初めて会った時から「味方だ!」という認識だったんだと思います。逆にEmiさんの方が壁がなかった気がしました。

――アーティストとしてのお互いの印象として、どんなイメージを持っていますか。

藤原さくら 今回ライブでご一緒して感じたことは、一曲一曲、物語にスッと誘ってくれるというか、映画を見ているような感覚にさせてくれるんです。こういった感覚にさせてくれるライブは初めてで、「なんてカッコよくて素敵なアーティストなんだろう」と終始感動でしたし、芯が強いからこそ優しくなれるんだなと思いました。ピアノで参加したけいこりん(Keiko)は曲を聴いて号泣していて、楽屋で「Emiさん凄すぎる!」と話してましたから。

NakamuraEmi さくらちゃんは、私に持っていないものをたくさん持っている方です。スタジオでさくらちゃんの歌を聴いて、歌の力を感じました。人の心をホッとさせる帯域で、深く歌える方なので、その声に憧れがあります。その声に包まれる感覚というのをライブやレコーディングでも感じましたし、「mother」という曲を聴いた時、自然と涙が出てきました。

 さくらちゃんは熱をストレートに出すというよりも、冷静な中で言葉が伝わってくる感じなんです。東京公演は広島、大阪が終わってから2カ月くらい空いてしまったんですけど、その間にさくらちゃんは自分のツアーを回っていて、東京公演を迎えた時にカワムラさんと「また上手くなってる!」と話していたんです。もうとんでもない人だなと思いました。

――ちなみにさくらさん、EmiさんのMCはいかがでした?

藤原さくら ステージ袖で聞いていたんですけど、めちゃくちゃ面白くて爆笑してました。カワムラさんとの掛け合いが特に面白くて。でも、締めるところはしっかり締めるのですごいなって。EmiさんのMCはお客さんもホッとしますし、ライブの中で良いコントラストが生まれていました。あと、そのMCで知ったんですけど、Emiさんは過去に自動車の整備士をやっていたと聞いて、私もドラマ『ラヴソング』で整備士の役を演じていたので、繋がりを感じました。

NakamuraEmi さくらちゃんのその姿が、私が音楽をやる、やらないと迷っていた時とすごくリンクしました。さくらちゃんのMCは、その日の感じでポンポンと喋るのがすごく面白いんです。でも、変わったこと、かしこまったこと、特別なことを話しているわけではなくて、さくらちゃんがリラックスしているから、こっちも気楽に見れるみたいな、不思議な感じがあります。誰といてもどこにいてもフラットでいれる、自分のペースを持っているというのは、すごいことだなとMCを聞いていて思いました。

「The Moon」を聴いた時に「これだ!」と思った

藤原さくら

――さて、その2マンライブで配信リリースされた「The Moon × 星なんて言わず」が披露されたわけですが、このマッシュアップというアイデアはどちらから?

藤原さくら これはEmiさんからです。リモートでスタッフさんを交えて打ち合わせをして、その時にアンコールで2人で何かできたらいいな、というお話がありました。お互いの曲をカバーをするというのは2マンではよくあることだと思うのですが、Emiさんが「マッシュアップするのも面白いんじゃない?」と案を出して下さって。

 2マンライブで私がセットリストに入れない曲から選曲したい、と相談を受けました。それでセットリストを共有して、選曲していただいてデモができたという流れでした。

――Emiさん、マッシュアップに興味があった?

NakamuraEmi ありがたいことに今年は色んな方が、私を2マンライブに誘って下さったんです。その中で毎回、自分の曲に対バン相手の一節を盛り込んだりしていました。それはサビの一部分だったりしたので、今回は自分からお願いしたさくらちゃんとの2マンということもあり、一緒にステージに立つだけではなく、お客さんの心に残るアンコールにしたいなというところからでした。曲もどれにしようか色々聴いていたんですけど、「The Moon」を聴いた時に「これだ!」と思いました。

藤原さくら 曲も3拍子で歌詞も元々こういう形だったんじゃないか、というくらいシンクロしていて。共通点が沢山あったので本当に驚きました。お互いが全く別のことを思い描いて書いたものが自然と一曲になる、とても面白い経験でしたね。

――それぞれ当時どんな思いで、この「The Moon」と「星なんて言わず」を書かれたのでしょうか。

藤原さくら 「The Moon」は『コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道』というアニメ作品のために、愛という大きなテーマを持って書いた曲です。Emiさんの「星なんて言わず」は、それより生活に近い世界を描いていますよね。

NakamuraEmi 「星なんて言わず」は、歳を重ねていくと、人が亡くなっていくことに直面することが増えていく中で、悲しいけど自分は生きていかなければいけない、そんな自分に対して「頑張れよ」という気持ちと、同じような状況にいる方にも「辛いけど頑張ろう」という想いを込めました。皆さんを包み込むよう曲になったらいいな、と思いながら書いてました。

――お互いの歌詞でグッときたところは?

NakamuraEmi どれもすごく好きなのですが、<息もせず 進むの 誰のため? >というフレーズです。出だしのフレーズもすごくドキッとしました。そこから引き込まれるような背景があって、さくらちゃんにもこういった部分があるんだって。いつもリラックスしていて、自分のペースを持っているさくらちゃんだからこそ、こういった歌詞に親近感が湧きました。

藤原さくら 全部好きなんですけど、この曲の最後は「星なんて言わず」の歌詞で<花が咲いていて 鳥が鳴いていて 気持ちいい風が 通り抜けた>と2人でハモって終わるんですけど、すごく美しい描写で特に好きです。

――歌詞を合体させるのはすごく難しいことだと思うんですけど、どのようにマッシュアップさせていったのでしょうか。

NakamuraEmi まず、歌詞を読んで共通する部分を探していきました。さくらちゃんの他の曲と比べると、「The Moon」は世界観がちょっと違っていて、さくらちゃんの奥底にあるものを見た感覚がありました。その部分と私の死生観の部分が一致したので、歌詞に関してはそんなに苦労はなかったです。

藤原さくら 今お話を聞いて、やっぱり根本では繋がっていたんだなと思いました。

――Emiさんはいつも楽曲をイメージする絵を描いていますが、今回は?

NakamuraEmi 今回は描いてないです。というのも、お互いの曲が星と月という明確にイメージできるものがあったので、間違いはないと思ったからなんです。

レコーディングは全員で一発録り

「The Moon × 星なんて言わず」ジャケ写

――「The Moon × 星なんて言わず」レコーディングはどんな感じで進んだのでしょうか。

藤原さくら メンバーはカワムラさんと、私のサポートをしてくれているけいこりんの4名でした。ライブで披露していて、その流れもあるので全員で一発録りでやりました。その後、コーラスを入れたり、気になるところを録り直したり。時間をかけて丁寧に録れましたね。

NakamuraEmi 目指すところがみんな一緒だったので、レコーディングに迷いはなかったです。ただ、みんなが「これがいい!」と思える演奏になるまで、時間はかかりましたけど、便利なものに頼らず作っている、というのがライブを作っている時の感覚にすごく近かった楽しいレコーディングでした。

――ライブで披露されたものと、大きくは変わっていない?

NakamuraEmi 変わってないです。カワムラさんが弦(ストリングス)も合うと思うから、アレンジを変えた方がいいのかなと、当時話していたんですけど、あのライブがあったから生まれた曲だったので、あの日をそのままパッケージする感じがいいのかなと思い、あえてそのままなんです。

 ただ、いきなりセッションしてもお見合いみたいな空気感になってしまうかもしれない、ということで、カワムラさんがKeikoさんのピアノを細かく詰めてデモを渡したりしていました。それもあって道筋はすごくわかりやすかったのかなと思いました。そこから、ピアノは歌詞に寄り添ったアレンジにブラッシュアップされていきました。カワムラさんとKeikoさんには本当に感謝しかないです。

――アー写も良い感じですけど、揺れているのはどんな流れがあったのでしょうか。

NakamuraEmi 撮影していく中で揺らしながら撮っていたんですけど、それを私たちが見て惹かれるものがありました。空ってしっかり月や星が見えるわけではなくて、ちょっと滲んだ感じが、私はギュッと心を掴まれました。

藤原さくら 二つのものが一つに混ざるという意味でも、すごくいいなと思いました。

NakamuraEmi いつも私のジャケット写真を撮影してくれているカメラマンさんにお願いしました。そのカメラマンさんは、鮮やかな色というよりは、一枚フィルターを通したような写真を撮る方なんです。アートディレクションをしてくださった方も、二つのものが一つになった感覚や、揺らぎみたいなものを表現してくれたんじゃないかなと思います。

――どんなシチュエーションで、皆さんにこの曲は聴いて欲しいですか。

藤原さくら 月と星というところで、やっぱり夜に聴くのが一番かなと思います。曲はちょっと寂しい感じから始まるんですけど、明日が楽しみになるようなアレンジに仕上がっているので、寝る前に聴くのも良いんじゃないでしょうか。あとは、キャンプとかで空を見ながら聴くとか!

NakamuraEmi キャンプいい! これから秋が訪れるので、空を見ながらヘッドフォンとかで聴いてもらえたら、すごく良いんじゃないかなと思います。色んなシチュエーションで楽しんでもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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