シンガー・ソングライター/ギタリストのReiが、新たにコラボレーション・プロジェクト“QUILT(キルト)”を始動。その第一弾として、藤原さくらを迎えたシングル「Smile! with 藤原さくら」を10月15日にデジタル・リリース。“QUILT”は、これまでReiが築いてきた音楽仲間たちとの繋がりを具現化するコラボ楽曲プロジェクト。「Smile! with 藤原さくら」は、プライベートでも仲の良い2人によるポップチューンで、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、石若駿、後関好宏など、かねてから交流のあるミュージシャンがレコーディングに参加。お互いの歌声の良さを存分に打ち出した1曲に仕上がった。インタビューでは、2人の出会いから、「歌を活かしたかった」と語る今作の制作背景など、Reiと藤原さくらの2人に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】
人との繋がりを踏襲したコラボレーション作品を作りたい
――お2人の出会いのきっかけは?
Rei 2015年の2月にタワーレコード渋谷店で行ったイベントで演奏する機会があったんです。当時からお互いのことは知っていたので、そこで挨拶したのが最初の出会いでした。その縁もあって一緒に『レイトサクラ』という2マンライブをしました。
藤原さくら そのあとも一緒に北海道でライブしたり、マーティン(Martin)のイベントに出演したり、よく一緒になってました。
――そして、東京と大阪で10月15日と22日に行われるReiさん主催のライブ『Reiny Friday -Rei & Friends-』に満を辞しての登場となるわけですね。
藤原さくら 以前にも声をかけてもらったことはありましたが、なかなかスケジュールが合わなくて…。
Rei 逆に身近な存在だったので、お互いのタイミングが合う時でいいかなと思っていたところもありました。
藤原さくら やっと叶います。
――「Smile! with 藤原さくら」という曲もリリースされますし、これまでとは違った展開もあって。
Rei 今回、ライブが先に決まったんですけど、ずっとさくらちゃんと一緒に曲でコラボしかったので、それも含めてオファーさせていただいて。
――QUILTというプロジェクトとしてコラボされて。
Rei これまでに作品を8作出してきましたが、これまでに自分が作り上げてきたイメージや、一人で構築してきた世界観があるからこそ、人と一緒に作品を作ってそれを「壊されたい」という気持ちもあります。あとはライブ活動で多くの人とセッションしてきたので、人との繋がりを踏襲したコラボレーション作品を作りたいというのがまずありました。
――仲良くなる前までのお互いの印象は?
藤原さくら 恰好いい音楽をやっている子という印象でした。Reiちゃんのインタビューを読んで「そういうの聴いているんだ」って、その曲を聴いたりしていたし。お互いポール・マッカートニーが大好きで、繋がっているところも多いから、他に何を聴いているんだろうな、音楽の話をしたいなとずっと思っていました。
Rei さくらちゃんがデビューした時は、周りがざわついていたので、自然とさくらちゃんの音楽を聴くようになりました。ノラ・ジョーンズのようなスモーキーさもある声で、凄い魅力的な人だなと思っていました。仲良くなっていくうちに印象も変わってきて、木漏れ日みたいな人だなって。
――木漏れ日ですか?
Rei 日差しの部分もあるけど影の部分もある、ただ太陽が燦々と、という感じではなくて、憂いが性格にも音楽にも両面ある人だなと思いました。
――藤原さんは付き合っていくうちに印象は変わってきました?
藤原さくら こんなかわいい見た目だから歳下か、もしくは同い歳くらいかと思っていました。そうしたら実はReiちゃんの方が歳上で...。
Rei (笑)。
藤原さくら 歳が同じくらいだと思っていて私はずっとタメ口で話していて。話している中で気になったのでプロフィールを見たら「歳上じゃん!」となった記憶があります(笑)。でも、Reiちゃんは壁がなくてフランクだから凄く話しやすいです。
――ところで、音楽以外では2人でどんなお話を?
Rei お料理とかお洋服のことなど、何でも話します。
藤原さくら そういう話は沢山しますね。思い出したんですけど、この間、私が封筒を買いに行こうとしていたら、Reiちゃんと街でばったり会って「一緒に選んで」と話して本屋に一緒に行ったり。
Rei そうそう。2人で雑誌を見て「これかわいいよね」「でも(価格が)高い」とか。帰りにクレープを食べて解散したよね。
――高校生みたいですね(笑)。
藤原さくら 完全にノリは高校生だと思う…。
Rei 気取らなくていいから一緒にいて楽なんです。
友情や笑顔と向き合った曲になった
――すごくその様子が伝わってきます。さて、今回一緒にやるにあたり曲の構図はどのように考えていましたか。
Rei 昨年、SOIL&"PIMP"SESSIONSと一緒に曲を作った時は、私が曲もアレンジも歌詞も作って、実際に音を鳴らしてみるといったスタイルでした。今回はそういう流れではなく、楽曲制作の初期の段階から打ち合わせをしました。それは初めてのことでした。
「最近どんなこと考えているの?」「どういう音楽を聴いているの?」みたいな話をして、お互いの曲出しという段階からスタートしました。今回は一言で言うなら友情や笑顔、それは見せかけのものじゃなくて、心から出るものというのは、やっぱり“everlasting”といいますか、一生続くものなんだなと思うので、それととことん向き合った曲になったと思います。
――お2人とも曲を書いて持ってきたのですね。
Rei そうです。それらを聴いたりコンセプトの話をしたりして。最初から「こういう曲がやりたい」というのが明確にあったわけではないんです。
藤原さくら ハンバートハンバートみたいにちょっとずつ歌うのもいいよねとか、私たちはジプシージャズも好きだし、「ちょっと毒っぽい感じもいいよね」みたいなことを話したりしました。
――曲はお2人のどちらが土台となったのでしょうか。
藤原さくら Reiちゃんです。
――心躍るような軽快な感じですよね。加えて、ハモりの感じが心地よくて。
Rei 裏声をたっぷり使った曲になりました。さくらちゃんはミックスボイスのような特殊な歌い方をするので、裏声が活きるメロディがいいなというのは考えていました。自身の曲では基本的に地声の旋律が多いのですが、今回サビではほとんど裏声なんです。これは、さくらちゃんと一緒にやったからこそなのかなと思っています。
――聴いていて歌のパルスが似ているなと思いました。声質はもちろん違うのですが、凄くお2人の声が馴染んでいるんです。そこは意識した部分でもある?
Rei 強くは意識していないです。むしろ正反対の声だからコントラストがついていいかなという机上の空論のもと作ったんですけど、録ってみたら、心が寄り添っているのもあると思いますが、意外と似た成分もあったという発見もありました。
藤原さくら Reiちゃんが先に歌を入れて、私はそのあとに入れるという流れだったのですが、自分のいつもの歌い方よりはっきり歌おうとか、色々試させてもらいました。Reiちゃんがコントロールルームにいて色々アドバイスくれたり、逆に2人でハモるところは、寄り添ってウィスパー(囁くような声)で歌ってみたり。
――ところで、バンドの演奏は一発録り?
Rei ベーシックとなるドラム、ベース、ギターは同時に録っています。それからホーンを録って、歌という順番で録りました。オケ録りの時はさくらちゃんも来てくれて、ドラムの石若駿くんとベースのハマ・オカモトくんと私たちの4人で録りました。私は全員とお友達なんですけど、こういう風に音楽を通してご一緒する機会はなかなかなかったので、同世代で意見交換しながらやるのは貴重な機会でした。
――アレンジでこだわったところは?
Rei とにかく歌を活かしたかったので、なるべく引き算のアレンジを心がけました。歌のミッドローあたりの美味しいところを出したいということになってくると、ギターのアレンジもカポタストを9フレットとか凄く高い位置に付けてウクレレっぽい感じで録ったり、低いほうでベースの旋律を作ってもらったり、その抜け感というのは気をつけてアレンジしました。
――とにかく歌を響かそうと。
Rei そうです。もの凄く上質な素材なのにも関わらず味付けで殺してしまったら、そんな罪深いことはないので、作家としても試される感じはありました。色とか味などと同じ捉え方でアレンジをしています。
――味ですか?
Rei 例えば醤油ラーメンとか食べていてアコースティックな味するな、とか思うんです。
藤原さくら そんなふうに考えたことないよ。確かにコッテリ系とは違うけど(笑)。
Rei えっ! みんなそういうふうに捉えているものだと思ってた(笑)。
場の雰囲気はグルーヴにも影響
――私も考えたことなかったです(笑)。レコーディングで印象的だったことは?
藤原さくら Reiちゃんが私が歌っている時にレコーディングブースに来てくれたんですけど、初めて「(肩を)トントン」とされながら歌いました。あと、Reiちゃんはみんなと一緒にレコーディングをすることが楽しすぎて、ベーシックのレコーディングの時も踊っていたよね?
Rei 踊ってた!
藤原さくら 石若君がドラムセットのところでタンバリンを録っている時にReiちゃんも一緒にやってたから、みんなコントロールルームにいる時に「Reiちゃんも一緒に叩いているんだ」と思ってよく見てみたらReiちゃんは何も持っていなくてただ踊っているだけで(笑)。それと一緒で、私が歌を録っている時もそばで盛り上げ役として活躍してました。
――雰囲気のいいレコーディングだったのですね。
Rei 純粋に楽しかったです。私は、改めてバンドメンバー、ホーンセクションもそうだし、さくらちゃんとか、やっぱり一緒に音楽を作らせてもらった人たちのことが大好きなんだと思いました。私は今回携わって下さった全員のファンで、その人方たちと一緒に仕事を出来ていることにただ感動していました。ハマ君がベースを弾き比べてくれたり、駿くんもドラムセットを変えたりとか、「どっちの音が好き?」みたいな話などができたのも貴重な時間でした。
――なかなか踊り出すレコーディングはないですよね。
Rei 場の雰囲気はグルーヴにも影響すると思うんです。今回ミックスをしているなかでも発見がありました。たとえば、駿君と私は拍に対してちょっと前にいるんです。ハマ君は拍にジャストで合っていて、そういう性格も演奏に出るなと思って。「本音」という言葉は本当の音と書くじゃないですか? 喋っているなかで友達の関係としてはわかったつもりでいるけど、一緒に音楽を奏でてみて本音が聴けたという気持ちになりました。その人が考えていることを、音を聴いて感じることができた気がしました。
――歌詞はお2人で書かれている?
Rei 精神的にどういう場所にいるかという話し合ったり、あとは配信ライブで一緒に竹内まりやさんの「元気を出して」という曲をやる機会があって、それが友情についての曲だったので、私も彼女との関係性について書きたいと思って、1回私が書かせてもらってそれを提案させて頂くかたちになりました。
――その歌詞を見てどう思いましたか。
藤原さくら すごくいい歌詞だなと思いましたし、レコーディング当日にも歌詞が変わってより良くなっていて、さすがだなと思いました。しかもそれが私たち2人の関係性を描いた曲だったので、嬉しかったです。
――特に刺さった言葉は?
藤原さくら 嬉しかった言葉は<little angel>です!
Rei 主人公は悲しみや孤独に打ちひしがれている状態で、強がりでちょっと内気な女の子で。そこに<little angel>こと、さくらちゃんと出会って、生きることが楽しくなっていくという物語なんです。
藤原さくら 私は初めての天使役でした(笑)。
Rei 私たちはお互い東京出身ではなくて故郷は別の所にあって、上京してそれぞれの信念や夢を抱いて1人で出てきているということにシンパシーを感じていました。私は人と関わることに臆病になっていたけど、東京にも同じような境遇の友達ができたことが凄く嬉しかったので、そういう私たちのリアルな物語を曲にできたらいいなと思っていました。
――藤原さんはこの曲をどう捉えていますか。
藤原さくら まず、すごく大好きな曲になったし、歌っていて凄く楽しいんです。Reiちゃんの曲は英語も入っているじゃないですか? 私が<Lemon>と歌う時、わりと日本語っぽい<Lemon>になると思うんですけど、Reiちゃんが歌うと英語よりの発音になるから、それを活かしたいと思ってそういう歌い方で歌ってみたりとか。
Rei さくらちゃんの『SUPERMARKET』という最新アルバムの中の「ゆめのなか」という曲があって、私はその曲と歌詞が凄く好きなんです。知らないことなのに自分のことのように思い浮かんだので。お互いに英語の曲も多かったりするんですけど、彼女の日本語のセンスみたいな部分とかも改めて作品を遡りながら聴いて、「こういう日本語が好きなんだな」とか、逆に「こういう言葉を歌わせたいな」とか、そう思っていました。
――藤原さんにどうやって歌ってもらおうかとリサーチしながら楽しんでいたんですね。
Rei そうですね。あと、「r」の発音とか、子音の打ち方とか、母音ベースの言葉だったらとしたら、どこで音節をわけているかとか、作品を聴いて研究しました。今回の曲の題名でもあり、歌詞の一部でもある<smile>という言葉も、最後「l」を濁すこともできるじゃないですか? さくらちゃんはやわらかく発音した歌い方をしているから、その後に重ねた私のコーラスでは逆に「l」を強く出すみたいなニュアンスを精査できたのは自分にとって勉強になりました。
――そこまで考えてというのは凄いですね。
Rei さくらちゃんが冨田ラボさんなど、他の方にアレンジやプロデュースをされている場面も見ていたので、そういう別視点から見た他の人たちの解釈、色々事例がある中で、自分にしかできない料理の仕方はなんだろうということも考えながら、あまり計算ずくなものにもしたくない、そういったところで悩みました。
藤原さくら 曲自体がいっぱいあったんです。作ってくれた曲もいっぱいあったし。だからその中でどの曲にするかとかも多分悩んだ、私も悩んでなかなか決めきれなかったです。
――アルバムが出せるくらい候補曲があった?
藤原さくら 出せると思います。10数曲くらいあったと思うので。
――そしてジャケットも可愛いですね。青とピンク色の組み合わせで。これはピンクが藤原さん、青がReiさんのイメージ?
Rei そうです。今回QUILTというコラボレーション・プロジェクトで、QUILTというのは布を縫い合わせる技法のことなんですけど、私という布とあなたという布の間に綿という音楽があって、それを縫い合わせるイメージです。今回第一弾でジャケットを作るとなった時に、2人を象徴するバイカラーでいこうと決まって。あとはイラストか写真にするかで迷ったんですけど、一緒にアートディレクションをしてくれている写真家の小見山峻さんと話し合いながら、イラストを描いてそれを布地にプリント、もしくは刺繍しようということで作りました。
――個性的でいいですよね。
Rei 前回の『HONEY』という作品で紙という素材のテーマがあったので、今回はコラボレーション・プロジェクト名がQUILTなので布地がいいなって。
――プロジェクトとの親和性が高いですね。では最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
藤原さくら 仕事のようで全然仕事じゃないと言いますか、おうちで遊びの延長みたいな感じで嘘偽りなく楽しんで出来た作品です。みなさんにも当てはまることがあると思います。ライブでもこの曲を歌うので是非ライブに遊びに来てください。
Rei 私たちが純粋に楽しんで作った作品を一緒に聴いて楽しんでほしいし、コロナ禍ということを度外視してもやっぱり生きるって厳しいことだと思うので、ちょっと最近笑ってないなという人がいたら曲を聴いて少しでも笑顔になってもらえたらいいなと思います。
(おわり)
ヘアメイク(Rei):宮本春花
ヘアメイク(藤原さくら):筒井リカ
スタイリング(藤原さくら):伊藤信子
※税込価格
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作品情報
「Smile! with 藤原さくら」
2021年10月15日(金)配信
Reiny Records/ユニバーサルミュージック
https://lnk.to/Rei_Smile_SakuraPR