Kitri「意識せずに自然」大橋トリオも認める姉妹連弾ユニットの独自の世界
INTERVIEW

Kitri

「意識せずに自然」大橋トリオも認める姉妹連弾ユニットの独自の世界


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年01月23日

読了時間:約13分

アンサンブルの楽しさを知った連弾

――お2人は弾き語りの連弾という珍しいスタイルですが、連弾というのはいつ頃からやり始めたんですか。

モナ 私が高校生でヒナが中学生の時に、ピアノの先生から「連弾ってすごくアンサンブルの勉強になるし、楽しいからやってみたら」と勧めて頂いて、クラシックでやってみたら本当に楽しかったんです。連弾は個々のテクニックよりも、2人の呼吸が特に大切なんです。

――呼吸に関しては姉妹ということもあり、すごくアドバンテージがあるんじゃないかなと思います。

ヒナ はい。言葉も良くユニゾンしてしまうことがあります(笑)。

――連弾の魅力はどこにあると思いますか。

モナ やっぱり1人では出せない音が出せるところだと思います。1人の良さももちろんあるんですけど、2人で別々の音を弾いて、一曲になるという魅力があります。

――アンサンブルの楽しさですね。ちなみにプリモ(高音パート)とセカンド(低音パート)と分かれていますが、どのように決められたんですか。

モナ 最初始めた時に私がペダルと伴奏を担当したこともあって、そのまま今に至ります。役割は一度もチェンジした事はないんです。

――曲を作っている方がセカンドを担当した方が良いということも聞いたことがあるので、偶然にも理にかなったパート分けかもしれないですね。さて、デビュー作となる『Primo』が完成しました。このタイトルに込められた意図は?

モナ Primoとは先程も出ましたが連弾で高音パートを担当している方の言葉で、連弾ということが伝わる言葉が良いなと思い、今回つけさせていただきました。

――連弾だとわかる良いタイトルですね。さて、一曲目の「羅針鳥」はどのように作っていったのでしょうか。

モナ 1曲目ということで、どういうkitriを見せたら良いのかというのを考えました。すごく悩みながら何曲も作っていたんですけど、1曲目としてしっくりくるものがなかなか出来ませんでした。どうしても「ここから始めます」と言えるような曲を作りたかったんです。「羅針鳥」にはデビューする私たちの意志が込められています。

ヒナ 姉はボイスメモに向かって、ずっとサビのメロディを考えていました。それを最初に聞かせてもらった時も「良いな」と思っていたんですけど、ピアノの伴奏が付いたらより良くなって「これだ」となったのを覚えています。

――大まかなデモはモナさんが作る感じなんですね。

モナ はい。最初の原型はボイスメモで、まずヒナに聴いてもらいます。実は私、作っている時ってすごく自信がないんです…。ずっと「どうかなあ…」という感じで。

ヒナ 姉はいつもどっちが良いか迷っています(笑)。

モナ でも、ヒナがしっかり「これが良い」と判断してくれるんです。そこで確信を得てからピアノ伴奏を考えていきます。そこから歌を入れて、ヒナにピアノやコーラスなどアレンジに参加してもらいます。

――ヒナさん、すごく重要な立ち位置ですね。ちなみに「羅針鳥」はドラムやシンセサイザーも入ってますけど、後から重ねてるんですか。

モナ はい、私たちの演奏した後に、神谷洵平さんがアレンジして入れて下さいました。ドラムが入ってより良くなって嬉しかったです。最後のトラックに入っている「羅針鳥 -naked-」が原型なんです。

――そうでしたか! ドラム主導という感じのトラックではなくて、ピアノに合わせているのを強く感じました。さて、歌詞に「占い」というワードが出てきますが、お2人は占いはお好きですか。

ヒナ 私が占いが好きで、特に夢占いにハマっています。夢占いはその時に見た夢で心理状態を当てるんですけど、それがいつも当たっているんです。他の占いはあまり気にしないんですけど(笑)。

――どんな夢を見ることが多いですか。

ヒナ 誰かに追いかけられている夢とか、最近は殺されそうになる夢を見ました。でも、その占いの内容がすごく良くて、自分が新たに生まれ変わりたいという決心が表れているみたいなんです。ちょうど私も変わりたいと思っていたので当たっているなと思いました。

――変わりたいというのはデビューするということも関係してますか。

ヒナ はい。まだ私は出来ていないところがたくさんあるので、音楽のこともしっかり勉強してスキルアップしていきたいなと思っています。

――そういえば、モナさんは大学で作曲科を専攻されていますけど、作曲はいつ頃から始めらたんですか。

モナ 遊びでですけど初めて作ったのは小学2年生ぐらいからです。タイトルが「私の思い出」という曲でした。

ヒナ すごく柔らかい曲でアイドルさんが歌いそうな感じで(笑)。

モナ 夏休みや冬休みの楽しかった思い出を歌詞にした曲なんです。

――それを聴いたら、今のkitriの面影を感じられます?

モナ どうでしょうか(笑)。ただ当時は素直な良いメロディを書けたんだなと思いました。

――いずれ聴いてみたいですね。ということは今のような独特な世界観を持ち始めたのはここ何年かという感じですか。

モナ その独特な、不思議な世界観と良く言ってもらえるんですけど、私はそういう風に思ったことが実はないんです。意識せずに自然とこういう曲調になっていきました。

――クラシックの要素も入っているので、それが一般的なポップスとはまた違った聴こえ方になっているかも知れませんね。そういえば、ヒナさんはギターやパーカッションも演奏されるんですよね?

ヒナ はい! カホンとか、これからもっとバリエーションを増やしたいなと思っています。

――今後が楽しみですね。「羅針鳥」でお2人が聴いてほしいポイントはどこでしょう?

モナ この曲にもクラシックの交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』のフレーズが入っています。Kitriなりに取り入れてみました。その「新世界」というところからこの「羅針鳥」が生まれたきっかけにもなっています。そのクラシックとの融合した間奏部分にも是非注目して聴いて頂きたいです。

ヒナ 私は連弾ということもあって、連弾ならではの掛け合いに注目して頂けたら嬉しいです。

――連弾は珍しいので、そこはMVで視覚的にも観て欲しいですね。さて、続いてはDNAの螺旋が見えるようなイントロが印象的な「細胞のダンス」ですが、これは最近作られた曲なんですか。

モナ 1年半ぐらい前に書きました。その時から曲の感じはほぼ変わっていないです。

――歌詞はお2人で共作なんですね。

モナ はい。これは曲が先にあって、それに合わせて歌詞を考えました。こういうメッセージを乗せたいと思って書く場合もあるんですけど、曲を聴いて、そのイメージから書くこともあります。

ヒナ もともと「パズル」という仮タイトルで、それもパズルのピースが合わさっていくのを音からイメージしました。

モナ だけど、その後スタッフが歌詞に入っている<細胞のダンス>という言葉が引っかかったそうで、「これがタイトルでも面白いんじゃないか」と言うのを聞いて私もすごく良いなと思いました。

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