Kitri「意識せずに自然」大橋トリオも認める姉妹連弾ユニットの独自の世界
INTERVIEW

Kitri

「意識せずに自然」大橋トリオも認める姉妹連弾ユニットの独自の世界


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年01月23日

読了時間:約13分

 モナとヒナの姉妹による連弾ユニット・Kitri(キトリ)が1月23日、メジャーデビュー1st EP『Primo』をリリースする。幼い頃からクラシックピアノを習い始め大学で音楽を専攻。2015年から京都を拠点に、姉妹ユニット・キトリイフとして音楽活動を開始。2016年、ライブに訪れていた両親から初期の自主プレスのCDがミュージシャンの大橋トリオに渡り、その音源を聴いた大橋が絶賛。2017年、過去の音源を大橋トリオプロデュースのもと再録音しユニット名をKitriとしてパイロット盤「Opus 0」を完成させた。今作も大橋がプロデュースを手掛け“Kitriワールド”をさらにブラッシュアップ。インタビューではデビューに至るまでの経緯や、楽曲の制作背景、連弾の魅力など2人に話を聞いた。【取材=村上順一】

人生が変わった父の行動

『Primo』ジャケ写

――Kitriという個性的なユニット名なのですが、どのような意味が込められているのでしょうか。

モナ いろんな意味があるんですけど、前はキトリイフという名前で活動していました。それは、木と鳥と葉が混ざった造語なんです。アコースティックの要素が浮かぶような名前にしたかったというのと、私たちは大橋トリオさんのファンなんですけど、それでリスペクトを込めてトリを入れているというのもあります。勝手になんですけど(笑)。

ヒナ あと、私たちはクラシックの音楽を取り入れさせて頂いていて、クラシックバレエに『ドン・キホーテ』という作品があるんですけど、そこにキトリという少女が登場するんです。ドン・キホーテの空想の中に登場する少女ということで、クラシックと空想というイメージもKitriにはあります。

モナ 他に、“キトリ”という言葉がフランス語であるんですけど、「意気地なし」という意味があります。自分たちが勇気を出していきたいという気持ちもリンクするかなと思ってつけました。

――すごく沢山の意味があるんですね。ちなみに“リイフ”=葉はどこにいってしまったんですか。

モナ アコースティックの世界観も大事だったんですけど、私たちがもっと羽ばたくために、リイフは置いてきました(笑)。

――さて、そのリスペクトする大橋トリオさんのプロデュースでデビューされることになりましたね? 

モナ 事務所の社長さんから大橋さんが私たちのデモを聴いてくれていると知った時が一番驚きました。あの時の気持ちは今まで感じたことがないものでした。一緒に作業させていただいても、未だに信じられていないという状況です。あの憧れの大橋さんと同じ方だとはまだ思えていないんです。

――そのデモはどのように大橋さんまで辿り着いたのでしょうか。

ヒナ 両親も大橋さんのファンなんですけど、ファンクラブ限定ライブに行った時に、父が勇気を出して大橋さんの事務所の社長さんにデモを渡してくれたんです。

ヒナ その日はファンクラブ限定ライブで私たちも応募したんですけど、落選してしまって父と母だけ当たって…。それも今となってはそれで良かったなと思います。

――お父さん、めちゃくちゃ行動派ですね。

モナ 普段はそんな事は絶対にしない父なんですけど、その日は家族に内緒でデモを渡すと決めていたみたいなんです。それで私の部屋から勝手にデモを持って行ったみたいで…。私たちがそれを知っていたらきっと「渡すのやめて」と父に言っていたと思います。そうしたら、また人生が変わっていたと思うので、その日の父に感謝しています。

――家族全員が同じアーティストを好きだというのも珍しいと思います。そこから全ては始まったのではないかなと思いました。

ヒナ でも、最初はみんな好きなアーティストや音楽はバラバラでした。

モナ 喫茶店で家族でオムライスを食べている時に流れてきたのが大橋さんの「Shine」という曲で、家族全員が聴いた瞬間にハッとしたんです。「今まで聴いたことがない」といった歌声にビックリしました。

ヒナ それで「誰が歌っているんだろう」と気になって店員さんに「今流れている曲は誰ですか」と聞きました。

モナ そこから好きになって、家族全員が「これから大橋さんを聴いていこう!」となったんです。それが8年ぐらい前の話です。

――ちなみにお父さんが持って行ったデモにはどんな曲が入っていたんですか。

モナ 配信限定でリリースした『Opus 0』に収録されている「リズム」、「傘」、「すっと心に 」と、あとは未発表の曲が入っていたと思います。

――それらを聴いて興味を持ってもらえたんですね。さて、今回その大橋トリオさんと一緒に作業されてみて印象的だったことはありましたか。

モナ 大橋さんは常に音楽の景色が見えていらっしゃいます。例えば、私がどういう音にしようか迷っている時も、一発で正解を見つけてくれるんです。とにかくアイデアの引き出しがすごく多くて感動しました。実際それを試して見ると物凄く良くて。大橋さんのセンスや経験値を感じました。

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