須田亜香里、先輩と後輩以上の関係になれた 珠理奈休養がもたらしたSKE48の変化
INTERVIEW

須田亜香里、先輩と後輩以上の関係になれた 珠理奈休養がもたらしたSKE48の変化


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:18年12月08日

読了時間:約7分

 SKE48のドキュメンタリー映画『アイドル』が、年明けまで上映が続くなど好評だ。一見はなやかに見える“アイドル”の世界だが、ドキュメンタリー映画『アイドル』では、誰も知らないその裏側に完全密着。一人ひとり違う境遇から同じ夢を持ち、懸命に“アイドル”として生きる彼女たちのリアルな姿、その“アイドル”としての覚悟をスクリーンに映す。

 劇場デビュー10周年を迎えたSKE48の、今年の夏の様子に密着。不動のエース松井珠理奈は地元・名古屋で6月に開票発表された『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』で悲願の1位を達成したものの、体調不良で休養へ。7月リリースのニューシングル「いきなりパンチライン」では松井の代わりに総選挙2位の須田亜香里がセンターを務めるが、プレッシャーにより精神的に追い込まれていく。エース不在の初めての夏に不安を感じながらも、戦い続けるメンバーたちの姿とは――。

 前編では大場美奈へのインタビューを紹介。後編では、本作について語る、須田のインタビュー。【取材・撮影=鴇田崇】

目の当たりにした松井珠理奈の変化

――ファンの方も数多く鑑賞していると思いますが、どういう感想が届いていますか?

 一番の感想は、「泣いた!」でしたね。あ、この人泣くの? みたいな方からそういう感想をいただくと、感情を揺さぶるものをわたしたちから感じていただけたのか! って思えてうれしかったです。ひと夏のお話なので感動する出来事がわたしたちにあるのかなと不安だったのですが、そういう感想を言ってもらえてすごくうれしかったです。思っていた以上の反響をいただきました。

――当事者としては、どう観たのですか?

 重かったですね(笑)。本人だからという理由もありますが、すごく精神を削られた状態になりましたね。わたしたちはただ必死になっているだけだったので、はたからみたらこう見えていて、わたしたちアイドルって、ここまで過酷なのかっていうことを、観ながらすごく客観視しました。わたしはアイドルってはかないなあとも観ていて思いました。本当にいましかできないことで、だからこそこれほどまでに全力になれるし、そういうことをひしひしと静かに感じましたね。少しダメージを受けながらも、「ああわたし、本当に時間を無駄にできないな」って。

須田亜香里

――一番印象に残っているシーンは何でしょうか?

 わたしは松井珠理奈さんですね。珠理奈さんがAKB48選抜総選挙の日にかけて、ちょっとずつ気持ちに無理が生じていく姿を目の当たりにしていたので。そばで見ていたけれど、どうにもできなくて、そういう一連のことが記憶として残っているなかで映画を観たので。ファンの方たちにも今回初めて披露する裏側だったということで「こうなっていたんだね!」と言ってくださる声も入って来ますが、わたしたちは、その日を迎えるまでの過程を全部知っているから、映像を観ながら震えと涙が止まらなかったです。ああ、珠理奈さんが倒れちゃうって、わかっていて観ていたので、思っていた以上に、すごくしんどかったですね。

――ドキュメンタリーなので、あえて触れていますからね。

 そうですよね。きっとわかってもらえないことのほうが多いというか、精神的に何がキツイとかって人それぞれで違うし、それくらいなんでもないという人もいるだろうし、でも自分にとったらすごく大きなことでもある。人が想像できないくらい苦労していたりもするけれど、それって、わかろうとしないとわかることはないから、切り取って結果だけを見られがちですが、それがわたしたちはずっと悔しかったです。珠理奈さんはただ一生懸命頑張っただけで、それが皆さんに上手く伝わってないもどかしさは、ずっと持っていましたね。

――それこそ、こうして映像作品として残るって素敵ですよね。

 そうですね。自分たちにとってもいつか観返した時、この時こう乗り越えたみたいな。自分はこういう人だから、これからはこうやってみようとか、自分の地図みたいな迷った時に助けてくれるような気がします。

――今回の松井さんの休養などがあって、皮肉にもチーム全体の結束が強まったみたいなことはありましたか?

 そうですね。お互いに荒療治となった夏でした。珠理奈さんも後輩に甘えることが苦手で、わたしたちも頼ってもらえるような存在ではなかったかもしれないんですけど、まだまだ先輩と後輩以上の関係にはなれていなかった気がします。わたしたちも任せてくださいとずっと言ってきたんですけど、任せられるほどの力も持っていなかったと思うし、珠理奈さんもどうやって頼っていいかわからないというもどかしさを抱いていたと思う。頼っているつもりだけれど頼り切れていなくて、結局自分が背負いすぎてしまったり、お互いに足りないものを、この夏がむしゃらに取りにいった夏だったのかなあと思います。お互いに足りないものに気付けて、おかげでわかりあえたことも増えたはずで、いますごく晴れ晴れとした気持ちで活動できています。

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