吉本実憂、自分に嘘をつかない生き方を――髪を切ったことで見つけた自分らしさ
INTERVIEW

吉本実憂、自分に嘘をつかない生き方を――髪を切ったことで見つけた自分らしさ


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年11月18日

読了時間:約16分

第二のターニングポイント、自分らしさを見つけた瞬間

――個性派揃いということで、彩花もかなりの個性を放っていますが、彩花の印象は?

 客観的に見て彩花という人物が身近にいたらイラっとくるかなと(笑)。私的には、久住小春ちゃんが演じている來未(相川來未)の立場で試写を見ていたんです。台本を読みながら、アイディアを考えながら、いかに人をイラっとさせられるかという部分を考えながらやっていました。

――逆に羨ましく思ったところは?

 ユーモアが凄いなって。ただのユーモアじゃなくて、人に対してのブラックユーモアみたいなところも含めて。彩花は怒ったらムッとするじゃなくて、怒ったら人をおちょくるような人なんです。そういうブラックユーモアが本当に凄いなと。一言一言、普通の人では成立しないような言葉をはっきり言ったりするので、あの感性が凄く羨ましいと思いました。

――では、共感したところは?

 心の中ではたまに彩花が思うようなことを思ってしまう自分がいるという…(笑)。私はあまり人を怒ったりしないんです。自分の思ったことを最近は言えるようになってきましたけど、昔までは自分の意見を抑え込むというか。まず人の意見を聞いて肯定してみるというのがあるんですけど、彩花は嫌と思ったら嫌と言うじゃないですか? そう言えるのは羨ましいんですけど、私も彩花みたいなことを思ってたりするんです。誤解を生むかな(笑)。それを表に出すか出さないかという違いだけで。

吉本実憂

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――この役を演じたことで自分自身の仕事の変化はありましたか?

 今までも「恥」はそこまでなかったんですけど、この役をやったことによってとことん恥を捨てることができました。私自身、それまではカッコ悪いということに対してけっこう恐怖心がありました。でも彩花という人間を生きさせてもらって、そういうものがなくなりました。

 カッコ悪くても、完成したものが良くなればいいじゃないかという風に心から思うようになって、そこから監督にも恐怖心を持たずに自分から演技プランとかを提案できるようになりました。喜んで踊り狂うシーンは2年前だったらできなかっただろうなと思います。

――彩花にとって就職は一種のターニングポイントだと思いますが、吉本さんのターニングポイントは?

 一番はコンテストを受けたときなんですけど、その後では髪が短くなったときですね。

去年1月のクールで『クズの本懐』という作品に出させてもらったときに、原作があるものなので髪を30cmくらいバッサリ切ったんです。これぐらいの長さになったのは小学生以来くらい。だけど、それを機に自分の中で変わったというか、自然体で人と接するようになったので、そこが第二のターニングポイントだと思います。「ナチュラルに生きる」というのを心掛けたきっかけになりました。初心に返るというか、子供の頃の感情で生きてもこの仕事はいいのかなと思って、自然体の自分を怖がらずに生きられるようになりました。

――「ナチュラルに生きる」というお話でしたが、それは気持ち的にも余裕、そのもととなる自信などがないとなれない気もしますが。

 自信は生まれて物心がついたときから今でも持ってないです。自信がないからこそ色々努力できると思っていて。昔は自信がないことが凄くコンプレックスだったんですけど、でも自分なりに頑張っているなと思ったときに、「自信がないから私は頑張れるんだ」と思うようになって。短所でもあるけど自分の中で長所でもあると思っています。だから自信はずっとないですね…。

 「ナチュラルに生きる」の真意は、ナチュラルに生きないとそれは嘘なんじゃないかと。自分の口で色んな嘘をついてしまうことにもなると思っていて、自分自身に嘘をつくということは自分を窮屈にするのと同じじゃないかって。私、窮屈が凄く嫌いで、昔から裸足で外を走り回って遊んでいたし。そういうのが凄く大好きなので。

 昔は「ちゃんと答えなきゃ」と見本通りの答えを言っていましたが、それだと窮屈になっている自分に気がついて、髪を切ったタイミングで「自然体じゃ駄目なのかな」と凄く思うようになって。そこから自然体で生きようと思って行動に移してみたら「明るくなったね」とか「今の方が好き」と言ってくれる人が増えて、それで「こういう自分でもいいんだ」と思えるようになって、そこから自然体で生きるようになりました。

吉本実憂

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――さて、X21卒業されてから1年が経ちます。卒業公演で「ここで学んだものを活かしたい」と話していました。活かせているものはなんですか?

 舞台に出演した時に、歌を歌わせてもらったんですけど、それは凄く活かせました。それとステージに立っていても、たぶんX21を経験していなかったら凄く緊張はしていたと思うんですけど、地に足が着いてお芝居ができていると。それはグループを経験してステージに立たせてもらったからだな、と思います。

――音楽と役者は違いますか?

 違います。X21をやっているときは自分として立っているので、自分の感情で動けるんですけど、役者の場合は役のことも、作品全体のテンポも考えないといけません。舞台だったら尺も決まっているから喋る早さも考えないといけない。それはより難しかったですね。でもこうして、X21での活動が活かせているので、あの経験は私にとって大事なものです。

吉本実憂

(おわり)

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