THE PINBALLS・古川貴之「色んな感情が生まれる特別な存在」音楽で見せる思考:インタビュー
INTERVIEW

THE PINBALLS・古川貴之「色んな感情が生まれる特別な存在」音楽で見せる思考:インタビュー


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年11月15日

読了時間:約10分

質問攻めをするような子供時代

――1日の流れを表現されたとのことですが、「アダムの肋骨」が深夜という流れで。

 メンバーに説明するための図表があるんですけど、それを持ってくれば良かった(笑)。

――そういうのがあるんですね。メンバーには設定に関してけっこう細かく説明されるんですね。

 説明するんですけど、無視されますね(笑)。僕が四六時中そんなこと言ってるから、「またか」みたいな感じなんですよ。ですが、みんな理解してくれていて、信頼してくれているので、大丈夫なんです。一番付き合いが長いベースの森下(拓貴)とは幼稚園からの付き合いですからね。

――多くを語らなくても大丈夫なんですね。森下さんに古川さんの幼少期の話を聞きたくなりました。

 はは(笑)。僕の幼少期は「なんで? なんで?」と疑問に思ったことを質問攻めをするような子供で。それで父親から「うるさい」と怒られて。それはすごく覚えています。それでも質問していたんですけど、最終的にはもう無視されて(笑)。

――でも、疑問に思うということは良いことですよね。

 歌詞一つとっても、謎を残してあるので、聴いてくれた人たちがそれをレクリエーション的に捉えて考えてもらえたら嬉しいです。答えは特になくて、出口がたくさんある迷路みたいに、ゴールはたくさんあるので、それを楽しんで頂けたらなと。

――「アダムの肋骨」はその肋骨からイブが創られたという旧約聖書に書かれているお話から?

 それもありますけど、諸星大二郎(漫画家)さんの漫画で同タイトルのものがあるんです。このタイトルがすごく好きで、いずれ使いたいなとずっと思っていました。言葉としてすごく綺麗だなと感じていて。

――念願だったんですね。タイトルで気になったのが次の「水平と黒い犬」なのですが、この組み合わせは何を表しているのでしょうか。

 午前2時頃という、深夜帯の時間ということもあって、不思議な夢の象徴として書きました。歌詞にもある<夢>というのは良い夢ではないかもしれないです。

 あと、今回、左右対称というのもテーマにあるので、CDのアートワークもそれを感じさせるデザインになっています。その中で「水平と黒い犬」と対になっている曲が「COME ON」という曲なんですけど、デザインとしてルビンの壺のような多義図形になっています。「アダムの肋骨」と対になっているのが、ラストの「銀河の風」で、肋骨のように12本の線路を描いていたり、アートワークにもテーマをしっかりと反映させています。あと、楽曲にもその多義図形のような感覚を表現したいなと思いました。

――しっかりと全てを落とし込んでいて。さて、今作で一番大変だった曲はどれですか。

 「回転する宇宙の卵」というインストです。この曲は曼荼羅をイメージしていて、曼荼羅も対称なんです。対称系であり、曼荼羅というのは閉じている形であることが特徴で、閉鎖系でもある曼荼羅がCDに見えました。

――閉鎖するために囲っているのがCDケースやCDプレーヤーといった感じですね。

 そうなんです。それを音だけで伝えたいなと思いまして。その中で輪廻転生というキーワードも生まれて。

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